平成18年12月11日
(英文はこちら)
議長
多くの代表団が多大な重要性を付している問題である、安保理報告及び安保理改革を議論するため、本日の全体会合を開催して頂きありがとうございます。遡れば、9月の総会一般討論演説に引き続いて、貴議長自身が安保理改革を第61回総会中に行動に移す必要のある課題の一つであると特定されました。まさにその一般討論演説において、全国連加盟国の優に3分の2になんなんとする国々の指導者が、安保理改革を、1年前に成果文書で合意された制度改革のうち、主要な未完課題であるとの認識を示しました。多くの指導者が、アナン事務総長が繰り返しおこなっている「安保理改革なくして国連改革は完了しない」との発言に言及しました。よって我々は本日の討論を歓迎するとともに、我々の議論に新たな活力を与えかつ来るべき時期における具体的行動のための基礎を準備することを期待するものであります。
議長
初めに簡単に安保理報告につき触れたいと思います。まず、本件報告を総会に提出頂いた今月の安保理議長、アル・ナセル・カタール大使に感謝申し上げます。本件報告は過去一年の安保理の活動の報告ですが、この間安保理は今日の国際社会が直面する、ますます多様性と複雑さを増す諸課題に対処しました。日本は過去に年間安保理メンバーとして活動する機会に恵まれましたが、この間安保理の活動に積極的に参加しました。日本の活動が建設的であったことを期待するものであります。
安保理のメンバーとして、日本はPKO作業部会と文書手続作業部会という2つの下部機関の議長を務めることを通じ、とりわけ2つの分野で積極的な役割を追求しました。なによりも我々の念頭にあったことは、安保理の作業の効率性と実効性を増すことと並んで、透明性の向上や非メンバー国のより広汎な参加のために貢献することでした。
第一に、平和維持活動に関しては、近年の国連平和維持活動の拡大は派遣人数の面でも活動の多様性の面でも目を見張るものがあります。本年9月現在、18の平和維持活動に対し、110ヶ国から総計7万7千人の軍事・警察要員が派遣されており、派遣の総費用は2005年1年で50億米ドルを超えております。これほどの規模のオペレーションは、政治的支持と並んで人的貢献や財政的貢献の形で加盟国から強いコミットが得られない限り維持できません。性的搾取・虐待や調達不正などの深刻な問題にも光が当たりました。これらすべてが、国連PKOの管理全般に対する新たな、重要な課題をつきつけており、加盟国によるより緊密な注意と、時宜を得た対応を必要としています。安保理においては、PKO作業部会が、要員派遣国やその他の関心国との緊密かつインターアクティブな対話に従事することを通じて、加盟国間の理解を増進する有効な手段となり得ます。
まさにこのことが念頭にあったため、我々はPKO作業部会を再活性化する必要があると感じたのでした。そしてこの2年間で、このことはある程度達成されたものと考えます。この過程で、要員派遣国、主要財政貢献国その他の重要な関心国を包含する非メンバー国の幅広い参加を確保するための努力が行われました。この作業部会と総会PKO特委ビューローの間のインターアクションを改善する試みも行われました。間もなく別途提出される予定のPKO作業部会活動報告の中で、これらの活動についても説明される予定です。協力と調整、とりわけ上掲した主要関心国との協力・調整のため、この作業部会の活用のため更なる努力が行われることを期待します。そうすれば、PKOという重要な分野における安保理の活動の透明性を向上することに寄与することでしょう。
第二に作業方法の改善について、日本は2月以来文書手続作業部会の議長として、このための努力をリードしてきました。7月の全体会合における討議で報告した通り、文書手続作業部会が作成した、安保理の活動の効率と透明性を向上させ、非メンバー国とのインターアクションや対話を拡大するいくつかの具体的措置を安保理は採択しました。これらの措置は、安保理議長ノート(S/2006/507)に取りまとめられました。安保理メンバー国は、この議長ノートに盛り込まれた措置の履行にコミットしています。これらの措置は、期待に比して控えめなものであることを認めざるを得ませんが、最初の一歩としては意義のあるものであり、この基礎の上に更なる措置が導入されるべきものと考えます。効率性と透明性の向上のため、また非メンバーの安保理作業への参加拡大のため、安保理が引き続きこの作業部会を通じて積極的に作業方法の改善努力を追求することを強く期待します。同時に、S5諸国が第60総会に決議案を提出することを通じて行った重要な貢献を認知したいと思います。
