演説

国連の場における演説

「治安部門改革を支援する上での安保理の役割」
安保理公開討論における神余国連代表部大使ステートメント (仮訳)

平成19年2月20日

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議長、

この極めて重要な問題に関しての公開討論を開催していただき感謝申し上げます。我が代表団は、スロバキア政府の優れた準備作業、特に過去6ヶ月にわたる一連の討論会、アリア・フォーミュラ会合の開催を高く評価します。これらを基盤として、我々は本日の討論を、安保理で注視する必要があることが判明した多くの具体的問題に焦点を当てながら行います。

治安部門改革(SSR)は、特に紛争から脱しつつある国においては、国の重要な基盤の一つを提供し、難民及び国内避難民の帰還と再定住、地域住民の生活再建のための不可欠な要素です。国家の再建と平和構築の最終的な成功は、治安部門改革が効果的に実施されるかにかかっているといっても過言ではありません。それ故、SSRは単なる制度構築の一面として捉えられるべきではありません。

このような理由で日本は治安部門改革に大いに注目してきています。我が国政府はアフガニスタン、イラク、東ティモール等における人々のSSR活動を支援しています。

議長、

我々は、治安部門改革の目的は、民主主義的規範及び良い統治と法の支配の原則に則った環境において、国家と国民に安全と正義が行き渡ることを確保し、以って人間の安全保障を促進することだという、議長の考えを支持します。この「人間の安全保障」という側面はSSRの中でとりわけ重要です。政治、技術、そして制度的側面に加え、SSRの心理的側面にも十分な注意を払わなければなりません。SSRは民衆の心を勝ち取るという問題でもあるからです。言い換えれば、SSRが達成されるには、人間の安全保障が確保され、人々が自信と安心感をもって日々の生活を送れるようになる必要があります。それ故に、治安機構は、国という視点に加え、個人と地域社会という視点を念頭において発展されなければなりません。

議長、

我々は、治安部門改革には、包括的で一貫した、また調整されたアプローチが必要との議長の意見に全面的に賛同します。SSRは法の支配と民主的国家統治の重要な柱であり、包括的な取り組みが必要です。更に、広範囲な外部の関係者の役割もあります。SSRに対する地元の当事者意識を激励しつつ、個別ドナー、国連機関、地域機関、国際金融機関、そしてNGOの努力も十分に調和される必要があります。

我が代表団は、国連システム内の調整努力が、PKO局、国連開発計画その他の間の機関間の作業部会の枠組で行われていることを高く評価します。我々は、既存の仕組みを最大限に活用しつつ、このような努力により治安部門改革の調整が更に前進することを期待しています。調整というとしばしば、新しい調整の仕組みを構築することに議論が狭まる危険がありますが、それは現場にいる一人一人の人間が望んでいるものではないことを銘記すべきです。最近我が国政府は、アフガニスタンの既存の調整機関、共同調整モニタリング・ボードを活用し、内務省改革に向けての日本とドイツとの協働を提案しました。

議長、

治安部門改革に関して安保理の役割の重要さは疑いのないところです。治安部門の責任が最終的に国際社会から地元政府に引渡されるのが円滑に行われるためには、まず何よりも、国際社会による紛争の介入が、安保理がその権限を与える決定を行う際には常に、正当に行われるよう安保理として、確保することが必須です。また、特に和平合意の交渉中にあっては、早い段階でSSRに関する側面に対して十分に考慮が払われるよう、安保理が確保することが重要です。

治安部門改革が重要な要素となる平和維持活動のマンデートは、安保理が審議の過程で広範囲の関係者との対話を行えば、非常に充実したものになります。この視点から、我が代表団は安保理非常任理事国であった2005、2006年に、安保理事国と非理事国とのコミュニケーションの重要性を強調したのです。

議長、

紛争終結後の状況と持続可能な開発の重大なギャップを埋めるため、PKOから統合国連ミッションへ、更には国連カントリー・チームへと、この主要現地マンデートを円滑に移行することが不可欠です。これに関連し、安保理の権限下の平和維持活動、統合ミッションの出口戦略を、平和構築委員会が策定し始めた長期の統合平和構築戦略と、緊密に調整することが有用です。その過程において、治安部門改革の実質的な進展は、平和維持の段階と平和構築の段階との間の連結点となります。それ故、安保理と平和構築委員会との効果的な協力が重要になります。

最後に、議長、

我々は、本日の議論を踏まえ、現場での変化を生む努力を続けなくてはなりません。我々の今後の努力において、利用できる財源を最大限に活用するために、国連システム内での一貫したアプローチを確保しなければなりません。また、紛争後の状況にある国々の当事者意識を尊重し、促進していかなくてはなりません。これらの観点から、日本はこの重要な主題に関する事務総長報告に言及した議長声明を支持いたします。

ありがとうございました。

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