平成18年5月30日
議長、
テロ関連三委員会の議長による今朝のブリーフィングに謝意を述べたいと思います。ブリーフィングはこれまでの進展と今後の問題を詳述するものであり、情報に富む有益なものであると感じました。ロイ、マヨラル及びブリアン三大使に謝意を述べると同時に、わが国は、より頻繁に委員会の活動に関する情報を提供すべく各委員会による加盟国に対するアドホックなブリーフィングが最近復活したことを歓迎します。また、CTED、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会のモニタリング・チームおよび安保理決議1540委員会の各専門家及び事務局の素晴らしく献身的な活動を評価しています。
本日の会合は、安保理メンバー国にとり、三委員会の活動の進展についてのブリーフィングを受けるだけではなく、三委員会の活動のあり方について加盟国の意見を聴取する機会となります。これは総会で進められている包括的なテロ対策戦略の審議の中でも多くの国から三委員会の活動のあり方について意見が表明されていることから重要です。また、これは現在議論が進められているマンデート・レビューや2005年成果文書のフォローアップの文脈からも重要なことです。
議長、
委員会の活動で合理化が必要とされ、多くの国が懸念を表明している一つの分野に、加盟国の一部による報告書提出の負担軽減があります。各委員会の効果的な活動のために加盟国からの報告書提出が中心的な重要性を占めることを強調する一方で、三委員会の議長はこの報告書提出義務に伴う負担問題への対応を取る必要があることに対して理解を示しています。わが国としても現在安保理の中で必要な負担軽減を実現するため報告書をできる限り統合できないかどうか検討がなされていることを支持します。これまで報告書を提出していない国については、提出の意思がありながらキャパシティが不足している国に対して可能な支援を検討することが必要です。この観点から、ロイ議長やマヨラル議長がこれまで太平洋島嶼国やカリコム諸国等幾つかの地域グループとの対話を行われてきたことに謝意を表明します。またわが国は三委員会の専門家グループが現在それぞれの委員会が加盟国に照会する質問を一つの質問状にまとめるべく努力していることを激励し、そのような統一した質問状が可及的速やかに合意を見て発出されることを望みます。
加盟国への外国訪問の統合も合理化に資する方策です。ただし、各委員会がそれぞれのマンデートに基づいた関連しつつも異なった目的を有しているため、各委員会の外国訪問統合の方法には当然十分な検討と場合により調整が必要であり、十分調整と訪問の統合を行う余地はあると考えます。三委員会、とりわけCTCと対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会は、訪問を受ける国の声を尊重し、可能な限り日程を合わせて外国訪問を実施することが推奨されます。そのような措置は、効率的な加盟国との対話を実現し、情報収集および情報共有を進めます。同時に、個別に訪問する必要が生じる場合もあるでしょう。その場合であっても、訪問結果が他の委員会と共有されることで、訪問の成果が最大限生きるように工夫することが重要です。これにより、訪問を受ける国の負担も軽減されるだけでなく、それらの国との一層の協力関係の構築につながるとの利点もあり、わが国はそれを期待しています。
CTEDが各国報告書や外国訪問また各種出張を通じて得た情報を基に、各国の支援ニーズを特定する活動は引続き重要です。また、外国訪問及び出張の機会に、適切であれば現地CTAG会合に出席する等、一層のCTAGとの連携を期待します。従前よりわが国はこのニーズを実際のドナーの支援に結びつけるクリアリング・ハウスとしてのCTEDの役割を重視しており、この観点から、最近CTEDが潜在的なドナー国との対話を積極的に始めたことを評価しています。わが国としてはこのような活動をいっそう活発に進めること通じて、少しでも早期にCTCの活動が実を結び、支援を求めている国に必要な支援が届くことを期待しています。このために、ドナー国およびメンバー国としてわが国も経験と情報をシェアしていきたいと考えます。
この関連で、わが国はこの分野における途上国の対処能力向上を促進するために、本年4月、今年度予算約7千万米ドルに及ぶテロ対策等治安無償を新設しました。
議長、
もう一つ取り上げられている問題は、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会の制裁対象者リストへの個人や団体の掲載および削除の問題、また適正な手続きの問題です。これらは多くの加盟国にとり関心事項となっています。残念ながらこの問題は同制裁委員会においてまだ結論が得られていません。制裁措置が確実に履行され、効果的にテロリストの活動が抑止されることは極めて重要であり、このため、リストに対する信頼性を高めるべく早期にリストへの掲載と削除の問題を解決する必要があります。
したがって、制裁委員会で再び本格的な議論が進められていることを心強く思うとともに、モニタリング・チームやその他加盟国およびシンクタンクからの提言を参考にしつつ、より公平かつ透明性の高い手続きが策定されることを期待しています。
議長、
最後に、この4月に安保理決議1540委員会のマンデートが決議1673によって2年間延長されたことを歓迎します。この決議により、各国からの報告書の提出という決議履行の一つの柱を維持しつつも、これまで収集した情報を踏まえ、より能動的に委員会として各国の履行を支援することが可能になりました。技術支援、アウトリーチやセミナーの開催といった複合的な手段を活用してさらなる決議の履行を図ることが重要です。委員会においては今後12ヶ月間の作業計画に関する議論が開始されましたが、この作業計画は決議を実際に履行していくための指針として極めて重要であり、わが国としても建設的に議論に貢献していきます。
議長、
これから三委員会は、それぞれ委員会の実質的な活動をより本格的に推進するだけでなく、これまで加盟国より指摘されてきた必要な手続き面での諸改善を実現しなければなりません。わが国としても、三委員な会議長及び各委員会メンバー国を完全に支持しつつ、引続き三委員会の活動と改革に積極的な役割を果たしていきたいと考えます。
有り難うございます。