演説

浅野内閣官房副長官

「第21回国連軍縮会議in 新潟」における
浅野内閣官房副長官冒頭挨拶

平成21年8月26日

 議長、御列席の皆様、

 本日、「第21回国連軍縮会議in新潟」のオープニングに際し、政府を代表して、御挨拶申し上げる機会を頂きましたことを、大変光栄に存じます。会議開催に尽力された、国連軍縮部及び国連アジア太平洋平和軍縮センター、開催地として準備にあたられた新潟県、新潟市の皆様に心から敬意を表します。また、世界各国からの参加者の皆様を心から歓迎いたします。

 現在の国際社会は、北朝鮮やイランの核問題、核テロの脅威など、極めて困難な問題に直面しています。中でも本年5月の北朝鮮による核実験の実施は、核兵器不拡散条約(NPT)を基礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦でありました。我が国としては、毅然とした対応を行うとともに、国連安保理においても追加制裁を含む決議が全会一致で採択されました。北朝鮮をめぐる諸懸案、とりわけ、核問題に加えて拉致問題やミサイル問題の解決に向け、引き続き力を尽くしてまいります。

 このように国際的な核軍縮・不拡散体制が様々な解決すべき課題に直面する中で、今年4月にオバマ大統領がプラハにおける演説で「核兵器のない世界」を追求すると表明したことや、米露による核兵器削減交渉に進展が見られることなど、前向きな取組が注目されています。我が国の中曽根外務大臣も、4月に行った演説「ゼロへの条件-世界的核軍縮のための『11の指標』」の中で、核兵器廃絶のための現実的な措置を提言し、我が国が先頭に立っていく姿勢を示すとともに、来年早期に国際的な核軍縮会議を主催することを明らかにしています。これらの流れの中で、7月のラクイラ・サミットにおいて、G8が「核兵器のない世界」に初めて言及し、世界的な核軍縮の機運はますます盛り上がりを見せています。この機を逃すことなく、核兵器のない世界の実現のため、今まさに各国が協調して取り組むべきときが来ていると感じています。

 我が国は、唯一の被爆国として、広島、長崎の惨禍を再び繰り返してはならないと堅く決意し、核兵器のない世界の実現に向け、これまでも現実的かつ着実な外交努力を積み重ねてまいりました。1994年以降、毎年国連総会に核軍縮決議案を提出し、世界各国の圧倒的多数の支持を得ているほか、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に向けて、まだ批准していない国への働きかけを積極的に行っています。

 さらに、2010年NPT運用検討会議の成功に貢献するため、昨年、日豪両政府の共同イニシアティブにより「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」が発足し、本日御臨席のエバンス元外務大臣及び川口元外務大臣に共同議長を務めていただいております。この委員会では、これまで複数回にわたる本会合と地域会合を開催し、今後NPT運用検討会議に向けて具体的な勧告等を含む提言をとりまとめる予定と伺っております。このように多くの意見と情報を吸収してまとめあげられる提言が、核兵器のない世界に向けた現実的かつ有意義な道しるべとなることを期待しております。

 今回の国連軍縮会議in新潟では、NPTの三本柱である核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用のそれぞれについて議論が行われます。合わせて、北朝鮮など地域の不拡散問題、現在も世界中で犠牲者を生み続けている対人地雷やクラスター弾などの通常兵器、また、我が国が果たすべき重要な使命である、あらゆる世代に対する軍縮・不拡散教育といった問題が、幅広く取り上げられています。世界各国の様々な立場から、活発な意見交換がなされることを期待いたします。

 我が国における国連軍縮会議の開催は、本年で21回を数えるに至ります。これまでも多くの成果を上げ、国際社会から高い評価を得てきた国連軍縮会議が、国際的な軍縮・不拡散の議論に大きく貢献するとともに、新潟県、新潟市の皆様、更には日本国民全体が軍縮・不拡散と平和の問題をより身近なものとして捉えるための良き機会となることを心から期待する次第です。

 御清聴ありがとうございました。

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