平成19年10月15日
(英文はこちら)
議長、
我が国は女性の発展は全ての人のための発展であると信じており、その原則は、北京宣言・行動綱領を実施するためにも守られなくてはならない。達成に向けて、我が国は、国内、地域、国際レベルでジェンダー平等な社会を創設するための活動に継続して取り組むことが重要であると考える。ジェンダー平等と女性の地位向上を促進するための我が国の取組について以下に概要を述べる。
議長、
ジェンダー平等な社会を創設するためには、意思決定において女性は重要な役割を担わなくてはならない。2007年MDGs報告書では、女性の政治参加が世界中で高まりつつあると述べるも、2015年に向けた目標達成には未だなすべきことが多く残っている。
我が国は、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待」という目標を男女共同参画基本計画(第2次)において明記し、様々な取組を進めているところである。
また本年7月に実施された参議院選挙では、121の改選議席のうち新たに26名の女性議員が当選し、その結果、現在の参議院では242の議席のうち43名が女性議員である。これは、2004年に女性議員が全体の13.6%であったことに対し、2007年には17.8%まで増加したことになる。
議長、
我が国の2007年度の男女共同参画推進関連予算額は、約4兆7千億円(約390億米ドル)となっており、そのうちおよそ30%である約120億ドルが「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」に割り当てられ、およそ3%は、「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」に割り当てられている。
他の多くの国々と同様に、我が国においても女性は伝統的な性別に基づく役割分担という問題に直面し、ワーク・ライフ・バランスの実現に苦闘している。新卒採用における女性の割合が増えている一方、企業の管理職にある女性の割合は未だに低い。結婚や出産を機にいったん労働市場から退出し、数年後にまた復帰するのは日本の女性の典型的な雇用のパターンとなっているため、育児期の年齢層では女性の労働比率が最低となっている。
問題改善のため、たとえば、男女共同参画基本計画(第2次)において、男性の育児休業取得率を0.56%(2004年度)から、2014年度までに10%まで引き上げる目標設定を行った。
さらに、男女雇用機会均等法等の改正法案が2006年に成立、2007年4月から施行されている。改正点のひとつには、妊娠・出産等を理由とする解雇以外の不利益取扱いも禁止の対象としたことである。
議長、
我が国は、国際的にもジェンダー平等及び女性の地位向上の促進に積極的に取り組んでいる。本年7月には東京において、「女性と貧困撲滅に関するASEAN+3(中国、韓国、日本)人間の安全保障シンポジウム」を共催した。この地域からジェンダー専門家を招き、2日間にわたる専門家会合(非公開)を開催、また同時に公開シンポジウムを開催し、モハマド・ユヌス・グラミン・バンク総裁が「女性と貧困撲滅」と題する基調講演を行った。この会合は、貧困の女性化を緩和するための国家戦略事業及び努力について情報交換を行う重要な機会となった。会合の最後にでは、貧困撲滅政策、データ収集、資源やサービスへのアクセス、キャパシティ・ビルディングとパートナーシップ、国際協力によって如何にASEAN+3諸国が貧困の女性化を削減するかに関する提言が採択された。
また、本年8月、我が国は、外務省、UNDP、様々なNGOとの共催の下、UNDP・日本WID基金シンポジウム「ケア・エコノミーは成功の鍵か:ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けて」を開催した。本シンポジウムは、ジェンダーの視点によるケア・エコノミーを各国における経済政策そして発展途上国に対する開発援助政策に反映させることの重要性を広く共有することに役立った。
ジェンダー平等達成と女性の地位向上はどの社会にも通用する共通の目標であり、この目標の達成には絶え間ない努力が必要である。類似の社会的・文化的背景を有する地域間対話は、ジェンダー主流化についての情報、最善の慣行や教訓を有する上で有効であり、また喫緊の国境を越えた問題で地域内での緊密な協力を必要とする人身取引、HIV/AIDS、自然災害などの新たなジェンダーに関する問題に共同で対応する方法を識別するプロセスでもある。
議長、
ジェンダー平等及び女性の地位向上は、クロス・カッティングな問題であり、国連システム内での調整と戦略的なパートナーシップ構築が極めて重要である。この関連で国連システム一貫性パネルは現在のジェンダー機構が分散的かつ一貫していないことを指摘している。国連が一貫性のある、効率的かつ効果的に事業を実施することができるよう、我が国も引き続き支援していく所存である。