演説

中山外務大臣政務官演説

ジュネーブ軍縮会議における中山大臣政務官演説(骨子)

平成20年3月4日
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1.序言

 広島・長崎の被爆を経験し、また、第二次世界大戦後一度も他国と戦いを交えたことがない我が国は、平和を語るのに相応しいと確信している。日本は歴史的にも平和の意味を理解している国であり、福田内閣も平和協力国家として国際社会に貢献していくとの考えを国民に対して、そして世界に対しても表明している。

2.CD

 昨年の6議長による作業計画案(L1)はCDの現状を客観的に反映した現実的な妥協案。CDの停滞を打開するために、加盟国がL1に合意することを呼びかける。本年最初のCD本会議において、国連事務総長が、妥協の精神により議長決定案がもたらした歴史的な機会を掴みCDを前進させるよう改めて呼びかけたことに感謝。

3.核廃絶と実際的な措置

 唯一の被爆国である我が国は、より良い国際安全保障環境を創出するため、核兵器のない平和で安全な世界を希求。我が国が毎年国連総会に提出している核軍縮決議は、国際社会の圧倒的多数の賛成を得ている。同決議は、核兵器廃絶に向けて、現実的かつ具体的な核軍縮・不拡散措置を積み重ねていくべきとの我が国の考えを示したもの。

(NPT)

 国際社会が共同してNPT体制が直面する挑戦に立ち向かうことが重要。2010年運用検討会議の成功に向け、天野議長の下で行われた第1回準備委員会の成果に基づき、第2回準備委員会においてさらに有意義な実質的議論が行われることを強く期待。

(核軍縮)

 全ての核兵器国がNPT第6条の核軍縮に対する強いコミットメントを果たしていくことが重要。米露の核軍縮を歓迎するとともに、STARTIの後継アレンジメントを期待。全ての核兵器国に対し、核に関する更なる透明性を求める。また、核兵器国による核軍縮措置における不可逆性及び検証可能性の原則の適用が重要。

(CTBT)

 また、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効も必用不可欠である。特に発効要件国の一つであるコロンビアの批准により、発効要件国でありながら未批准の国の数が一桁台となったことに勇気づけられる。我が国は、引き続き、各国のCTBT批准を呼びかけるとともに、CTBTが発効するまでの間、核実験モラトリアムが継続されることを期待する。我が国としては、引き続き検証制度の整備にも貢献していく。

(FMCT)

 兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始も極めて重要。2006年及び2007年のCDにおける作業によりFMCTの交渉開始の時機が十分熟していることがより明白になった。また、すべての核兵器国及びNPT非締約国に対し、条約が発効するまでの間、兵器用核分裂性物質生産モラトリアムを宣言することを求める。

4.CDのその他の事項

(PAROS)

 我が国は、宇宙空間における平和利用に積極的に取り組んでおり、宇宙空間における軍備競争は防止されるべきであるとの観点から、これまでもCDをはじめとする様々な国際的な場での議論に参加してきた。ラブロフ露外相がCDに提示した「宇宙空間における兵器配置防止条約」(PPWT)案を含め、宇宙における軍備競争の問題に関する様々な論点につき総合的に検討し、議論を行っていく。

(NSA)

 我が国は、消極的安全保証(NSA)の考えを基本的に支持してきている。他方、NSAを供与するのは核兵器国であり、NSAの議論を進めるにあたっては核兵器国を含めた共通理解を醸成していくことが不可欠。

5.G8サミット・TICAD

(G8サミット)

 本年、日本はサミット議長国として、7月に北海道洞爺湖サミットを開催する。このG8サミットにおいては、大量破壊兵器の不拡散の問題を取り上げる。国際的な不拡散体制の維持・強化に向けて、G8として力強いメッセージを発出したい。

(TICAD)

 本年5月、我が国は第4回アフリカ開発会議(TICADIV)を主催する。平和は開発の大前提であり、我が国はTICADプロセスを通じて従来より、国の再建や復興に力を入れてきた。軍縮は平和を定着させる上で重要であり、また国連事務総長も指摘したとおり、軍備に使われる資金は、MDGs達成を含む経済開発のために使用し得るのである。我が国は、世界の平和の維持・回復・構築に積極的に協力し、「平和協力国家」を目指していく。

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