演説

安倍総理大臣演説

国際連合加盟50周年記念式典 安倍総理大臣祝辞

平成18年12月18日
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 天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、内外多数の方々の御参列を得て、国際連合加盟50周年記念式典が挙行されるに当たり、祝意を表明する機会を得ましたことは、私の深く喜びとするところでございます。

 国際連合は、国際の平和及び安全を維持し、諸国間の友好関係を発展させ、経済的、社会的事項及び人権の尊重のために国際協力を推進することを目的とし、また、そのための諸国の活動の中心となることを憲章の中で謳っています。世界の平和と繁栄に向けた取組みにおいて中心的な役割を果たす、この機関に加盟することは、平和国家として再出発した我が国にとって悲願でありました。

 私の祖父である岸信介は、外務大臣当時、国連中心主義を打ち出し、国連加盟を果たした直後の外交演説では、国連の尊重を我が国外交の基礎とし、常時、国連の権威向上と国連を通じての世界平和の確保のため応分の寄与をなすとの心がまえを示しました。実際にこの五十年間、我が国は、国連の場で、平和、開発、人権等の分野で、より良い世界を実現するための国連の取組みに積極的に貢献してきました。

 国連は、時代と共にその活動を変化させ、現在では、テロや感染症といった人間の安全保障に関わる新しい問題の対処にも取り組んでいます。こうした活動を行うにふさわしい効果的な国連を実現するために、国連改革の議論が行われており、平和構築委員会や人権理事会といった新たな枠組みが創設されました。より衡平な財政負担、効率的で透明な事務局機能といった国連の活動の土台になる事項についても見直しを行っています。我が国はこうした国連改革を積極的に推進しています。

 この中で、安全保障理事会については、冷戦終結後、その機能への期待が高まる一方で、その構成は、60年以上前の国連創設以来、ほとんど変化がありません。今年、安保理は、北朝鮮の核やミサイルの問題に対して、国際社会の意思を迅速に集約し、断固たる形で表明しました。我が国も安保理理事国として、その過程で大きな役割を果たしましたが、このような意思決定を行うに当たっては、国際の平和と安全の維持に主要な責任を担う能力と意思を有する国々の参加を十分に確保する必要があります。そのためには、安保理が21世紀の現在に合った形に改革されなければなりません。我が国は、安全保障理事会の常任理事国となって、しっかりとその責任を果たしていきたいと考えています。

 より良い世界を築くためには、今や国際社会の主要な一員となった我が国は、これからも様々な分野における国連の活動に積極的に協力していく決意であることをここに申し述べたいと思います。

 最後に改めて、我が国の国際連合加盟50周年記念式典の挙行に当たり、日本政府及び国民を代表して心より祝意を表し、国連の一層の発展を祈念して祝辞といたします。

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