
橋本外務副大臣演説
サマーワ大型発電所引き渡し式
橋本副大臣御挨拶
平成20年12月22日
- アッサラーム・アレイクム。本日は、我が国とイラクの友好関係の象徴であるここサマーワにおいて、サマーワ大型発電所引き渡し式を開催でき、心より嬉しく思います。
- 2003年以降、我々はイラクの皆様と一緒に汗を流し、イラクの復興支援のために全力で取り組んで参りました。特に、ここムサンナー県には、2004年1月から約2年半の間、陸上自衛隊を派遣し、給水・医療・教育などの分野で人道復興支援に取り組みました。ムサンナー県民の皆様には、陸上自衛隊の活動に多大なる御支援を頂きました。改めて御礼申し上げます。
- また、サマーワには外務省の連絡事務所も設置され自衛隊の活動と連係しながらODAによる復興支援事業を実施しました。現在、我が国の大使である小川正二大使は、そのサマーワ外務省連絡事務所長を務め、皆様とともにムサンナー県の復興に取り組みました。
- 当時、我が国はムサンナー県の深刻な電力事情を何とかしたいと、真剣な検討を続けた結果、127億円を投じる大型発電所の建設を決定致しました。今ここに日本政府のイラク復興支援無償資金協力事業の中で、最大規模の象徴的な事業である大型発電所が無事完成し、ムサンナー県の皆様に電力供給が始められたことを共に喜びたいと思います。同発電所は新たに60MW(注:15MW・4機)の電力をムサンナー県の皆様に供給し、これによりムサンナー県の電力供給が倍増されることとなります。
- 我が国は、2003年のマドリッド国際会議において、イラクに対し最大50億ドルの支援を約束しました。このうち、無償資金協力としてプレッジ額を超える16.9億ドルの支援を実施し、また、最大35億ドルの円借款事業についても円滑に実施してきております。更には約60億ドルの債務救済、これまで約3500名を超えるイラク人に対する研修を実施してきました。
- こうした我が国を含む国際社会の支援、そして何よりもイラク政府・国民による地道な復興努力の結果、イラク国内は全般的に治安が改善傾向にあり、国民融和にも一定の進捗が見られております。こうした状況の変化、そしてイラク政府の意向を受け、先日、これまで国連職員や多国籍軍への輸送支援を実施してきた航空自衛隊による活動を終了させました。
- こうした中、サマーワ大型発電所の引き渡し式が開催されたことは、イラクの安定化と復興に向けたイラクと国際社会の努力が、新たな段階に至っていることを象徴的に示していると考えます。
- 我が国はこれからもイラク復興支援にコミットしていきます。今後も引き続き、1)円借款事業の円滑な実施、2)技術協力(キャパシティ・ビルディング)、3)経済・ビジネス関係の強化などにより支援を継続することを通じ、日イラク両国間の長期的・戦略的なパートナーシップを一層強化していく考えです。
- 今後のムサンナー県の皆様の、益々の御発展を祈念して、御挨拶とさせて頂きます。
- ご静聴ありがとうございました。