演説

国連の場における演説

総会の作業計画に関する事務総長報告
総会全体会合における高須大使ステートメント(仮訳)

平成19年10月8日

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(1.冒頭)

 議長、事務総長、御列席の皆様、

 ケリム総会議長のご就任をお祝い申し上げます。21世紀を迎え、国連は直面する多くの課題に迅速に対応することを求められています。世界の人々が国連に求める期待が今ほど高まっていたことはありません。潘事務総長がより効率的で強力な国連を作るべく示している献身と指導力を賞賛します。

(2.我が国の重要施策)

(1)気候変動への対処

 議長、

 気候変動は今や地球上の全ての人に影響を与えています。国連は全ての関係者に受け入れ可能な国際的枠組みを求めるに最も適切な場です。この観点から、9月24日にハイレベル会合を開催した事務総長のイニシアティブを高く評価します。同会合は共同の国際的行動への広い政治的モメンタムを醸成するために大きな役割を果たしました。

 我が国は、革新的技術の開発と低炭素社会の実現に向けた長期的な展望を提案するとともに、すべての主要な温室効果ガス排出国を含む2012年以降の国際的な枠組み作りを提唱しました。我が国は、明年7月のG8北海道洞爺湖サミットを通じてこの問題のためにリーダーシップを発揮して取り組む所存です。

(2)アフリカ

 議長、

 我が国のもう一つの優先分野は、アフリカの開発です。アフリカが元気な大陸、希望と機会の大陸となるためには、紛争の予防・解決に加え、経済成長を加速・維持すること、ミレニアム開発目標の達成、平和の定着や民主的統治を通じた、人間の安全保障の確保、そして環境や気候変動問題への対処が必要です。

 我が国は、来年5月に第4回アフリカ開発会議(TICADIV)を開催します。ここでは特に、「元気なアフリカの実現」とのスローガンの下に、アフリカ諸国のオーナーシップと国際社会との真のパートナーシップを通じたアフリカの平和と繁栄の実現を重視しています。また、アジアとアフリカの南南協力は、TICADプロセスの重要な課題です。

 ダルフール情勢は国際社会が最も注視すべき問題です。この問題に対する事務総長の個人的な関与を高く評価します。また、国連・AU合同ミッション(UNAMID)の設立を歓迎すると共に、同ミッションの早期展開、ダルフールにおける政治プロセスの早期進展を期待しています。我が国は、アフリカにおける平和と安定の定着に向けた貢献を一層拡充していきます。

(3)平和構築

 議長、

 我が国は、西バルカン地域、イラク、アフガニスタン、東ティモール、シエラレオネ、ブルンジ、ネパール等の多くの国々の平和の確立と復興支援のために協力してきました。

 平和構築のためには、紛争終結から復興支援に至る役割を果たすため、国際社会が切れ目のない包括的な取り組みを行うことが不可欠です。平和構築委員会の議長国として、このような国際努力に一層貢献し、全ての関係国のリソースと支援を統合するフォーラムにしていく決意です。

(4)人権

 議長、

 我が国は人間の安全保障を外交政策の柱の一つに据えています。この人間を中心とした考え方を国連の活動において主流化することを求めています。

 人権の尊厳と保障が普遍的に行われることが必要です。この観点から、拉致問題の早期解決を求めていく所存です。

(5)ミャンマー情勢

 議長、

 我が国は、ミャンマー当局が平和的なデモに対し実力行使をし、邦人1名を含む死者が出るに至ったことは極めて遺憾と考えます。我が国はミャンマー政府が強圧的な実力行使をしないよう求めます。

 またミャンマー政府に対し、デモによって示されたミャンマー国民の希望を誠実に踏まえながら、国民和解を達成すべく民主化を進め、無条件に国民との対話を行うことによって、事態の平和的解決を達成するよう希望します。

 我が国は、事務総長、ガンバリ特別顧問の働きを支援するとともに、ASEAN諸国及び同地域諸国等と緊密に協力し、ミャンマーの国民和解と民主化を目指していく所存です。

(6)軍縮・不拡散

 議長、

 大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散も、人類の課題です。この観点から我が国は、安保理が北朝鮮やイランに関する一連の諸決議を全会一致で採択したことを歓迎するとともに、今後ともこの問題に関与することが重要と考えます。

 核軍縮も重大な課題です。我が国は唯一の被爆国として、核兵器の全面的廃絶に向けて具体的な措置を打ち出した核廃絶決議案を、本年も国連総会へ提出します。

(7)テロ対策

 テロ対策は国際社会の協力を要する優先課題です。先般、安保理決議第1776号が採択されたことを歓迎します。我が国は、責任ある国際社会の一員として、引き続きインド洋における補給支援活動を継続できるよう努力していく考えです。

 国連グローバル・テロ対策戦略を支持します。更に、テロに対処する法的枠組み強化のため、包括テロ防止条約交渉の早期妥結に向けて、各国が最大限の柔軟性を示すことを期待します。

(3.安保理改革)

 議長、

 我が国は安保理がその期待される責務を果たせるよう、安保理の代表性を高め、より効果的なものとすることが必要と考えます。そのため、常任・非常任双方の議席拡大を通じて安保理の早期改革を目指すとの決意を新たにします。安保理改革なくして国連改革は達成されません。我が国は第62回会期中に、政府間交渉を通じ、具体的な成果を達成できるよう、すべての加盟国が協働することを求めます。

(4.力強い国連を作る)

 議長、

 新しい課題に対処するために国連の機能を強化していくことが必要です。我が国は国際の平和及び安全の維持に関する国連の機能強化に積極的に関与する所存です。また、我が国は開発、人道支援、環境、そして人権の分野において、国連システムがより一貫性を持って、実効的に機能できるようにするための取り組みを支持します。同時に、国連マネジメント改革の側面でも、具体的な成果を上げることが必要です。

 世界をより良くするために事務総長のリーダーシップの下、我が国は国連を更に実効的で機能的な機関にするよう協力する決意であることを改めて表明します。

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