平成19年9月10日
(英文はこちら)
共同議長であるヘラー墨大使及びマウラー・スイス大使に対し、両大使が本件非公式協議プロセスにおいてこれまで行ってきた素晴らしい仕事ぶりに感謝申し上げます。共同議長により提示されたオプション・ペーパーは建設的な議論を再開するための良い基盤を提供するものと考えます。
オプション・ペーパーに対し詳細なコメントを述べる前に、国際環境ガバナンスの改革問題に関する日本の見解を簡単に述べさせていただきます。
環境分野における国連活動の効率性及び一貫性を向上させるためには、費用対効果や財政的インプリケーションも考慮に入れた上で、かかる改革が如何なるメリットをもたらすかについて検討すべきです。
UNEPの強化に関する議論では、理論的かつ理想的な議論とUNEP強化のための権能について検討するというような具体的な対応に焦点を当てるという二通りのアプローチがあります。我々としては、かかる権能に基づき議論が進められ、現在、世界が直面している環境問題に打ち勝つためには如何なる組織が必要かという疑問に対する答を見つけ出すべきと考えます。
環境悪化は日本が強く主張している原則である人間の安全保障に対しても深いインプリケーションを有しています。かかる観点から、我々はUNEP強化の議論に積極的に参加したいと考えています。
以下、オプション・ペーパーに関するコメントを申し上げます。
科学的評価、モニタリング、早期警戒に関するUNEPの能力を強化することは重要です。我々は、UNEPが分析結果や専門知識へのアクセスを増やすことにより、科学的評価やモニタリグに参画する能力を向上させることができるように、UNEPが研究機関や科学者コミュニティとの連携を強化することを慫慂すべきです。
環境目的を国内の開発戦略に組み入れることが重要です。国レベルでのUNEPとUNDPの連携を促進するためにバリ戦略計画の着実な実施と評価を進めるべきです。また、UNEPが、ハイレベル・パネルの提言にある「国レベルにおける一つの国連」に参加することが重要です。
条約締約国や各条約事務局による活動の調整の結果、多国間環境条約の整理統合により生じたさまざまな相乗効果について議論すべきです。テーマ、プログラム、管理別による多国間環境条約のクラスターを進めることは、相乗効果の議論を進めるための有効な手段となり得ます。
能力構築及び技術支援を促進するためには、バリ戦略計画の着実な実施を確保することが不可欠です。この関連で、同計画が国レベルにおいて、多国間環境条約、国連機関、国際金融機関の事業活動の包括的な指針を与える枠組みとなるべきとの考えを支持します。したがって、バリ戦略計画を含む技術支援及び能力構築の実施をレビューして、実施すべき活動のプライオリティ付けがなされるべきです。
UNEPの安定した財政基盤を確保するためには、活動をレビューし、既存のリソースの効果的な使用を促進することが不可欠です。これに加え、UNEPは民間部門が自発的な拠出を行うインセンティブを増やす努力をすべきです。例えば、広く一般から資金を集める「エコ基金」を設立するのも一案です。
地球環境ファシリティ(GEF)は環境問題に取り組むための重要な資金メカニズムとなりました。しかしながら、プロジェクト選定、組織運営、評議会メンバーと受益国との意思疎通、分野横断プロジェクトの実施における更なる改善が進められることを希望します。プロジェクトは各実施機関の比較優位を利用して実施されるべきです。