演説

国連の場における演説

第51回婦人の地位委員会
目黒依子日本代表演説

2007年2月28日

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議長、

 はじめに、日本政府を代表し、議長及びその他のビューローメンバーに引き続きご尽力頂くことに感謝申し上げる。

議長、

 我が国は、第4回世界女性会議(1995年9月、於:北京)において採択された「北京宣言及び行動綱領」、及び女性2000年会議(2000年6月、於:ニューヨーク)において採択された成果文書(「政治宣言」と「更なる行動とイニシアティブに関する文書」)に基づき、国内、地域及び国際レベルにおいて、女性の地位向上及び男女共同参画社会の実現に向けた活動が着実に行なわれていくことが重要であるとの基本的認識を有している。

 殊に国境を越えたパートナーシップの確立は重要である。昨年私がこの場で表明したように、我が国は2006年6月―7月、16カ国のアジア近隣諸国と2つの国際機関の参加を得て、ジェンダー平等政策について意見交換をする閣僚級の会議を東京で開催した。そこではベスト・プラクティスの共有やワーク・ライフ・バランスの重要性、国内本部機構(ナショナル・マシーナリー)強化の重要性等について合意した「東京閣僚共同コミュニケ」を全会一致で採択した。次回会合は2007年にインド、第3回会合は2008年に韓国で開催することがすでに決定されており、インド・韓国の両国には開催国として立候補いただいたことに敬意を表したい。

 我が国は、「男女共同参画社会基本法」及び「男女共同参画基本計画(第2次)」に基づき、全政府をあげて、施策を総合的かつ計画的に推進しているところであり、国際社会におけるジェンダーの平等・平和・開発のための施策を推進する一層の努力をしていく所存である。

 以下、今次婦人の地位委員会のテーマである「女児に対するあらゆる形態の差別及び暴力の撤廃」について、我が国の国内における取り組み、国際的協力や今後の課題について述べる。

テーマ「女児に対するあらゆる形態の差別及び暴力の撤廃」

1)我が国の国内的取り組み

 差別の撤廃に向けた国内での取り組みとして、性別に基づく固定的な役割分担意識にとらわれず、人権尊重を基盤とした男女平等観を形成することをめざし、男女平等を推進する教育・学習を引き続き進めている。

 なお、理工系分野等において、女性の進学や進出の割合が低い現状を鑑みて、女子中高生の理工系への進学支援のための事業を行っている。

 また、暴力の撤廃については、女性・女児に対する暴力をなくすための広報啓発や、児童に対する性的虐待や児童買春における加害者の処罰及び被害者の保護に努めている他、性の商品化や暴力表現が女児や女性の人権を侵害している現状に鑑み、インターネット上等における児童ポルノ等の違法・有害情報対策を推進している。

 さらに、2005年12月に閣議決定された男女共同参画基本計画(第2次)では、新たに暴力の発生を未然に防ぐため「予防啓発プログラムの作成・実施」が加えられた。これにより、若年層を含む幅広い層に対して、暴力によらない問題解決の方法を身に付けることを促し、女児に対する暴力が抑止されることが期待されている。

2)我が国の国際的取り組み・国際協力

 国際協力の分野では、第49回婦人の地位委員会で発表した「ジェンダーと開発イニシアティブ」に基づき、女性に対する差別・暴力の撤廃に努めている。エチオピアでは、就学率の男女差の大きい地区を優先的に、基礎教育改善プロジェクトを実施中である。このプロジェクトでは、女児が学校に通い易くするために女子トイレを設置する等、様々な取り組みにより、女児の就学率が増えたとの報告を得ている。

 またイエメンでは、コミュニティー主体の女子教育を推進するため、父会、母会を設け、意見を学校運営に取り入れたり、女子就学の重要性についてのメッセージを宗教指導者、父親やコミュニティー・リーダーに配布する等の取り組みを行っている。

 エリトリアでは、帰還民や国内避難民のうち、特に女性・女児に対するリプロダクティブ・ヘルス・サービスの整備プロジェクトを「人間の安全保障基金」を通じて実施している。リプロダクティブ・ヘルスに関連するクリニックを受診する若い女性の割合が増えており、エリトリアの文化的風土を考慮すると、本プロジェクトが若い女性や社会への意識改革を促進していることの現れである。

議長、

 女児に対する差別・暴力を撤廃する上で、女児を国際的な人身取引から守ることも重要である。我が国では、人身取引対策に関する関係省庁連絡会議(タスクフォース)を中心に人身取引根絶のために、政府が一体となって積極的に取り組んできている。

 人身取引は重大な犯罪及び人権侵害であるとの認識のもと、児童ポルノ法の児童買春等目的人身売買罪に加え、2005年には人身取引議定書の締結について国会承認を得て、人身売買罪の創設等を内容とする刑法等の一部改正がなされた。また我が国は政府協議調査団を被害者送り出し国に派遣し、人身取引の防止等に関し、先方政府やNGOとの協力を促進している。

 最後に、我が国はNGOをはじめとする市民社会や国際機関と連携し、北京行動綱領の実施及びミレニアム開発目標の達成のために、女児に対するあらゆる形態の差別及び暴力の撤廃に関する国内外の施策の一層の充実に努める所存である。

ありがとうございました。

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