演説

国連の場における演説

第62回国連総会第二委員会:議題54「持続可能な開発」における
神余隆博国連大使ステートメント(仮訳)

平成19年10月30日

英文はこちら

議長、

 持続可能な開発の考え方は、環境保護及び経済成長の両方を促進しようとするにつれて、その重要性が高まってきています。本日は我が国が重視しているいくつかの問題について簡単に触れさせていただきます。

 気候変動は地球上の生命に対する喫緊かつ多面的な課題です。その課題に対処するためには協調行動が必要です。我が国は気候変動に関するハイレベル会合の開催に当たり、事務総長によって取られたイニシアチブを評価します。全加盟国が12月のバリ会合に向けて表明された政治的意思に励まされたものと思います。また、総会議長が気候変動を本総会において取り組むべき重要課題の一つとしたことを喜ばしく思います。我が国は、共通の課題に取り組むために国連システム及び加盟国が如何に進んでいくべきかについて探り出そうという総会議長のイニシアチブを強く支持します。

 気候変動問題に対応するに当たり、念頭に置いておくべきいくつかの点について言及したいと思います。

 第一に、2013年以降の枠組みが効果的であるためには、全ての主要排出国の参加が必要です。そのために、枠組みは柔軟かつ多様であり、各国の状況を考慮に入れるものである必要があります。また、枠組みは環境保護と経済成長を両立させるものでなければなりません。

 第二に、気候変動への適応を速やかに開始しなければなりません。気候変動は今現在、この地球及び人類に深刻な影響を与えています。特に、災害リスク軽減や災害への備えの分野において行動することが重要です。異常気象にさらされる頻度が増加しているため、社会の回復力を増加させる必要があります。この点において、2005年に神戸で行われた国連世界防災会議において採択された兵庫行動枠組みは有効な指針となります。我々は、同枠組みに行動をあわせるべきです。また、兵庫行動枠組みの実施を促進するメカニズムを強化するため、6月に開催されたグローバル・プラットフォームの設立には勇気付けられたものがあります。

 第三に、我々は、脆弱国、特に、気候変動への寄与が小さいにもかかわらず最も深刻な影響を受けている小島嶼国や低開発途上国を支援しなければなりません。そのために、我が国は、我が国の提案に応えて、自国の政策を積極的に変えていく途上国に対して支援を行うための新たな資金メカニズムを構築します。我が国は、他国の排出の結果、国土の水没、砂漠化等の危機にさらされている途上国に配慮していきます。

 第四に、森林伐採からの排出を最小限に抑えることが緩和にとって極めて重要です。適切な土地利用管理が促進されるべきです。この関連で、4月の第7回国連森林フォーラムで合意された森林に関する法的拘束力を持たない枠組みのようなイニシアチブが、適切に履行される必要があります。我々は、G8や他の会合において議論された違法伐採に対抗するために協力する用意があります。バリで開かれるCOP13においても、森林伐採の問題に取り組む用意があります。

議長、

 国際環境ガバナンスは我々が直面している環境問題に効果的に対処するために重要です。我が国は、国際環境ガバナンスに関し、メキシコのヘラー大使及びスイスのマウラー大使の共同議長によりなされた作業に謝意を表明します。我が国は、国連の環境活動を促進するために如何に最も効果的なメカニズムを探しだすかにつき、引き続き建設的に議論に参加していきます。また、9月にブラジル政府が持続可能な開発のための国際ガバナンスに関する閣僚会合を開催してくれたことに感謝申し上げます。

 過去の非公式協議でも述べたように、我が国は、全ての関連する国連プログラムが最大の効果を発揮するために国際環境主体の間で緊密な調整を行う必要があるという意見に賛同します。我々は、国連の機能の合理化及び主流化を確保し、国連環境活動の有効性と一貫性を強化するために行動する必要があります。

議長、

 第61回国連総会において、2008年国際衛生年を設定するに当たり、加盟国より我が国に与えられた支援及び協力に感謝申し上げます。

 ミレニアム開発目標は、2015年までに世界中の国で安全な飲み水と基本的な衛生施設に持続的にアクセスできない人々の割合を半減すべきとの目標を掲げています。この目標に向けた進展は遅く、率直に言って十分ではありません。協調された地球規模のさらなる活動が早急に求められます。2008年、我々は、この分野において前進するために重要な岐路に立つことになります。如何に状況が芳しくないかを確認するために、持続可能な開発委員会第16会期は水と衛生に関する政策決定の実施の進展を包括的にレビューすることになっています。全加盟国、関連機関及びステークホルダーに対して、あらゆるレベルでの意識を啓発し行動を促進するために国際衛生年を有効に利用することを奨励します。

議長、

 教育、世論喚起及び訓練は持続可能な開発を達成するために極めて重要です。第57回国連総会は、2005年~2014年を国連持続可能な開発のための教育の10年と定め、各国政府に対し、教育戦略や行動計画に同10年を実施するための措置を含めることを検討するよう要請しました。2006年3月、我が国は教育の10年のための行動計画を発表し、それに基づくプロジェクトは、現在、国内で実施されているところです。加盟国に対し、持続可能な開発のための教育及び世論喚起を図るために本10年を有効に利用することを奨励します。

 最後に、我が国は2010年に名古屋において、第10回生物多様性条約締約国会合を主催する意図を表明したことについて言及させていただきます。来年のCOP9で正式に承認されることを希望します。我々は会議の成功に向けて最大限の努力をします。

このページのトップへ戻る
国連の場における演説 | 平成19年演説 | 目次へ戻る