演説

小野寺外務副大臣演説

第3回イラク周辺国拡大外相会合
小野寺外務副大臣 ステートメント

平成20年4月22日
於:クウェート

 ズィーバーリー・イラク外相閣下、
 ムハンマド・クウェート副首相兼外相閣下、
 ご列席の皆様、

(冒頭)

 はじめに、第3回イラク周辺国拡大外相会合の開催を歓迎いたします。周辺国間の協力は、イラクの安定化にとって、最も重要な要素の一つです。本会合開催に向けたクウェート政府のイニシアチブ及びイラク政府の意欲を高く評価します。

(イラク政府の努力)

 前回のイスタンブール会合以降、イラクが成し遂げた進展について賞賛したいと思います。今年1月には「責任と公正」法案が国民議会で採択され、2月には、一般恩赦法案、地方自治法案も採択されました。しかしながら、イラク国民及び政府は、引き続き、国民融和、経済復興等の困難な課題に直面しています。

(我が国の支援)

 我が国はこれらの課題に取り組むイラクを応援します。国民融和に関しては、政党の代表を含むイラク国会議員等11名を日本に招聘し、昨年に引き続き、本年3月、「第2回イラク国民融和セミナー」を開催しました。紛争解決や安定化に関する日本や国際社会の経験をイラク側参加者と共有し、イラク側参加者の間で、石油・ガス法案、憲法修正、連邦制等、現下のイラクの課題について集中的な議論を行いました。その成果として、最終声明では、これらの事項に関する合意がなされました。

 イラクの真の復興のためには、引き続き国際社会の支援が必要です。我が国は本年2月、ファルージャ母子病院への約1、700万ドルの無償資金協力の供与を決定いたしました。ファルージャは治安が著しく改善した地域の一つです。本支援は、かつては激烈な戦闘の街であったファルージャの市民に“平和の配当”を供与することで、イラクの国民融和と安定化を促進することを目的としています。

 さらに、本日、新たな支援を発表したいと思います。我が国は、クルド地域の上水道、バグダッドの下水施設整備のため、約3.5億ドルの円借款の供与を行います。これは、既に交換公文署名済の10件、約21億ドルの支援に加えて新規に実施するものです。我が国は、イラクに対し、引き続き支援を継続していきます。

(周辺国の役割)

 イラクの安定化のためには周辺国の協力が不可欠です。我が国が、ヨルダン及びシリアのイラク難民のため支援を行ってきているのもその理由からです。この関係で、我が国は、周辺国を含む我々すべてがバグダッドの大使館を通じて恒常的に連絡・協力できるようになることが重要と考えます。本日お集まりのイラク周辺各国が、イラク安定化に向け、更なる建設的な役割を果たすことを期待します。

(バスラ情勢)

 最後に、先般のバスラ治安回復に関するマーリキー首相及びイラク政府の努力に対する支持を表明したいと思います。我が国は、今回の作戦が、宗派の利益よりもイラク国家としての利益を優先させるという、イラク政府の強い意思を示したものとして評価いたします。また、今回、イラク政治指導者間で採択された15項目の合意について、着実に実施されることを期待します。

(結び)

 我が国としても、今後も引き続きイラク安定化に協力していく決意ですが、重ねて本日お集まりのイラク周辺各国によるなお一層の取組の必要性を強調したいと思います。ご静聴ありがとうございました。

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