平成18年7月20日
議長、
本日の総会本会議の開催に感謝します。エリアソン総会議長が各国代表団の一般的な意見と心情を反映する形で継続して強調しているように、早期の安保理改革の実現は国連改革に向けた我々の全体の努力の中で不可欠な要素です。我々としては、行動する機は熟し切っていると考えます。
我々が行った首脳会合成果文書の集中的なフォローアップ作業は、我々として誇るべき幾つかの重要な結果をもたらしました。我々は、平和構築委員会及び人権理事会を立ち上げ、開発フォローアップ決議を採択しました。また、マネジメント改革については部分的な成果をあげました。マンデートレビュー等その他の分野に関する更なる作業は必要ですが、安保理改革が、我々が解決に向けて今こそ挑戦すべき鍵となる未完の機構改革として際立っていることは明らかです。
こうしたことに照らせば、本日の会合は時宜を得ています。この会合は、現在我々が置かれている状況をレビューし、本問題の重要性を再確認し、今後のとり進めぶりに関する率直な意見交換を行うための良い機会です。アナン事務総長及びその他の多くの人々が繰り返し述べてきたように、安保理改革なしに国連改革は完了しないことを再び想起することが適当です。
議長、
我々が皆承知しているとおり、安保理改革には安保理の作業方法の改善とメンバーシップの拡大という2つの分野の課題があります。
第1に、作業方法に関して、昨年G4諸国によって提出された決議案はこの分野に関する具体的な規定を含んでいました。今年3月に5ヵ国によって提出されたS5決議案は更に野心的な措置を提案しています。我々は、S5決議案が安保理の作業方法の改善を求めている加盟国の幅広い注目を集めたことを認識しています。
作業方法の改善に関するもう一つの動きは、安保理の下部機関である安保理文書手続作業部会において行われた実際の作業です。
私は、同作業部会の議長として、本日この場で安保理メンバーを代表して、安保理における作業方法改善のための共同作業のこれまでの成果を報告したいと思います。
「2006年7月19日、安保理は安保理の作業方法の改善に関する議長ノートを採択しました。本議長ノートは、過去数ヶ月間に亘る安保理文書手続作業部会による集中的な作業の成果です。安保理メンバーは、2005年首脳会合成果文書のフォローアップの一部として、安保理の作業の効率性及び透明性並びに非安保理メンバーとの関係と対話を向上する努力に積極的に関与してきました。安保理メンバーは、本議長ノートに記載された措置の実施を約束しています。安保理メンバーは、安保理文書手続作業部会を通じて、安保理の作業方法の改善に向けた方法について引き続き検討していきます。」
本議長ノートは、今回新たに合意された具体的な措置と既に合意され1993年以来実施されてきた諸規則、慣行及び了解事項を取りまとめた文書であることを付け加えます。同議長ノートは、国連の公式文書として間もなく配布されます。
日本としての立場から述べれば、我々は、本議長ノートを安保理による作業方法の改善に向けた控えめではあるが有意義な第一歩であると考えています。私は、本年末まで同作業部会議長として、首脳会合成果文書の中の作業方法に関するパラグラフ154の実施に関し、安保理の作業方法の更なる改善を目指し、他の安保理メンバーと引き続き作業を行っていきます。
議長、
第2に、メンバーシップ拡大の問題については、我々は未だにその規模、範囲及び態様について異なる立場が存在することを認識しています。安保理改革を実際に達成するためには、こうした違いのいくつかを乗り越え、昨年のG4決議案が得たよりも幅広い支持を集められるような具体的提案を作成する必要があります。このため我が国は、G4案に対する各国の支持に深謝しつつ、昨年のG4決議案に公に反対した国々を含めた多くの関心国と一連の集中的な協議を行ってきています。
我が国は、G4という協力の枠組みを引き続き維持します。現時点では、我々は、新たな提案又はG4原案に対する具体的な修正を提示するには至っていません。そうではありますが、我々は、解決に到達するために真剣な交渉プロセスを再開する時期が近づいているとの確信の下で努力を続ける決意です。
その間、安保理改革の問題は、最近ガンビアのバンジュールにおいて開催されたAU首脳会合の機会でのアフリカ諸国による協議を含め、様々なグループと国々によって引き続き議論が行われています。バンジュールでの首脳会合においては何ら新たな進展は無かったようですが、我々は、アフリカ諸国が首脳レベルで本件に対して引き続き関与していることに留意します。我々は、アフリカ諸国及びその他本件に重要な関心を有する、種々の立場をとるすべての加盟国が、加盟国の幅広い支持を得られる解決策を求めて、オープン・マインドで、柔軟性と現実的な考え方をもって、積極的かつポジティブに行動を開始する時期が早期に訪れることを希望します。
先般、小泉総理大臣はアディスアベバのAU本部において行った政策演説において、以下を述べました。
「安全保障理事会でのアフリカの代表性を向上させるためにも、国連安保理改革を早期に実現しなければなりません。そのためにも私たちは、日本とアフリカ諸国の協力を一層強化していきたいと考えます。」
さらに最近では、他の指導者達もこの問題について発言を行いました。我々は、ブレア英国首相のジョージタウン大学における演説での本件に関する発言を関心を持って受け止めました。英仏は、最近の共同コミュニケにおいて、ブラジル、ドイツ、インド及び我が国の将来の常任理事国入り及びアフリカへの常任議席の付与に対する継続的な支持を表明しました。我が国は、この英仏の立場表明に感謝します。
2006年6月29日、小泉総理大臣とブッシュ大統領は共同文書を発出しましたが、同文書では本件につき次のように言及しました。
「日本の国連での重要な役割や貢献にかんがみ、日米両国は協力を強化し、日本の安全保障理事会常任理事国入りを実現すべく連携します。」
我が国は、このような米国の強い支持に感謝します。
G4諸国、G4の共同提案国及びその支持国を含む国々は、安保理改革は常任・非常任双方のカテゴリーの拡大において達成されるべきであると主張してきました。非常に多くの加盟国の支持を得ているこの考え方に基づき、我々は、関心国と引き続き対話と建設的な議論を行うつもりです。そのような進展が加速された結果は、より幅広く代表され、効率的で透明性が確保され、実効性と正統性が強化された安保理であるべきです。
議長、
我々は、仮に改革に対する政治的な意思が減退することとなれば、それと共に国連自体に対する支持も減退することになるものと危惧します。実行可能で加盟国の幅広い支持を得られる提案が必ずや存在します。この機会に、我が国に対し貴重な支持を表明してくれた各国に対して深い感謝の意を表します。同時に、安保理改革を支持する加盟国に対して、この目的に向けて我々と協働することを要請します。すべての加盟国に対して、安保理改革の議論に対して新たな刺激を与え、また議論の進展を加速するための建設的で、あるいは創造的な方法を検討することを求めます。
国連総会第60会期において得られた経験を基に、我々は、この極めて重要な問題に対する重要な決定の機は熟し切っているという確信に基づいて、引き続き第61会期においてもより精力的に検討を続けるべきです。
ありがとうございました。