演説

国連の場における演説

旧ユーゴ及びルワンダ国際刑事裁判所に関する安保理公開会合
我が方ステートメント骨子

平成18年6月7日

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  1. ポカールICTY所長及びモーセICTR所長、デル・ポンテICTY検察官及びジャローICTR検察官よりの安保理に対する報告に感謝いたします。
  2. 我が国は、両裁判所が引き続き正義の実現へ向け努力しているものと理解します。両裁判所はあらゆる必要な措置を取り、完了戦略を遂行すべきとの我が国の立場を再度強調します。
  3. ICTYが最近導入した大規模併合訴訟が、法の適正手続きを守りつつ、審理の迅速化に資することを期待します。また、ICTRより要請のあった常任裁判官11名の任期延長については、完了戦略に資するとの観点から支持します。ICTRの活動報告書において、「ICTRの上訴審に関する完了戦略を示すことは、ICTYの完了戦略とも関連するため、現時点では難しい。」と前回報告書と同じ立場が繰り返されていますが、上訴裁判部については、なるべく早く、両裁判所間で十分に計画・調整が行われるべきです。
  4. バビッチ被告とミロシェビッチ被告の死亡に関する調査につき、オランダ、スウェーデン両政府の協力を評価します。スウェーデンの独立監査団により示されたより透明性を確保するための提言を、ICTYが十分に実施することを慫慂します。
  5. 我が国は、残る大物戦犯容疑者、特にICTYについてはカラジッチ及びムラディッチ、ICTRについてはカブガの逮捕・移送が未だ実現していないことを懸念します。セルビア当局はムラディッチ容疑者の支援ネットワークの壊滅に乗り出したとされる一方、現在同容疑者の足取りは掴めていないとの情報に接しています。セルビアを含む全ての関係国に対し、最大限の協力を強く求めます。
  6. 我が国を含む国際社会は正義の実現と不処罰の終焉へ向け多大な努力を行ってきました。しかしながら、正義の実現は国際社会全体の意思のみならず、関係国の強固な意思が必要です。仮にICTY・ICTR両裁判所が大物容疑者の逮捕をいつまでも待つ結果、我が国を含む国際社会の両裁判所への貢献が無期限に求められるような事態となる場合、両裁判所の活動を国連分担金で支弁し続けることを正当化することが困難となります。両裁判所が完了戦略の期限を越えて必要とする費用は、直接の関係国及び特別な利害のある国による自発的拠出金によってまかなうべきであるとの我が国の考えを繰り返します。
  7. 我々は、国際レベルでの活動から地域的・国内的キャパシティー・ビルディングに焦点を移すべき時期に来ています。関係地域、国内で法の支配、公正な裁判を確立するよう協力していくことが必要です。例えば、ICTYのクロアチアにおけるアウトリーチ活動は、ゴトビナ被告の逮捕を機に、クロアチア人被告に対する裁判に関連したキャパシティー・ビルディングの活動が中心となりつつあると聞いています。ICTRの報告書でもアウトリーチ・プログラムを設立し、広報活動や関係地域国の司法能力の構築に取り組んでいることが特筆されています。これらの活動が強化され、今後4年半の内に成果を生むことを期待します。
  8. 最後に、我が国は、完了戦略の期限までに残る大物戦犯容疑者が裁かれ、両裁判所がその設立の目的を果たすことを両裁判所及び関係国に強く求めます。10年以上もの国際社会による取組が、地域社会及び関係地域国のキャパシティーに十分に組み込まれることを期待します。
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