演説

麻生総理大臣演説

経済4団体主催午餐会における麻生総理挨拶

平成21年1月11日

趙錫来(チョ・ソンネ)全国経済人連合会会長
孫京植(ソン・ギョンシク)大韓商工会議所会長
李煕範(イ・ヒボム)韓国貿易協会会長
金基文(キム・ギフン)中小企業協同組合中央会会長
韓国経済界の皆様方

 新年明けましておめでとうございます。セーヘ ポク マニ パドゥシプシオ。

 本日は、日曜日にもかかわらず、私共のために、このような盛大な午餐会を開催していただき、心より御礼申し上げます。

 先月、福岡で、李明博大統領からご提案頂いたこともあり、今回、日本を代表する経済界のリーダーの方々と共に、ソウルを訪問させて頂くこととなりました。

 経済関係と国民相互間の交流の深まりが基盤となり、今日の日韓関係は、極めて緊密で、揺るぎないものになりつつあります。日韓両国の年間の貿易額は約870億ドル、人の往来は年間約500万人。1965年の国交正常化当時、1年かかったモノと人の流れは、今や、軽く1日で達成されます。本日お集まりの方々は、日韓経済関係を支える大黒柱として活躍してこられた方々です。皆様の御努力に、敬意と感謝を申し上げます。

 私は、李明博大統領に、昨年10月以降、世界の様々な地で、毎月お会いしています。二人ともビジネス界出身ということもあり、私は、大統領とは、物事の見方に相通ずるものがあると感じ、大変親しい気持ちを抱いております。私と大統領で力を合わせ、両国のビジネスにとって互恵的な、すなわちwin-winの二国間関係を構築していくことができると固く信じています。明日の首脳会談において、大統領との間で、大きく変動している世界経済の中で両国が共に発展していくための協力策を話し合わせて頂きたいと思っています。

 経済の実態を一番良くご存じなのは、まさに第一線で活躍しておられる経済界の方々です。たまたま、私の弟が日韓経済人会議の一員であることもあり、日韓経済関係の発展のために多くのビジネスマンの方々が日頃からいかに熱心に議論をされ貴重な提言をされているかを知っております。

 日韓産業間協力は、これまでも大きな成果を上げてきました。日本企業と韓国企業の合弁や、日本企業による韓国への技術移転には、様々な成功事例があります。また、韓国に進出している日本の商社は、韓国製品の第三国での販売や第三国での韓国企業との共同事業で大きな成果を上げていることは皆さんよく御承知のことであります。今や、多くの日本の商社は、日韓貿易での売り上げより、韓国企業との第三国でのビジネスによる売り上げの方が大きいと伺っています。まさに、win-winの関係が成り立っている一つの例です。

 ところで、多くの日韓の経済人の方々から、繰り返し提言しているのに日韓経済連携協定(EPA)が実現しないのはおかしいとのご意見を頂戴しています。日韓EPAができれば、二国間の貿易・投資関係が拡大するだけではなく、日韓の企業が、アジアを含む第三国で協力を更に進める可能性も広がることになります。両国経済に利益をもたらす日韓EPAを早急に実現することが両国政府に求められていることを私はよく承知しており、引き続き韓国政府とよく話し合っていきたいと思います。

 現下の金融・経済危機の中で実感するのは、危機をチャンスにするという逆転の発想が重要であるということです。日本は、石油危機や円高等、数々の危機を乗り越え、環境技術などで補ってきた歴史があります。そのためには、「物づくり」や「技」という産業の根幹を忘れないことです。これらは、日韓両国の強みであります。両国で協力して双方の強みを最大限に引き出そうではありませんか。

 日本と韓国が共に発展していくビジョンを求めていく上で、皆様は、良いアイディアをたくさんお持ちだと思います。今後とも、一層のご協力とご助言をお願いいたします。

 新年に当たり、日韓両国の繁栄、本日ご参加の皆様方のご健勝をお祈りし、私の挨拶とさせていただきます。

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