演説

中山外務大臣政務官演説

第7回人権理事会ハイレベル・セグメント
中山外務大臣政務官ステートメント(和文仮訳)

平成20年3月3日
於:ジュネーブ

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議長、人権高等弁務官、ご列席の皆様、

まず、人権理事会の制度構築を推進されているコステア・ルーマニア大使閣下の努力に敬意を表します。また、アルブール人権高等弁務官の貢献を評価します。

議長、

我が国は人権理事会をより実効的な機関とすべきとの国際社会の考えを共有し、これまでの制度構築議論に積極的に参加して参りました。

現在、人権理事会はこの基礎の上にいかなる未来を築くのかが問われています。

議長、

普遍的定期的レビュー(UPR)制度が、まもなく開始されます。UPR制度が、そのフォローアップも含め人権理事会の有効なツールの一つとなり得ることを心から希望します。我が国は、出来る限りの貢献を行う所存です。

議長、

これらの新しい制度の下においても、国別特別報告者制度は、特別の状況を詳しくフォローするために引き続き重要です。我が国は、国際社会との継続的な対話を含め、各国の特別報告者の活動への協力の重要性を強調します。

北朝鮮との関係については、我が国としては、日朝平壌宣言に則り、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するとの基本方針の下、拉致問題の解決を含む北朝鮮の人権状況の改善を求めており、そのための北朝鮮人権状況特別報告者の役割を評価しています。同報告者は、これまで北朝鮮への入域を許されていない中、真摯に北朝鮮の人権状況改善のために取り組み、大きな役割を果たしています。同報告者の取組を今後とも継続する必要があると考えており、本理事会では同報告者のマンデート延長が不可欠だと考えます。

議長、

我が国も従来より、人権の促進に努力する国々と対話を行い、様々な問題を対話を通じて解決していく努力を追求してきています。人権の促進は時間のかかる困難な事業であるため、我が国は長期的コミットメントを重視しています。人材育成を含めニーズに応じた支援を通じ、各国と共に取り組んでいく所存です。

我が国としては、対象国の政府の努力と、これを支える市民社会の努力が総合されることが効果的と考えます。市民社会のエンパワーメントに繋がる支援は対象国の状況に適したものとすべきですが、我が国は市民社会の強化に繋がることを目指して、本年2月、ローランド・リッチ国連民主主義基金(UNDEF)事務局長の参加も得て、我が国においてNGOのための民主化支援セミナーを開催しました。

議長、

我が国は平和や開発など様々な分野における国連の「人権の主流化」に賛同します。これは、個人とコミュニティの保護及び能力強化を重視する我が国の「人間の安全保障」アプローチとも整合性のあるものです。私の祖母の中山マサは我が国における最初の閣僚として1960年に厚生大臣となりました。以来48年間、我が国は女性の役割の強化に取り組んで参りました。我が国として、更に女性の視点を強化することに加え、更に、高齢者、児童、障害者等の弱者の保護及び能力強化の視点を拡大、強化することを目指しています。

そのような考えのもと、我が国は昨年9月、障害者の権利条約に署名しました。今後、可能な限り早期の締結を目指し検討を行っています。

我が国は自らの経験を踏まえ、ハンセン病差別の撲滅に向けて国際社会においてイニシアティブをとっていく所存です。昨年、我が国が任命した笹川ハンセン病人権啓発大使と共に、この問題につき国際社会の理解を深めたいと考えます。

我が国は2001年に「第2回児童の商業的性的搾取に反対する国際会議」を主催しましたが、第3回国際会議が本年11月にブラジルで開催されることが正式に決定されたことを歓迎します。第2回会議を主催した我が国として、第3回会議の成功に向け各国政府・関係機関と連携し、最大限の協力を行う所存です。

議長、

基本的な人権を確保するためには平和や開発等様々な分野での取り組みが必要です。特にアフリカにおいてその必要性は顕著です。「元気なアフリカを目指して」の基本メッセージの下、我が国は本年5月に第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を開催し、重点事項の一つとして、「人間の安全保障」の確立をテーマに取り扱います。この中では、開発にとって重要な平和の定着・民主化支援のための方策や、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた方策等を議論していく予定です。この会合に向けて皆様の協力を御願いしたいと思います。

議長、

人権理事会は、真に実効的な機関となりうるかの極めて重要な局面にあります。初代理事国としての我が国の任期は本年5月に終了しますが、今後も積極的な貢献を行うために、本年5月の人権理事会理事国選挙に再立候補しています。多くの国々から支持を頂けることを希望します。

国際社会の期待を背負って生まれた人権理事会は、今後、着実に発展していかねばなりません。我が国は、世界の平和と発展に貢献する「平和協力国家」として、国際社会において責任ある役割を果たしていく考えです。我が国は人権理事会の将来を共に築いていく決意を改めて表明致します。

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