平成21年3月4日
於:ジュネーブ
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議長、人権高等弁務官、ご列席の皆様、
日本国政府を代表して、人権理事会でステートメントを行えることを、大変光栄に存じます。ウホモエビ大使閣下の人権理事会議長としてのリーダーシップに敬意を表します。また、ピレー人権高等弁務官及び同事務所の活動を評価します。
議長、
昨年12月、世界人権宣言は60周年を迎えました。第二次世界大戦後、「経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と人々の幸福がある」との考え方は日本外交の背骨となってきました。現在、全世界で、経済的繁栄は挑戦を受けていますが、我が国としては、自由、市場経済、及び人権の尊重を志向する諸国の努力を支援していく決意です。
そして個人とコミュニティの保護とエンパワメントにより人々が自由に生きることを促進する「人間の安全保障」アプローチをとることは、全ての人権の更なる促進の上でも有益です。
議長、
人権理事会は3年目を迎えており、人権理事会が期待された役割を果たせるよう、この若い機関を育てていく責任を有すると考えています。我々は、世界人権宣言第1条にもあるように、世界中の社会的弱者の「尊厳と権利」が擁護されるべきことを改めて想起しなくてはなりません。
我が国は、設立以来の人権理事会理事国として、普遍的・定期的レビュー(UPR)を含む人権理事会の制度構築に積極的に参加してきました。引き続き人権理事会の実効性を高めるため、その制度面・手続面の改善に努めていく所存です。
議長、
これまで国際社会が培ってきた国別の特別手続は、UPRと対峙するものではなく、相互補完的なものです。特別手続は、国別決議の対象となっている国と国際社会との対話を促進するものです。特に、組織的で重大な人権侵害が継続している場合には、状況の改善のために、特別手続がその役割を最大限に発揮すべきです。
我が国は、北朝鮮に入域を一度も許されず、建設的な対話ができない困難な状況の中、自らの任務を果たすべく真摯に誠実な活動を続けてきたムンタボーン北朝鮮人権状況特別報告者の役割を評価しています。
同報告者は、我が国を含む各国の拉致被害者家族とも面会しており、北朝鮮による外国人の拉致問題が家族及び関係国に残した傷の深さと衝撃とをよく理解しています。
拉致問題を含む北朝鮮の人権状況は依然として深刻です。その改善のためには、同報告者のマンデートを延長し、同報告者のこれまでの貴重な活動の集大成を可能にし、よりよい成果を上げることが不可欠であると考えています。各国からの支持をお願いしたい。
議長、
ガザ地区における人権・人道状況については、昨年末から1月中旬にかけて、多くの一般市民、就中、子ども達が犠牲になっていることに深い悲しみを覚えます。我が国は、永続的な停戦が一刻も早く実現することを強く希望します。双方が現在の停戦を継続するため最大限自制することを要請します。
我が国は、「平和と繁栄の回廊」構想をはじめ、中東和平の実現に向けて、様々な貢献をしてきています。更に、これまでもガザ地区の人道状況の改善に積極的に取り組んできており、今回の事態においても人道支援の供与を行ったところです。また、日本は人道支援の円滑な供与のために、継続的に通行所の開放が実現することを希望します。
議長、
我が国は、ハンセン病と差別の問題に取り組んできています。本年1月には、ジュネーブで開催されたハンセン病患者・回復者及びその家族への差別撤廃に関する会議に積極的に参加しました。今後とも、ハンセン病差別撤廃に向けた原則ガイドラインの作成作業への協力等を通じて、ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する偏見・差別の解消に取り組むつもりです。
議長、
ダーバン・レビュー会議については、「人種差別と闘うために団結する」という同レビューの本来の趣旨を再認識することが重要であると考えます。我が国は、これまでのダーバン・レビュー会議準備プロセスに継続して参加してきており、同会議により多くの国が参加することにより、同会議が人種差別の撤廃に向けた国際社会のコミットメントを再確認する機会となることを期待しています。
議長、
人権の保護・促進のためには、各国の不断の努力が必要であることは言うまでもありません。
我が国は、「恐怖及び欠乏からの自由」を世界各地で実現するために、人権理事会及び国連人権高等弁務官事務所の活動にこれからも積極的に関与・貢献していく決意であることを改めて表明します。
ご静聴ありがとうございました。