平成18年9月28日
議長、
まず、本日の会合を開催していただき有り難うございます。また、テロ関連三委員会の議長による今朝のブリーフィングに謝意を述べるとともに、特にここ数ヶ月にわたり各委員会の活動を先導するために払われた重要な努力に対して感謝します。過去5年間、安保理はテロの防止策をとるために更に努力するとともに、各国のテロ対策を強化するためにさまざまなイニシアティブをとってきました。各国のテロ対処能力ははるかに向上したと言えますが、その一方でテロリストも無謀で悪意のある計画や行為をとるようになったこともまた厳然たる、警戒心を抱かせるような現実であり、テロによる脅威はいまだ緩和されていません。国際社会は国連を通じ、可能な全ての手段を活用し、このような犯罪と闘うために努力を強化していく必要があります。この観点から、9月8日に総会がグローバル・テロ対策戦略に関する決議をコンセンスで採択したことをわが国は歓迎します。安保理は国連のグローバルな戦略において重大な役割を果たし続けるのであり、今後の活動を進めていくにあたり、総会で採択された同戦略の中で、三委員会についての活動への一層の改善について記されていることを、安保理としても十分念頭に置いていくことが必要です。
議長、
昨年9月に採択された安保理決議1624に基づきテロ扇動の禁止に関し各国が提出した報告書を基に最近テロ対策委員会(CTC)より安保理に対して報告書が提出されたことを歓迎します。その内容は非常に参考となるものではありますが、約3分の2の加盟国が報告書を未提出のため、より一層履行状況の把握が可能となるよう、他国と同様、それらの国々には報告書の提出を慫慂したいと思います。
議長、
三委員会が引き続き取り組まなければならない課題の一つは、加盟国による報告書提出の負担軽減であります。この課題には二つの側面があり、一つは報告書未提出の国について、提出の意思がありながらキャパシティが不足している国に対していかなる支援ができるかという側面です。もう一つは、今後報告書を求める場合にできるだけ三委員会が質問の統合化を図るという側面です。両側面はともに緊急性をもって対応される必要があります。この前者の支援について、最近三委員会の専門家が共同ペーパーをまとめたことは評価しており、今後後者の側面も含め、安保理においても具体的な結論が出るよう検討がさらに進むことを期待しています。
訪問に関し、三委員会が外国訪問を合同で実施することも徐々に進められています。これを歓迎します。これらの外国訪問のフォローアップが効果的に進められることも重要です。特にCTCは訪問した国も増え、来年初めまでに5カ国以上を訪問する予定であることを踏まえると、訪問国にとっても有益な訪問となったと受け止められるよう、さらに工夫を重ねて一層入念にフォローアップを行うことが重要です。このような取組みは、加盟国とCTCの間の協力関係を深めることにつながります。
また、CTC事務局(CTED)がCTAG(テロ対策行動グループ)との連携を通じて各国の支援ニーズを特定し、ドナーに情報提供することにより実際の支援に結び付けるというクリアリング・ハウスとしての役割をわが国は引き続き重視しています。前回5月30日の会合以降、ロイCTC議長やCTEDが、日本と同じ地域に存する太平洋島嶼国をはじめとしていくつかの国についてドナーへの情報提供と支援分野の特定について対話を積極的に進めていることを評価しますとともに、わが国としてもドナー国の一つとしての経験と情報を引き続き共有していきたいと考えます。
議長、
わが国だけでなく多くの国が重視している、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会の制裁対象リストへの個人や団体の掲載および削除の問題は、まだ結論は出ていないものの、特に掲載の問題については、前回会合以降制裁委員会の中で議論が進み合意間近にまで至りました。制裁対象リストの精度と信頼性を高め、効果的にテロリストの活動が封じ込められるよう、削除の問題を含め、可能な限り早期に解決するようわが国としても積極的に議論に貢献したいと考えます。本件の解決に向けたマヨラル議長の努力に感謝します。
最後に、1540委員会に関し、まずブリアン議長のこれまでの活動、とりわけ8月に日本の横浜で開催され、アジア地域を中心に約30カ国余が参加した国連軍縮横浜会議に出席されたことに感謝します。ブリアン議長が行われた1540委員会の活動に関するプレゼンテーションは、北アジア、極東、南アジア、西アジアといった日本と同じ地域であるアジアを含む国際社会が、軍縮・核不拡散分野において、効果的に、そして断固として取り組まなければならない喫緊の課題に直面している場面において非常にタイムリーなものであります。ブリアン議長のプレゼンテーションは、日本国内における安保理決議1540の意義及びその履行の重要性に対する認識を高めるものであり、この機会に賞賛したいと考えます。
議長、
年末に向けいずれの委員会もさらに活動を精力的に進め、年末には、それまでの実績を再点検することによって、安保理におけるテロ対策がより効率的かつ効果的なものとなるよう検討することが必要であります。CTEDの包括レビューや対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会のモニタリング・チームのマンデート見直しはその契機となります。わが国としてもこれまでの経験を踏まえ、引き続き三委員会の活動と改革に積極的な役割を果たしていきたいと思います。
締めくくりにあたり、CTED、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会のモニタリング・チームおよび1540委員会の各専門家及び事務局の素晴らしく献身的な活動を評価しています。
議長、有り難うございます。