演説

国連の場における演説

テロ関連三委員会議長によるブリーフィングに関する
国連安保理公開会合における大島国連大使ステートメント(仮訳)

平成18年2月21日

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議長、

 本日の対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会、テロ対策委員会(CTC)及び安保理決議1540委員会の各議長それぞれのブリーフィングと各委員会におけるそれぞれの努力と功績に謝意を述べたいと思います。また、ブリアン・スロバキア大使の1540委員会議長への就任に祝意を表するとともに、前任モトック・ルーマニア大使の就任中の多大な貢献に感謝の意を表します。

 日本政府はテロと闘う姿勢を強固に維持します。テロは如何なる目的があろうとも断じて許されるものではありません。我々はあらゆるテロを強く非難します。

 テロ対策に関する2005年首脳会合成果文書のフォローアップにおける主要課題の一つは包括テロ防止条約の交渉妥結です。本件は合意に近づいており、来週総会において再開される包括テロ防止条約を交渉するアドホック委員会において、我が国は早期妥結に向け全ての加盟国が努力することを強く期待します。同時に、安保理としても、テロ関係諸委員会間の協力を深めることで引き続き国連全体としてテロ対策の効果を上げていくことが重要です。

議長、

 もう一点強調したいことは、テロ関連三委員会のような安保理の下部委員会の活動内容については安保理の非メンバー国にとっては彼らの関心と利害に重要な影響を与えるため関心が高い事項であるということです。したがって、透明性と包括性は重要であり、三委員会の議長による加盟国に対するブリーフィングが公開会合において実施されることを歓迎します。また、これらの委員会の活動に関するウェブサイトの改善に向けた努力も歓迎します。これらは透明性を高め加盟国の関心に応える上で有効な手段です。

 この関連で、先般私は安保理文書手続作業部会の議長に就任しましたが、成果文書において我々の指導者より求められているとおり、安保理の作業においてより透明性と包括性を高めるべく下部委員会を含めた安保理の作業方法の全ての側面における改善を助けるために、議長の立場から安保理メンバー国と緊密に作業するとともに非メンバー国の見解を聴取する意向です。このために、本日の公開会合における議論で示された意見や見解も参考としたいと考えます。

議長、

 三委員会の活動が決意と一貫性をもって一段と幅を増していることを喜ばしく思います。

 第一に、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会については、制裁措置が疑いなくテロ発生の未然防止策の不可欠な一部をなすとの観点から、より効果的に安保理が課した制裁措置を取ることができるよう工夫が引き続き必要と考えます。我が国政府として、最近マヨラル議長が日本を含む東アジアを訪問されたことに感謝しており、我が国のみならず、地域においても制裁措置の効果的な実施を改善する点について大いに得るものがありました。

 最近制裁委員会が取った措置としては、制裁委員会と国際刑事警察機構(インターポール)が協力関係を強化し、昨年12月に最初のインターポール・国連特別ノーティスが発出されたことが重要な進展です。制裁委員会のまとめる制裁対象リストとインターポールの情報が関連付けられ、利用可能な情報の幅が広がることにより、特に各国の渡航禁止措置がより効果的に実施できるようになるためです。

 また、特に今次議長のアジア訪問の議論を通じて、加盟国による制裁対象リストへの更なる情報提供により同リストの精度を高めることが各国の制裁措置履行にとり重要かつ不可欠であると考えます。我が国としても、安保理決議1617にあるように金融活動作業部会(FATF)の諸勧告の完全実施に向けた取組みや渡航禁止措置の強化等の未然防止策に力を入れているところです。

 最近制裁委員会のモニタリング・チームが制裁委員会に提出した第4次報告書には制裁措置を改善するための諸提言が盛り込まれています。今後同報告書が制裁委員会において検討されることを期待しています。

 第二に、各国のテロ対処能力の向上のため、CTCの果たす役割は引き続き重要であり、CTCが昨年12月に策定した技術支援に関する政策指針が実施に移されつつあることを歓迎します。ロイ議長の言われるように、国によって条件や要請は異なるので、試行錯誤を必要とする面もあるでしょうが、できるだけ早期に各国がCTCに要請している技術支援が実現するよう、CTCの作業を加速化させていく必要があると考えます。

 この観点から、昨年12月に行われたCTC事務局(CTED)の包括レビューの結果、CTCが定めた政策指針に基づきCTEDが精力的に作業を進めていく体制を確認したことを喜ばしく思います。今後、ルペレズCTED事務局長のリーダーシップの下、CTEDが被支援国とドナー社会との間のファシリテーターとなり、各国のテロ対処能力向上に向けて具体的な成果を着実にあげることを期待します。また、引き続き、限られた資源の中で実施される外国訪問を有効に活用するとともに、与えられたマンデートを遂行するに当たりCTCがテロ対策行動グループ(CTAG)や国際・地域・準地域機関とのより緊密な連携を取っていくことを期待しています。

 第三に、安保理決議1540委員会においては、新議長の下で最初の作業計画が承認されたことを歓迎します。現行のマンデートが終了する4月末までの間、各国から提出された第2次報告書の精査を行うとともに、技術支援の効果的なやり方につき議論を深めていくことを楽しみにしています。マンデート更新後の同委員会の役割については、過去2年間の実績を踏まえ種々見直しを行う必要があると考えますが、そのための議論に我が国としても積極的に参加していきます。

議長、

 これら三委員会に託された重要な作業が各委員会の専門家の専門性と献身的な貢献なくしては実現できないことは明らかです。我が国としては、調整役のバレット氏をはじめとする対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会のモニタリング・チーム、CTED及び安保理決議1540委員会の各専門家のたゆまぬ努力と素晴らしい活動に謝意を表したいと思います。また、この場を借り、これまで対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会の議長補佐を務めてこられ、最近他の重責を担われたアルゼンチン代表部のケンダル氏に対し、これまで同氏の多大な貢献に感謝の意を表したいと思います。

 各委員会がテロとの闘いへの取組を更に強化できるよう、我が国としても引き続きこれら三委員会の活動を進めるために他のメンバー国と協力して最大限の努力を惜しまない所存です。

 どうも有り難うございます。

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