平成21年1月31日
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議長、どうもありがとうございます。
今年、2009年は、成功の年か、もの別れの年になるでしょう。我々はうまくやれるでしょうか、それとももの別れの結果になるのでしょうか。どちらの側にいるのでしょうか。我々は、そのような非常に歴史的な分岐点にいるのです。ですから皆さん、お互いに強いプレッシャーをかけ合い、コペンハーゲンへのプロセスを完成させましょう。
京都議定書について述べましょう。それは中間点の、そして実際の効果が十分でないものなのです。なぜなら、京都議定書では世界全体の温室効果ガス排出量の30%しかカバーしていないからです。私にとって、京都とは、洗練された、永遠の美の古都です。しかし京都プロセスは、今までそのブランド・ネームにかなうものではなかったのです。<
なぜでしょう。その不十分な点はどこにあったのでしょうか。それは、団結の精神が無かったからなのです。そこで本日、私はここにいる皆様とともに、まず米国のオバマ大統領に対して我々に加わるよう呼びかけたいと思います。私は、「ようこそアメリカ!長いこと待っていました」と呼びかけるでしょう。私としても、オバマ大統領と気候変動その他の問題についてあらゆる協力を緊密に行っていきます。また、中国の胡錦濤国家主席に対しても、先進国・途上国を問わずすべての主要排出国が責任あるパートナーとして参加するようなポスト京都の枠組みの構築に加わるよう、皆様とともに呼びかけたいと思います。そして、欧州は引き続きこの問題にコミットしていくと確信しています。
昨年の北海道洞爺湖サミットで、我々は画期的な成果を得ました。本当に重要なものです。2050年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させるという目標をたて、これを国連気候変動枠組条約の締約国と共有していくことに合意しました。これは決して小さな出来事ではありません。しかし、その成果からさらに進まなければなりません。先進国は率先して排出量の削減を約束すべきです。また公平性の観点から、排出量を大きく増大させている一部の途上国は、その伸びを相当抑制することを約束すべきです。
非常に重要なことは、この問題が我々の問題であるという原則を再認識することです。我々はみな、その能力と責任に応じてできる限りの、しかし衡平な形での取組を進めなければなりません。そして私自身も、環境、経済、エネルギーを総合的に捉え、科学的な分析に基づき、6月までに中期目標を発表する考えです。コペンハーゲンに向けた交渉を進展させるために我々が持っている力を使うことができれば、世界はより良い方向に向かうでしょう。
例として、日本のイニシアティブ、「クールアース・パートナーシップ」について述べます。このプログラムの下、我々は、途上国のグッド・ガバナンスの構築とともに気候変動問題への対応を支援しています。太平洋で海面上昇の影響にさらされている偉大な島国ツバルに対して、日本政府は既に支援を開始しています。太平洋をとりまく諸国は力を合わせるべきです。
今、私たちは悲観主義の時代にいます。経済が下り坂のなかで、国際社会が気候変動に取り組むのは難しい、気候変動対策では経済を浮揚させることができないと主張する人もいるでしょう。しかし、これほど真実と異なる主張はありません。日本はその良い例です。例えば、充電池とガソリンで動くハイブリッド・カーは最も売れているもののひとつです。また、エアコンのエネルギー効率は技術の発展により今や非常に高くなりました。日本は、このような技術を発展させることにより経済を発展させていくことができます。既にこうした技術により日本を炭素効率の最も高い国にしてきました。私は、新たな技術やまだ活用されていない技術によって、経済成長と排出削減の両方を達成できると強く信じています。現在、日本は、新たな戦略的に重要な技術がどこにあるかを示す新たな海図を描こうとしているところです。太陽光発電技術、新たな電池技術、ナノテクノロジー技術、これら新しい重要な技術について、今後20年から25年、日本はイノベーションに取り組んでいきます。
私は、日本が優秀な頭脳が集まる場所となったことを、自ら誇りに思うべきだと考えます。同盟国たる米国や、近い隣国の中国、その両国といっしょに協力できるのです。日本と米国が、燃料電池や超電導などの最先端技術について協力していくよう、あらためてオバマ大統領に呼びかけたいと思います。また中国の方々に対しては、どうか日本に来て、我々が有害廃棄物や環境破壊対策について、いったいどのようにして成功を収めたか、実際に見てみて欲しいと申し上げてきました。日本と中国は共同でできることがまだまだ多くあることは明らかです。
以上の前向きな話で、私の挨拶を終わらせて頂きます。
ともに前に進んでいきましょう。
ご清聴ありがとうございました。