演説

国連の場における演説

「女性・平和・安全」に関する安保理公開討論における大島国連大使ステートメント
「平和の定着における女性の役割」
(仮訳)

平成18年10月26日

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 安保理決議1325採択から6年目を迎え、われわれはこの重要な決議に定められた目標の実現に向けて、これまでの進展を踏まえ、その決意を新たにする時期にきている。平和の定着とは、全ての当事者が関与する包括的なアプローチと国連を含む国際社会からの持続的な支援を必要とする努力とプロセスを含む。女性はこのような努力とプロセスにおいて重要な役割を果たしており、ランドマークである決議1325は、女性がコミュニティの再建や、持続的な平和の確保、紛争の再発防止に十分に関与する能力の強化に大きく貢献してきた。これは平和の定着を本質的に支える柱である。

 決議1325に定められた目標の促進に向けて、ジェンダー問題担当事務総長特別顧問、PKO局、UNIFEM、その他のすべての開発・人道・人権・アドボカシー機関、国連の内外の組織や団体によるすべての努力をこの場で称賛する一方、なされるべき多くのことが残っていることも認めなければならない。

 我が国は、シエラレオネとブルンジに焦点をあてている平和構築委員会において、平和構築活動にジェンダーの視点をとりいれることの重要性が特に強調されたことを歓迎する。有益な提言とともに本日の公開討論の成果が、決議1325の実施に役立つべく、平和構築委員会の活動に適切に反映されることを期待する。

 平和と安全及び決議1325の実施における女性の役割に関する議論は、人間の安全保障の概念や、人間の安全保障が提唱している人間中心のアプローチと相互に情報を提供しあわなければならない。個々の人々に対する能力強化や安全や基礎的健康に対する危機からの保護は人間の安全保障における究極の目標である。決議1325の実施は女性の人間の安全保障を強化するものである。それは女性のニーズや優先事項を取り入れた制度改革を促進することにより女性の能力強化や保護を推進する。

 人間の安全保障を現場において実現する努力の一環として、日本は1999年に人間の安全保障基金の設立を支援した。以来、同基金は160以上のプロジェクトを90以上の国と地域で支援してきており、その多くは、女性と児童の能力強化と保護に貢献している。この目的を達成するために、同基金によって承認された多くのプロジェクトは、現場のNGOや市民社会団体とのパートナーシップのもとに実施されている。例えば、ブルンジの現地NGOであるドシレハムエ(Dushirehamwe)は、本日ステートメントを行っていただいたミトゥルムブエ氏(Ms. Miturumbwe)がコーディネーターをつとめているが、数ある活動において、帰還民や国内避難民女性の経済能力強化を支援するプロジェクトを実施している。その結果として、受け入れコミュニティと帰還民、国内避難民との間の和解や共生を促進するものである。

 女性の参加は平和の定着とコミュニティ復興を確実にするために非常に重要である。決議1325は必要な枠組みを提供しており、すべての努力と然るべき支援をもって実施される必要がある。我が国はこの目的に貢献するため最大限の努力を継続する所存である。

 ご静聴ありがとうございました。

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