演説

国連の場における演説

第64回国連総会議題107「国連の作業に関する事務総長報告」
総会全体会合における高須大使ステートメント(骨子)

2009年10月6日

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1. ミレニアム開発目標(MDGs)

(1)国連に課された最大の課題がMDGsの達成。世界的な経済・金融危機がMDGs達成に悪影響を与えている。

(2)2015年のMDGs達成に向け活動すべし。開発が中心議題となる2010年ハイレベル会合に向け、議論を一層進めていくべし。

(3)MDGsの達成のためには、貧困削減に対する対応のみでは十分ではない。多くの貧しい人々が紛争乃至は紛争後の脆弱な状況で生き抜いている。紛争が終結しても、10年後にはまたその半数の国で紛争が再開している。

(4)紛争後の政治・経済的安定が不可欠。紛争と貧困の悪循環を断ち切るため、貧困と紛争の双方の問題を統合して取り組む必要がある。

(5)平和構築委員会(PBC)は、そのための鍵となる組織。

2. 人間の安全保障

(1)人間の安全保障は、欠乏からの自由と恐怖からの自由を一人一人に実現することを目的とした人間中心のアプローチ。MDGsと平和構築にとっても重要。

(2)人間の安全保障は、個人と共同体の保護の能力強化に焦点をおいたボトム・アップ・アプローチ。人間の安全保障が国連の作業の一貫として盛り込まれることを期待。ジェンダー関連の国連のシステム一貫性も人間の安全保障のアプローチにより裨益する。

(3)人間の安全保障フレンズ・グループ会合のこれまでの取組を歓迎。国連総会における人間の安全保障についての議論の深化を期待。

3. 平和活動と軍縮

(1)平和維持と平和構築が、国連の中心的活動の一つ。PKO及びその他の政治ミッションは肥大化している。

(2)国連の適切な機関が共同して、明確なマンデートの下でのPKOと政治ミッションの効率的な運営を実現するとの観点から、改善案を策定していくべし。PKOについては、多くのステークホルダーの関与を確保していくことが重要。

(3)世界的核軍縮の機運を歓迎。唯一の被爆国である我が国は、核拡散を防止し、非兵器廃絶のために活動する。

(4)2010年のNPT運用検討会議までの間は、「核兵器のない世界」に向けて現実的な第一歩を踏み出す緊要な時期。今次総会でも、我が国は、核廃絶の決議案を提出する予定。

4. 気候変動

(1)気候変動は、人類にとっての大きな課題。コペンハーゲンCOP15で2013年以降の枠組み構築に合意するため我々の取り組むと革新的技術を動員すべし。9月22日に気候変動首脳会合を開催し、政治的モメンタムを高めた事務総長のイニシアティヴを歓迎。

(2)鳩山総理は、右首脳会合開会式において、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意を前提として、温室効果ガスの我が国の削減目標として、1990年比で言えば2020年までに25%の削減を目指すことを表明。また、途上国支援として「鳩山イニシアティブ」を提唱。日本は、こうした取組を通じてCOP15の成功に貢献したい。

5. 人権

 国連が、国連活動の柱の一つである人権を今後とも保護・推進していくことが肝要。昨年、世界人権宣言が60周年を迎えたが、世界では引き続き深刻な人権侵害が行われている。国連の全ての活動で人権の視点を強化する人権の主流化を支持する。

6. 安保理改革

(1)国連改革は、安保理が意義ある形で改革されない限り、実現したとはいえない。2月以降の政府間交渉の進展を歓迎。総会は、64回総会においてもこれまでの進展を踏まえて、政府間交渉を継続することを決定。

(2)21世紀の現実を踏まえ、常任・非常任の双方の議席の拡大が不可欠と信じる。

(3)総会議長が安保理改革を早期に実現する必要性を強調していること多とする。今総会において総会議長の卓越したリーダシップの下具体的な成果が上がることを期待。

7. マネージメント改革

(1)日本は、国連の透明性、アカウンタビリティ、効率性、効果性を重視。より効率的かつ対応力がある事務局を作るための事務総長の決意を支持。

(2)厳しい経済情勢の下、加盟国の財政状況も悪化しており、国連予算が拡大し続ける現状は持続可能ではない。加盟国が支払い可能な水準でマンデートを果たすためにより効率的で機動力のある事務局を構築する必要がある。

(3)そのため、事務局は、支出の優先付け、節約を行うべし。新たな要請は既存の財源の枠内で再配置されるべし。2010-11年二ヶ年予算やPKO予算の策定、執行を強く規律あるものにしていくべき。

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