平成18年9月18日
(英文はこちら)
(1)このプロセスの下での協力の原則として、我が国としてマ・シ海峡における沿岸国の主権を完全に尊重し、海峡における事業は主権国が主体となって行うべきことを再確認したい。その上で、受益者負担の精神と事業の実効性の向上のため、利用国による協力が行われる必要がある。マ・シ海峡における問題解決には、沿岸国による主体的取り組み、沿岸国間での相互協力、沿岸国の努力に対する利用国の支援が不可欠である。
(2)我が国は、マ・シ海峡の諸問題に対し、「Tripartite Technical Experts Group」の果たしてきた役割、海上安全確保のための「Eyes in the Sky」等の共同パトロール等、沿岸国の相互協力に基づいた主体的取組みを評価し、一層の進展を期待する。また、IMOのイニシアティブによる海洋電子ハイウェー(MEH)は、マ・シ海峡の環境保全に加え、航行安全及び海上安全保障にも資するプロジェクトであり、我が国はそのデモンストレーション・プロジェクトの開始を歓迎する。
(1)また、狭隘で通航量の多いマ・シ海峡はテロ攻撃に対して脆弱であり、海上におけるテロの可能性も重大な懸念となり得る。「テロとの闘い」は、テロの主体、手口等が多様化する傾向の中、複雑で、引き続き息の長い取組が求められており、以前にも増し、テロ対策の強化と国際協調が必要である。2005年12月の日ASEAN首脳会議での合意を受け、我が国とASEANとのテロ対策協力を一層強化するため、6月末、日ASEANテロ対策対話が東京で開催された。同対話において、海上安全が優先協力分野の一つとされ、今後我が国とASEANの間の協力を検討していくこととなった。
(2)こうしたテロ・海賊対策を含む治安対策強化のため、我が国は本年度より70億円規模のテロ対策等治安無償を新設した。海上安全については、海上取締船舶、港湾・空港保安、法執行機関の能力強化等に対する支援が想定されており、2006年6月、インドネシアに対する巡視船艇整備計画のE/Nを締結した。今後も海峡における海上安全のための事業に対する支援の供与につき、検討を進めていく。
(3)また、2005年12月の日ASEAN首脳会議において、我が国がASEAN統合支援として7,000万米ドルを拠出する旨表明し、2006年3月、日ASEAN統合基金(JAIF)が設立された。航行安全、海上安全保障、環境保全等マ・シ海峡の諸問題についても、同基金の活用が検討されることを歓迎する。