議長
安保理改革に関しては、安保理の構成と構造を変革する必要性が今や広汎に、ほとんどすべての加盟国により受け入れられています。日本を含む多くの代表団が、多くの理由を引きつつ、この点を繰り返し強調しています。最も重要なことは、今日国連と安保理が直面する諸課題は、国連創設時に直面した課題と大きく異なっているという平明な事実です。
多くの国の見解では、現状の安保理はもはや正統性を有せず、実効性を十分発揮できていません。P5の一国である英国の指導者、トニー・ブレア首相は率直にも、このことを本年国連で行った演説の中で認めています。またP5のうちの2ヶ国、英仏は、この夏発出した共同コミュニケの中で、ブラジル、独、インド及び日本の常任理事国入りを、アフリカのための常任議席とともに、引き続き支持する旨表明しています。
安保理は21世紀の政治的現実を代表しなければなりません。改革された安保理は、安保理の決定の履行が依存することになるような主要な関心国を、意思決定に参加させなければなりません。また、途上国の安保理関連事項への十分な発言権を確保しなければなりません。さらに、作業方法の意味のある改革にコミットしなければなりません。これらすべてが、今日の世界の現実をよりよく反映する安保理の改革を通じてのみ達成可能です。
日本においては、安倍晋三総理の率いる新政府が、日本は国連改革全般を追求するに当たり安保理常任議席の追求を引き続き最大優先事項とする所存であることを明らかにしました。安倍総理は最近本件を、米中露を含む多くの国の首脳との会談で取り上げています。日本政府はこの目的のため、更なるイニシアティブを取る所存です。日本は、日本が志す常任議席への支持を表明してくれたすべての政府に対して感謝しております。
しかしながら、安保理拡大に関する議論は第59総会末この方停滞しています。7月の討論においては、多くの加盟国が、それぞれの地域グループその他のグループの当初のポジションを単に繰り返すのではなく、固定観念を脱却して新たな発想を開始すること及び真の対話と交渉を開始することの必要性を強調しました。同様に、すべての当事者がよりオープンなアプローチを取るよう求める声もありました。
日本自身は、非公式かつインテンシブな議論をすべての関心国と行ってきました。この中には、G4決議案に公的に反対している国も含まれています。他方で、G4諸国との協力枠組みは維持してきました。
議長
ここで、9月の一般討論演説でお話しした点を改めて繰り返させて頂きます。我々は、第61総会中に決定に至ることを目指して、創造的で説得力のある新たな提案を必要としています。日本は引き続き、安保理がより代表性があり、より効率的で、より透明となるため、常任・非常任両カテゴリーの拡大を通じて改革される必要があると考えます。この見解は、多くのアフリカ諸国を含む圧倒的多数の加盟国に共有されているものと考えます。
これまでG4諸国、共同提案国その他国連加盟国と共同で行ってきた努力の基礎の上に立って、現在我々は、今後の議論のために基礎を提供することができるかも知れないいくつかの具体的アイディアを積極的に検討しています。そして然るべき時期に、すべての関心グループや関心国との広汎な協議のためにこれらのアイディアを提示できることを願っています。我々はまた、他のグループや関心国も、加盟国間の広汎な支持を集めうる新たなアイディアや提案を出してくれるよう、呼びかけます。我々は、協議過程の次の段階が、すべての側においてオープン、柔軟かつ創造的なものとなることを期待します。
我々は安保理に関する15年間の議論を終結させるべきです。時は熟しています。本年は日本の国連加盟50周年であり、日本代表団としては、安保理改革努力が今総会中に具体的成果を達成することを確保できるよう、努力を惜しまぬ所存です。このため、我々はすべての関心国・グループと緊密に協力することを楽しみにしております。
ありがとうございました。