演説

国連の場における演説

安保理決議1325「女性・平和・安全」に関する安保理公開討論
高須幸雄大使ステートメント(仮訳)

平成19年10月23日

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議長、

 まずはじめに、安保理決議1325「女性・平和・安全」に関する公開討論を開催いただいたガーナ代表団、とりわけ貴議長に謝意を申し上げるとともに、ゲスト・スピーカーの方々による洞察力に富むプレゼンテーションに感謝する。

 安保理決議1325(2000)「女性・平和・安全」採択から7年目を迎えた。同決議の有する原則の実現に向けて前進するためには、加盟国、国連システム、地域機構、NGO、とりわけ現場で活躍する女性団体を含む全ての関係者により具体的な行動が取られなければならない。安保理決議1325は一貫した効果的な方法で実施されなければならない。事務総長報告(S/2007/567)はシステム・ワイド行動計画によるこれまでの成果、実施におけるギャップ、同行動計画を成功させるために克服されるべき課題を提示しており、我が国は同報告書を歓迎する。政策枠組、実施戦略、成果に基づく運営枠組の策定は、行動計画(2008-2009年)の説明責任、監視、報告の改善に役立つものであり、我々はこれらの進展も歓迎する。

 「女性・平和・安全」機関間タスク・フォースのイニシアティブにより、安保理決議1325実施におけるグッド・プラクティス及び教訓のデータ・ベース設置を歓迎する。これにより国連システムの活動がいかに実際の女性の生活に現実的で建設的な変化をもたらしているのかを提示することを期待する。我が国は、バン事務総長が、現役の事務総長特別代表のなかで唯一の女性となるロイ・デンマーク大使(Ambassador Ellen Margrethe Løj)をリベリア事務総長特別代表に任命する意向を安保理に通報したことを歓迎する。

 安保理決議1325の謳う原則は、多くの紛争後の現場で共有・適用されてきている。他方、我々は紛争経験国が暴力へ逆戻りすることも目の当たりにしてきている。この関連で、平和構築委員会(PBC)の設置は安保理決議1325の目的の達成に向けた画期的な出来事であった。平和構築活動にはジェンダーの視点を組みこまなければならない。平和を定着させるためには、和平交渉から、国内の安定の確保、人道・復興支援の手配、国民和解に至るまで、あらゆる関連プロセスに女性が十分に参加することが必要である。ブルンジ及びシエラレオネ両国において、ジェンダー平等の視点が認識され、これがPBCの活動に取り込まれてきたことは喜ばしい。紛争後の戦略においても女性の積極的な参加が十分に取り込まれることを確保しなければならない。我が国はPBCの議長として、本日の安保理公開討論のフォローアップとして、PBCが平和構築における女性の役割に関する政策的及び戦略的見直しを行うためにあらゆる努力をする所存である。

議長、

 紛争によって最も直接的な影響を受ける社会的弱者、とりわけ女性の状況を考慮せずに紛争や平和について議論することはできない。紛争復興下で女性は、平和の定着にむけたすべての段階及び過程で特別なニーズを提案・反映させることで重要な役割を担うことができる。これは、人間中心のアプローチの重要性を明示しており、個人及びコミュニティのエンパワーメント及び安全と基本的な福利に対する脅威からの保護に着目している。これは、我が国が地球規模、及び現場レベルでとりわけ注視しながら促進してきている人間の安全保障のアプローチである。

 人間の安全保障の概念を実践し具体的行動を促進するために、我が国は1999年以降国連人間の安全保障基金を支援している。同基金を通じては、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ルワンダ、ブルンジ、アフガニスタンを含む多くの国で、紛争下及び紛争復興後の女性を支援するプロジェクトが実施されている。これらのプロジェクトは同時に紛争当事者間の共存にむけた環境作り及び和解促進にも寄与するものである。我が国は、国連人間の安全保障基金が、平和構築基金とともに、紛争復興下での経済的社会的安定を回復するための女性のイニシアティブが促進する具体的なプロジェクトの支援に活用されることを希望する。

 最後に、女性の生活に関わる治安と安全が確保され、女性の特別なニーズが武力紛争下、平和維持、平和構築において注視されるために、安保理決議1325の目標達成に向けた我が国の継続した支援を約束する。

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