演説

国連の場における演説

安保理改革作業部会(OEWG)非公式会合
大島大使ステートメント(仮訳)

平成19年5月3日

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議長、

 最初に、安保理改革に関する調整者報告及び今後の取り進め振りについて議論するために、今回の非公式会合を開催していただいたことに感謝します。

 まず、貴議長が調整者プロセスを開始されたイニシアティブを評価します。この調整者プロセスは、現在、安保理改革という重要な問題に関して進行中の唯一の有効なプロセスです。このプロセスは、安保理改革の努力に係る機運を再活性化しました。我々としては、現在の機運が維持されるのみならず、貴議長のリーダーシップと指導の下で、実質的な進展がみられることを強く希望します。

 我々は、5名の調整者が総会議長への報告を作成されたことに謝意を表明します。調整者は、加盟国間の様々なグループ及び個々の加盟国と幅広く協議し、意見を聴取する努力をされました。調整者は、その任務を誠実にまた専門性をもって行い、その作業は高く評価されます。

議長、

 ここで、調整者報告に関し、いくつかコメントしたいと思います。

 第一に、国連改革は意味ある安保理改革無くしては完成しないこと、また安保理の現状維持は非常に多くの加盟国にとって受け入れ難いことであるとの最も重要な点を再確認したいと思います。我々は、安保理改革をできるだけ早期に達成するために、過去2年間に醸成された機運を維持する必要があります。また同時に、調整者報告が強調しているとおり、全ての加盟国が柔軟性を示すことが必要です。

 第二に、調整者が、次の交渉プロセスの段階に備えて最も適当な方法を検討するための基盤を提供できるよう、できるだけバランスのとれた報告書を作成しようと真剣に努力したことは認識されるべきです。しかしながら、調整者が提示した示唆の内のいくつかについては、加盟国は慎重に検討する必要があります。この関連で、我々は、調整者報告が、「過渡的アプローチ」に関する新たなアイディアの検討を示唆することを主旨として作成されていることに留意します。加盟国の必要多数の支持を得ることのできる解決策を見出す際、いかなるオプション乃至示唆も排除されてはならず、我々としては、過渡的アプローチ乃至類似の提案については、具体的にどのようなことを意味するのかが不明であることから、そのようなアプローチが解決のための適切な基盤となるとは確信していません。

 第三に、残念ながら、調整者は「過渡的アプローチ」を推進しようとの希望故か、常任・非常任双方のカテゴリーの拡大を選好する加盟国の立場を軽視しているように思われます。常任・非常任双方のカテゴリーを拡大すべきとの立場は、アフリカ諸国を含む非常に多くの加盟国により引き続き支持されていますが、調整者報告にはそれが十分明確に反映されていないと思われます。このことは、若干問題であると考えます。なぜなら、常任・非常任双方のカテゴリーの拡大が非常に多くの加盟国により引き続き支持されていることは、非常に重要な点であり、この種の報告書においてはもっと適切に言及されるべきであったと思われるからです。

 第四に、調整者報告は、「加盟国による可能な限り幅広い政治的な同意」の必要性につき言及し、その関連で「国連総会における必要多数を大幅に超えて」と続けています。このような言及を引き出した政治的な考慮について疑問を投じるものではありません。しかしながら、そのような考え方が、関連総会決議及び国連憲章の関連規定で明確に規定されている、国連総会における安保理改革に関する決定に必要な最低多数の要件を引き上げるものではないことについては明確にすべきです。

議長、

 我々は、安保理の実効性と正統性を強化しつつ、その代表性を高め、また安保理をより効率的かつ透明なものとするためには、常任・非常任双方のカテゴリーが、途上国、先進国双方を含む形で改革されるべきであることを引き続き確信していることを改めて明確にしたいと思います。この関連で日本を支持してくれた各国代表団(たった今発言を行った米代表団を含む。)に対して、この場を借りて心より謝意を表明したいと思います。

 また、日本は、安保理改革におけるもう1つの柱として安保理の作業方法改善を重視しています。我々としては、安保理の文書手続作業部会が、スロバキア議長の下でこれまでに達成されたものを踏まえ、更なる進展を遂げることを期待します。これと併行して、総会の場でも意義ある進展が成されることを希望します。

議長、

 安保理改革に関する一般的な議論の段階は終わり、今や、更に前進し、長いこと我々が行っていなかった真剣な政府間交渉のプロセスを開始すべき時です。

 今後の取り進め振りについて考える時、我が代表団は、次の段階も貴議長の有能なリーダーシップの下で継続されるべきと考えます。

 我々は、調整者プロセスを支持してきました。そして調整者プロセスは、先ほど述べたように報告書における不十分な点はありましたが、概ね肯定的な結果をもたらしました。我が代表団は、貴議長が、この機運の上に立ち、プロセスを前進させ、加盟国が最も適当な方法で交渉を開始するよう支援するために、指導的な役割を果たすことを慫慂します。この観点から、例えば、次の段階における交渉プロセスに備えるために少数の新たな調整者を指名することを検討されては如何かと考えます。

 種々の機会に述べてきたとおり、日本はこれまでも、全ての関心国との間での協議を通じて、加盟国から幅広い支持が得られる案を見出すよう努力してきています。次の段階においても、我々は、意味ある安保理改革に関心を有する全ての国とともに、このような改革ができるだけ早期に実現されるよう、柔軟性をもって協議及び交渉に関与していくつもりです。

 ありがとうございました。

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