平成21年3月21日
メラフェ・ボツワナ共和国副大統領閣下、
並びにご列席の皆様、
横浜に於けるTICAD IV以来、私はこうして再びアフリカ各国の友人各位にお会いできますことは大変光栄であり、大きな喜びと深い感慨を覚えます。先ずは各国・関係諸機関の方々が、今回のフォローアップ会合に多数ご出席下さったことに心より感謝いたします。
私はこの会合への出席に先立ち、ケニアを訪問し、そこで我が国から派遣されている青年海外協力隊員らと会う機会がありました。多くの日本人が、アフリカへの支援に使命感を持って取り組んでいる姿を目の当たりにし、現場で活躍する男女の若者の心意気に感動し、ともに歩もうという協力活動の定着と拡大に強い期待を抱くことができました。
さて、「元気なアフリカ」を掛け声としたあのTICAD IVから、間もなく1年となります。TICAD IVでは、私自身、開会式の演説において多くの具体的な約束を表明し、また参加された全ての各国首脳との個別会談に臨みました。
この時の会談は、3日間にわたる47名の方との会談であり、我が国メディアは「マラソン会談」と名付けてくれました。私は一連の会談を通じ、今アフリカが、目覚ましい経済成長や政治的安定の進展によって活気に満ち、「アフリカの世紀」へ向けた胎動の中にあることを強く実感しました。
同時に、貧困と失業問題、食料危機、エネルギーへの不十分なアクセス、感染症といった多くの課題への対応の緊要性を更に強く感じました。
また、気候変動対策に関し、私自ら打ち出したクールアース・パートナーシップへの参加を呼びかけ、多くの首脳にご賛同いただきました。今では、パートナー国はアフリカの半数以上にのぼると伺っておりますが、更により多くの国々とパートナーシップを拡大していきたいと思っております。
TICAD IVの成果は、まさにこうしたアフリカの活力を促進し、同時に諸問題解決への協力を行っていくために日本が皆様と共に歩む具体策を打ち出したことであります。そして直後に開催されたG8北海道洞爺湖サミットでは、食料危機への対応を含め、TICAD IVの各分野における議論の成果を反映させることができました。
TICAD IV開催以降、関係各国、諸機関により、そのフォローアップが着実に進められていることを大変嬉しく存じます。年次進捗報告書が作成され、今回の閣僚級会合開催に至ったことは、私にとっても大きな喜びであり、全ての関係者の努力を称えたいと思います。
しかし、真に問われるべきはこれからの成果であります。今、世界を席巻している金融・経済危機は確実にアフリカにも押し寄せてきています。この危機は、TICAD IVの開催時点では、想定されていなかった事態であり、様々な悪影響が及ぶ中、アフリカ諸国には、対アフリカ開発支援が後退してしまうことへの懸念があると承知します。だからこそ、TICADプロセスの順調な進展が強く求められているのです。
TICAD IV開会式において、私は、アフリカが、世界の成長にとっての力強いエンジンになると申しました。現在のような不安定で不確実な状況においてこそ、何よりも必要とされるのは、このようなエンジンが力強く動き続けることであります。アフリカの成長は、単にアフリカにとっての課題であるにとどまらず、現下の国際社会の要請だということです。したがって、我々はTICAD IVの成果を一層大きく結実させていかなければならないのです。
TICAD IV開催に最高責任を負った者として、私は、今後とも我が国政府が表明した支援策を着実に実施していくことを改めてお約束し、今後しっかりと見守って参ります。21世紀が「アフリカの世紀」となるという確信を抱き、そしてそのような新しいページを今開こうとしているという高揚感を持ちながら、TICAD IVにおいて我々が真摯に議論を行ったことを忘れてはなりません。
アフリカ諸国が、アフリカの成長が自らの問題であるという当事者としての意識と、国際社会への責任を負っているとの意識とを改めて強く持たれることを期待いたします。
本日からの会合において、TICAD IV以来の様々な支援策の実施状況が閣僚の方々によって十分に検証され、今後の更なる実施へ向けた提言がなされることを希望いたします。そして何よりも、アフリカ各国の皆様と関係諸国、諸機関の関係者が一同に会することを通じ、我々の友情が一層深まることを念じております。そうした強固な友情に基づく人と人との信頼関係こそが、私はあらゆる協力推進の基礎になると確信するからであります。
ご列席の皆様のご健勝と会合の成功を心より祈念して、私のご挨拶といたします。 ありがとうございました。