皆さん、本日はおめでとうございます。
本日、皆さんは、65日間にわたる厳しい訓練を無事修了し、晴れて青年海外協力隊員、シニア海外ボランティアとなられました。新しい門出に当たり、心からお祝い申し上げます。
これから皆さんが従事される活動は、形の上ではボランティア事業という位置付けですが、途上国の草の根レベルに深く入り込んで現地の人々と一緒に汗を流しながら当該地域の開発に取り組むという点で、今や、我が国の国際協力の中でも最も「顔の見える援助」の一つとなっており、多くの国々から高い評価を得ているものです。
特に、皆さんが赴かれる場所というのは、おそらく周囲に日本人がほとんどいないか、場合によっては皆さんが唯一の日本人となられる地域もあるのではないかと思います。そういう意味でも、皆さんは、これからお一人お一人が日本の「代表」として派遣されるのです。皆さんにおかれても、是非その自覚と誇りをもって各々現地で精一杯御活躍頂きたいと切に期待しております。
昨年から青年海外協力隊とシニア海外ボランティアの派遣前訓練が共同で行われるようになりました。今、こうして皆さんのお顔を拝見しておりますと、皆さんの中には親子ほどもの年齢の差のある方々もいらっしゃる御様子ですが、こういう訓練生同士が2ヶ月余りにわたって寝食を共にしながら研鑽を積むというプログラムは、大変意義深いものだと思います。また、実際にこの訓練を受けられた皆さんにとっては、65日間、毎日早朝6時から深夜11時まで厳しく管理されながら過ごすというこの訓練課程は結構不自由でつらいことも多かったのではないかとも推測します。
いずれにせよ、こうした厳しい訓練生活の中で「同じ釜の飯」を食べた仲間というのは、非常に貴重だと思います。これから皆さんがそれぞれの国で活動されるに当たっては、数々の貴重な経験を積まれることと思いますが、その一方で、異なる文化・社会や厳しい生活環境の中で、孤独や不安、そして様々な困難に直面されることもあるでしょう。そのような時こそ、この厳しかった訓練生活を是非思い出していただきたいと思います。そして、この厳しい訓練生活を共に過ごした仲間も各々世界のどこかで一生懸命頑張っているのだ、ということを思い起こせば、改めて勇気を振り絞ることもできるのではないでしょうか。
また、皆さんを支える御家族や、ボランティアのOB・OGの方々、そして私自身を含め日本国民の多くの人たちが、常に皆さんを応援していることをも併せて思い出していただければ幸いです。
最後に、今後皆様方が、赴任先の国々で様々な貴重な経験を積まれ、無事に帰国されますことを、そして、引き続き日本のために、また国際社会のためにますます御活躍されることを心よりお祈りいたします。
平成20年9月11日
外務副大臣 伊藤 信太郎