平成20年11月25日
於:リオセントロ会議場
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ルーラ・ダ・シルバ大統領ならびに令夫人、シルヴィア王妃陛下、ヴァヌーシ大統領府人権問題特別庁長官、共催団体代表の皆様、各国代表団、御列席の皆様、そして子ども・若者代表の皆さん、
第2回世界会議の主催国である日本政府を代表して、第3回世界会議の開催に心からお喜び申し上げると共に、本会議を主催することにより、児童の性的搾取との闘いの灯を横浜から地球の裏側のリオデジャネイロへと運んでくださったブラジル政府、UNICEF、国際ECPAT、児童の権利条約NGOグループに心よりの謝意と敬意を表したいと思います。
7年前、我が国は、国内外から3,000名もの参加者を横浜に迎え、児童の商業的性的搾取問題に対する各国政府、国際機関、NGO及び市民社会のコミットメントを再確認し、協力を推進することを約束しました。横浜会議で採択した「横浜グローバル・コミットメント2001」は、第1回世界会議で採択した「ストックホルム宣言および行動のための課題」の確認とフォローアップとして、この問題に深い関心を有する様々なアクターが本件問題に取り組む際に指針とされる主要な国際文書のひとつとなりました。
その後、現在に至るまで、コミットメントの合意項目の中でも、関連する国際文書の批准については大きな進展が見られています。横浜会議開催時には未発効であった「児童売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」は現在発効して129カ国が締約国となり、2000年11月に発効した「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関するILO条約(第182号)」を、現在169カ国が締結していることは、2001年以降、国際社会がこの問題を重要視し、真剣に取り組んできた証と言えます。これらの国際文書の規定が効果的に実施されるために、締約国は国内における施策を真摯に検討し、実行するとともに、締約国がさらに拡大するよう、国際社会においても積極的に働きかけを続ける必要があると考えております。
また、国際的に児童の商業的性的搾取への関心が高まり、この問題の根絶に尽力する主要な主体の間で、密接な連携が実現されてきたことに力づけられます。本年東京で開催されたG8司法・内務大臣会議においては、児童の性的搾取問題との闘いを継続する意志を再確認しております。また、国境を越えて拡散するインターネット上の児童ポルノ対策として、多国間の協力による児童ポルノ事犯の摘発が実現し、2004年にはサイバー犯罪条約が発効するなど、サイバー犯罪の防止と抑圧のための国際的枠組みが生まれました。
我が国においても、国際協力の一環として、東南アジア各国の警察・司法当局者等との意見交換を通じて、児童の商業的性的搾取事犯にかかる捜査協力の拡充・強化に努めています。また、我が国が長年推進してきた人間の安全保障の理念に基づくアプローチ、すなわち保護と能力強化を通じて、児童の性的搾取・トラフィッキングに対抗する包括的な取組を積極的に支援しています。
依然として、児童買春、家庭内や近親者からの性的虐待、またその現場で製造されインターネットを通じて流布する画像、児童を性の対象としたポルノ、複数の国をまたぐ人身取引等、児童に対する深刻な人権侵害は後を絶たず、IT技術の発達及びインターネットや携帯電話の普及により、新たな形態の性的搾取が生じてきています。
私たちが集うということは、依然として悲しい現実があるということを受け止めなければなりません。しかし、この機会に再度、児童の性的搾取が許されてはならず、この問題に断固として立ち向かうという決意を新たにしようではありませんか。
我が国は、11月を「児童虐待防止推進月間」と定め、オレンジリボンをシンボルに、性的虐待を含む児童虐待防止のための広報・啓発活動など種々な取組を行っています。シンボルカラーであるオレンジには、太陽のように明るい未来を子どもたちに与えたいとの願いが込められています。
世界人権宣言60周年となる本年、児童の人権を守るためにも、世界会議を契機に、より多くの人々がこの問題に関心を持ち、我々とともに行動することによって、ここリオデジャネイロに燦々と降り注ぐ太陽の光のように、明るく、力強く、希望に満ちた未来を、世界中の子どもたちに約束できるように願ってやみません。またそのために、我が国も積極的に協力していく所存です。
ご静聴ありがとうございました。