平成21年6月27日 9時00分~13時00分
議長、
アフガニスタンとパキスタン、そしてインド、イラン、中央アジアを含む地域が長期的に経済発展し、繁栄するためには、地域の相互的な連関を念頭に各国に対する支援を行っていくことが必要です。日本の対アフガニスタン・パキスタン支援は、そのような考えに基づき、両国の安定と中長期的な自立・発展を実現することを目標に行ってきており、この目標は各国も共有するものであることを確信します。
本日私は、アフガニスタン・パキスタン両国への支援に関し、インフラ整備と農業の重要性に焦点を絞って話したい。
先ず、この地域の中央に位置するアフガニスタンは、地域運輸・交通の中継のための要衝としての役割も果たしうる潜在性を持っています。わが国は、アフガニスタン復興支援にあたり、地域のハブとなりうるアフガニスタンの開発も視野に入れつつ、米国及びサウジアラビアと共に、幹線道路整備に協力し、5月にはカンダハール・ヘラート道路を完工しました。更に、首都カブールに対する復興支援に重点を置き、日本の協力により建設されたカブール国際空港ターミナルは、すでに運用されている他、依然として人口が増加しているカブールを安定的に発展させることを目的としてカブール首都圏総合開発計画を策定中です。
また、アフガニスタンの中長期的自立の鍵が、農業であることは疑いありません。わが国は2002年以来、稲作農業改善支援等アフガニスタンの地方農村総合開発に取り組んできました。今後は特に「アフガンの食料庫」と呼ばれ、農業の潜在性の高い北東部において、稲作支援をはじめとする農業・農村開発支援を点から面へと拡大していく考えです。近隣の各国は、似た風土での農業生産・加工についての技術や知見の共有、そして産品の輸送路・消費市場として相互に潤し合う役割を果たせます。積極的協力を期待し、わが国も支援を惜しまないことを申し上げます。
次に、パキスタンは深刻な経済問題、治安問題に直面しており、国際社会がこれら喫緊の問題に対する同国の取組に協力を行っていく必要があります。社会経済開発は、こうした厳しい闘いにのぞむパキスタン政府を、国民が一体となって支えるための安定の基盤を提供するものです。我が国は、この観点から、パキスタンに対して、インダス・ハイウェイやパキスタン各地での送電網整備など、地域社会・経済の発展に資するインフラ整備支援を実施してきています。わが国は 4月に東京で世界銀行とパキスタン支援国会合を共催し、10億ドルの支援をプレッジしました。この10億ドルについては、パキスタン経済改革の実施を後押しするための財政支援、政府の経済運営能力を高めるキャパシティー・ビルディング、中小企業の育成を促す技術協力、貧困削減や貧困層の生活を向上させるような支援を実施していく方針です。このような今後の支援方針等についてパキスタン政府と協議するために、私は、7月中旬にパキスタンを訪問する予定です。
日本としては、本日参加している国々、国際機関と連携しながら、一致団結してアフガニスタン、パキスタン及びその周辺諸国の安定と経済発展のために取り組んでいくことの決意を改めて表明し、発言を終えたいと思います。