演説

伊藤外務副大臣演説

平成20年度平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業研修開講式
伊藤外務副大臣祝辞(仮訳)

平成20年8月25日
於:国連大学5階エリザベス・ローズ・ホール

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広島平和構築人材育成センター(HPC)第2期研修員の皆さん、
御列席の皆様、

これから日本、そしてアジアから平和の創り手として世界各地に飛び立つべく研修を始めようという皆さんにお祝いの言葉を申し上げられますことを、大変嬉しく思います。

平和構築は、紛争の一時的な停止ではありません。
平和構築は、永く続き、紛争に後戻りしないような平和を創り出すことです。
このためには、和平の仲介、人道支援、治安の回復、経済・社会の復興、国づくりといった様々な局面で支援を行わなければなりません。
アフガニスタンやイラクの紛争を持ち出すまでもなく、紛争で引き裂かれた国が平和構築の道のりを自らの力だけでまっすぐ進むことは到底できません。
国際社会からの暖かく、一貫した支援が求められています。

本年1月、福田総理は、我が国が「平和協力国家」として、世界各地で平和を後押しし、現場で汗をかき、そして知恵を出していくことを表明しました。
この1年、我が国は、国際社会における平和構築の議論を主導してきました。
国連に設置された平和構築委員会においては、我が国は昨年より議長として、国連での平和構築の議論をリードし、ブルンジやシエラレオネといった国における取組の方向づけを行いました。
我が国は、本年5月に横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を主催し、平和構築の最も重要な現場であるアフリカにおける平和の定着を後押ししました。
我が国は、本年7月に北海道洞爺湖サミットを主催し、G8議長国として、平和構築をG8による主要協力分野の一つに位置づけ、軍、警察、文民部門における平和構築能力の世界的強化を進めるイニシアティブをとりまとめました。
アフガニスタンを始めとする世界各地で平和の後押しも行ってきました。
アジア・太平洋では、フィリピン・ミンダナオの国際監視団に文民を派遣してミンダナオの和平を支えています。
また、我が国は本年、国連開発計画(UNDP)を通じてアフリカのPKOセンターを強化するための支援を行い、これらセンターに自衛官を講師として派遣することとしたほか、マレーシアのPKOセンターへもUNDPを通じた支援を決定しました。

皆さんが本日から始めるこの研修は、日本、そしてアジアにおける文民部門における平和構築能力を強化しようとするものであり、北海道洞爺湖でのG8首脳の決意にも合致するものです。
そしてこの研修は、ASEANを始めとするアジア各国の協力によって初めて成り立つものです。
本年3月に国内研修と海外研修を終え、平和を創っていくための知恵と経験を身につけた第1期の研修員の皆さんは、既に、スーダン、東ティモール、コソボなどの平和構築の現場で、平和が紛争に後戻りすることのないよう汗をかいています。
これから皆さんも、アジアからの平和構築のパイオニアとして、世界各地で平和を創るためのお手伝いができるよう、しっかり研修をしていただきたいと思います。

ここで一つ、お約束をしたいと思います。
来年度、この事業を拡充することをお約束します。
平和都市ヒロシマで播かれた平和構築の種が今後しっかりと根付き育っていくように、この事業を大きく拡充していきます。
現在の研修コースを長期化するのみならず、新たに短期研修コースを設けることにより、研修員の数を大幅に拡充します。
さらに、現場ですぐに働くことのできる平和構築の人材のデータベースを構築し、平和の創り手を拡大していきます。
そのためにも、第2期の皆さんとは、研修期間が終了した後も、長く協力できる関係を築いていきたいと思います。
こうして、世界平和を祈るヒロシマの心が、研修員の努力を通じて世界各地にしっかりと伝わっていくことになりましょう。

最後に、日本、そしてアジアから平和構築の専門家となるためここに集われた皆さんに心からの歓迎と激励の気持ちをお伝えして、私の祝辞といたします。
御清聴ありがとうございました。

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