演説

中山外務大臣政務官演説

UNCTAD第12回総会における
中山外務大臣政務官一般討論演説

平成20年4月21日(月曜日)18時40分頃
於:ガーナ・アクラ
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議長、各国代表各位、国際機関代表の皆様、並びにご列席の皆様、

 まず、本会議の成功にご尽力されてきたガーナの政府及び国民の皆様に心から感謝申し上げます。

 また、クフォー大統領が、良い統治と法の支配を積極的に推進し、安定した経済成長を維持しながら、アフリカ地域の平和と安定を促進する上でリーダーシップを発揮されていることに敬意を表します。

議長、

 UNCTAD第12回総会のテーマは、グローバリゼーションにおける開発の機会と挑戦です。

 我が国を含むアジア諸国の経験は、貿易の促進が経済成長に大きく貢献しうることの証左です。貿易を通じた開発に焦点をあてたWTOドーハ・ラウンドの成功は、開発途上国にとって極めて重要です。我が国は途上国とも連携しながら、ラウンド交渉が積極的且つバランスのとれた合意を得て成功裡に妥結するよう、引き続き精力的に取組む所存です。

 我が国は「貿易のための援助」の一環として、インフラ整備を含めた資金協力や技術協力等の支援を包括的に実施する「開発イニシアティブ」を2005年に立ち上げました。この枠組みのもと、我が国は、WTO香港閣僚会議で定められた期限に先立ち、2007年4月にLDC産品に対する市場アクセスの無税無枠措置を拡充しました。

 また、「一村一品運動」も支援しています。ここガーナのシアバターという石けんはその好例です。シアの実から抽出したシアバターは我が国でも大変人気があります。我が国は、ガーナの農村でシアバター生産の技術向上や住民の組織化、質の良い石けん作りなどを支援しており、その結果、現在ではガーナのシアバターは我が国にも輸出されるようになりました。これはガーナの農村経済を活性化させ、シアバターを製造する女性たちの収入向上につながると期待されています。

議長、

 グローバリゼーションが進むにつれて、UNCTADは新たな課題に適切に応えていくことが求められています。「UNCTADの機能強化」が今次総会のテーマの一つになっているのはこのためです。

 2006年発表の賢人会議報告書にある通り、UNCTADは他の国際機関との重複を排しつつ、他の国際機関との連携を強めていくべきです。また、人材育成や投資分析など比較優位分野に資源を集中させることが重要です。

 スパチャイ事務局長はUNCTADの機能強化に向けて、事務局長就任以来精力的に改革に取り組まれており、我が国は同事務局長の取組みを支援しています。今次総会が、UNCTAD機能強化の具体化に向けた指針を示すことを望みます。

議長、

 来月、我が国は「元気なアフリカを目指して」の基本メッセージのもと、TICAD IVを開催します。TICADは冷戦終結後、国際社会のアフリカに対する関心が薄れつつあった1993年に第1回会議を開催し、アフリカへの関心を呼び戻すきっかけを作ったと自負しております。その後、アフリカに対する国際社会の関心は高まりを見せております。しかし、開発の恵みを享受できない人が今も多くいることは忘れてはなりません。多くの地域では紛争が絶えまなく起きています。また、最近の食料価格高騰は貧困層の生活に深刻な影響を与えています。TICAD IVでは、これら問題への対応についても議論する予定です。

 個人的な話を申し上げれば、私の祖父は第2次大戦前後を含め40年以上も政治家として活躍し、若い頃には世界各地を旅した人でした。祖父は当初、大自然党という小さな新党を立ち上げましたが、当時は一般市民の間で気候変動問題等地球規模課題への理解が足りなかったため、残念ながら最初の選挙には落選しました。その祖父は、「将来アフリカが世界を決する」という信念を強く持っていました。

 私も、今年に入ってから、エチオピア、ニジェールなどアフリカ諸国を訪問し、飲料水や初等教育の欠如など、アフリカで今何が起こっているのかを直接学びました。中でも最も重要なのは持続的開発の基礎として平和と安全を確保することです。祖父の信念を継いで、アフリカ開発のために、力を尽くしていこうと決意を新たにしたところです。

 我が国は、本年もう一つの重要な国際会議、北海道洞爺湖サミットを7月に開催します。このサミットでも、開発・アフリカを主要議題の一つとして取り上げます。今次総会での議論をも踏まえながら、TICAD IV、北海道洞爺湖サミットを真に実りあるものとする所存です。

 今次総会が皆にとって有意義な会議となるよう祈念しつつ、私のスピーチを終わります。ご静聴ありがとうございました。

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