演説

国連の場における演説

HIV/AIDS総会における小寺次郎国連大使ステートメント(仮訳)

平成19年5月21日

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まず、はじめに、過去12ヶ月間のエイズ対策の進捗状況に関する今回の国連事務総長報告が無事発行されたことを歓迎する。

2006年6月2日の国連エイズハイレベル会合での政治宣言により、新たに2010年までにエイズの予防プログラム、治療、ケア、支援に対するユニバーサルアクセスの達成に向けた努力が盛り込まれたところである。今回の事務総長報告によれば2006年12月の時点で中低所得国において200万人の人々が抗ウイルス薬による治療を受けているが、これは710万人とも推計される治療の必要な人々の僅か28%であり、今後、世界中が協力してユニバーサルアクセスの目標に向けた努力を続けていくことが重要である。

本報告書では、comprehensive multi sectoral approachの重要性について述べられているところである。わが国は、1994年に人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブを打ち出して以降、途上国におけるHIV対策の協力をcomprehensive multi sectoral approachの手法で進めてきたが、本報告書の中で、わが国が今までHIV対策の協力を行ってきたアフリカやアジアのいくつかの国々において改善の兆しが認められることは誠に嬉しい限りである。

本報告書の中では多くのナショナルプランにおいて、若年者の学校や地域社会からの脱落対策など、非保健セクターにおける予防的介入に対する資金不足や自らの疫病を知ることの重要性を指摘しているが。従来のHIV対策協力において、保健セクターのみならず、非保健セクターに対する協力もcomprehensiveに行ってきたわが国からすれば、これらはいずれも大変重要な指摘であることを述べておきたい。

わが国は、2005年6月「保健と開発」に関するイニシアティブを発表した。これは、保健関連目標である3つのMDGsの達成に向けたわが国のこれからの経済協力の考え方を示したものである。この中で、HIV/AIDS対策についてわが国は、次のような方策を示している。
(1)感染リスクを低下させるための予防啓発活動の人材育成支援とコンドームの供与。(2)HIV感染リスクを増大させる性感染症対策、感染リスクの高い脆弱な人々への対策。(3)検査キットの供与、カウンセリングのための人材育成、施設整備支援を通じた自発的検査とカウンセリングの普及支援。(4)抗ウイルス薬治療の普及、日和見感染症対策、母子感染予防及び感染者の社会参加促進の支援。(5)エイズ遺児に対するケア。(6)安全な血液を供給するためのシステム作り支援。

これらの協力手法を通じて、わが国は今後とも責任あるパートナーとして世界におけるHIV対策のより一層の充実に貢献していく所存である。

2008年には、より詳細な進捗状況の報告と国連としてのより包括的なエイズ対策の見直しが行われる予定であると承知しているが、わが国としては、ユニバーサルアクセスに向け、活溌な国連活動の継続を望むものである。

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