2005年11月11日
議長、
我々は、あらゆる形態のテロリズムを、いつ、いかなる場所で起きたものであっても、非難します。このステートメントの冒頭にあたり、凶悪なテロ攻撃により生じた悲劇に関し、犠牲となられた方々のご遺族、ヨルダンの国民及びヨルダン政府に対し、我が国のお見舞いと深い哀悼の意を表します。
2005年国連首脳会合の成果の実施において、貴議長の力強くかつ有能なリーダーシップの下で、平和構築委員会、人権理事会、マネージメント改革といったいくつかの重要事項について我々が努力を強化する中で、我が代表団は、もう1つの重要事項である安保理改革についても、貴議長が同様のリーダーシップを発揮し、前総会会期中に貴議長の前任者であるジャン・ピン・ガボン外務大臣の下で達成された成果に基づいて、更に我々を導いていかれることを期待します。
我が代表団は、また、「安保理改革作業部会(OEWG)」の共同副議長であるパウレッテ・ベセル・バハマ大使及びクリスチアン・ヴェナヴェーザー・リヒテンシュタイン大使による不断の努力と重要な貢献を、感謝の意をもって確認します。
我が代表団は、安保理の活動に関する年次報告及び安保理改革という2つの議題に関するこの合同審議を、安保理の構造の改革及び安保理の作業方法の改善という主要事項について今後の方途を考えるための時宜を得た有益な機会を提供するものとして、非常に重要視しています。
議長、
まず、安保理議長であるアンドレイ・デニソフ・ロシア大使に謝意を表明し、同大使から提示された安保理の年次報告書について簡単に触れたいと思います。我が国は、本年及び明年の安保理理事国として、この報告書を歓迎します。報告書は、平和と安全の分野で今日の世界が直面している新たな課題を反映し、益々多様で複雑となっている安保理の全ての活動を網羅しています。
我が国は、安保理の中に設置されたPKO作業部会の議長を務めていることから、報告書のPKOに関する部分につき、若干の補足を述べたいと思います。報告書において的確に述べられているとおり、PKO作業部会は、次に掲げる措置を通じて、主要事項についてより焦点の当たった討論やより高い関心を確保するために、作業部会の活動により積極性を持ち込むべく試みています。
(a)部隊派遣国、主要財政貢献国及びその他関係者との間で、これら主要プレイヤー間の協力及び理解を改善するためのより頻繁な会合の開催
(b)特定の国連平和維持ミッションにおける性的搾取及び虐待のような重要関心テーマに関する時宜を得たかつ焦点を当てた討論
(c)安保理のPKO作業部会と総会のPKO特別委員会との間にあるべき補完的関係を達成するためのこれら二者の間のより改善された情報の共有及び作業の調整
この試みはまさに進行中であり、PKOの作業に積極的に関与している全ての関係者との協力を得て、やり遂げる所存です。
この関連で、私が、PKO作業部会議長としてまた安保理の支援を得て丁度終えたばかりであるエチオピア及びエリトリアへのフィールド・ミッションについて言及したいと思います。私は、現地に展開されている国連エチオピア・エリトリア・ミッション(UNMEE)及び部隊派遣国の代表並びに軍事司令官に、国境沿いで発生している憂慮される事態について直接報告を受けるために面会しました。この会合の結果については、安保理及びPKO作業部会に報告しているところです。
議長、
メンバーの拡大及び作業方法の改善という点で安保理改革が必要とされてすでに久しくなっています。世界の指導者達は、5年前のミレニアム宣言においてこれを認識し、再び今年、首脳会合成果文書においてより明確かつ確固たる形でこれを確認しました。
繰り返し想起されるとおり、国連全体が、そして特に安保理が今日直面している諸問題は、1945年当時とは大きく異なっています。しかしながら、安保理の基本的な構造と構成は、本質的には60年前の世界を引き続き反映するものです。安保理が実効的であるためには、今日の世界の現実をより良く反映するように変革されなくてはなりません。この認識の下に、我々の指導者達は、本年9月の国連首脳会合において、早期の安保理改革は国連改革のための我々の全般的な努力における不可欠の要素であることを確認しました。今や、加盟国にとっての基本的な任務は、この信念を行動に移し、具体的な解決策の形で実施することです。
まず、我々は、安保理は21世紀の現実を反映するために、国際の平和と安全の維持において主要な役割を果たす明確な意思と真の能力のある加盟国を、恒常的に安保理に含めることによって拡大されるべきであると主張してきました。この立場は多くの加盟国に共有されるようになっています。これは、安保理が実効的かつ意味のある機関でありつづけるためには、実現されなければならないことなのです。この論理と根拠に賛成しない国はほとんどないでしょう。例えば、1946年には、国連が必要とする予算の約70%は5常任理事国により負担されており、これにより、P5は、意思決定を行いその履行を確保する上での確固たる力の基盤を提供していました。対照的に、2005年のP5の負担率は、国連通常予算の約37%及びPKO予算の約45%にまで低下しています。このような力と財源のバランスの顕著な変化は、とりわけ、安保理の集団行動の真の実効性を強化することとなる安保理拡大を要請しかつ正当化するものです。安保理拡大は、また、安保理の作業の効率性を維持した形で実現されるべきです。
第二に、拡大と同様に重要である安保理の作業方法の改善は、大小含め全ての加盟国の重要な関心事項となっており、この点も対処されなくてはなりません。近年、安保理において一定の改善が見られていることを歓迎しますが、更なる改善がなされるべきです。そのために、3つのことが一体として動くべきだと考えます。第一に、総会は、安保理の作業方法改善を追求する正当な役割を有しています。そして、総会は、実際に、10年以上に亘り、総会決議48/26により設立されたOEWGを通じて安保理の作業方法改善を試みてきました。残念ながら、こうした検討を経ても、合意された具体的な結果を生み出すことは未だできていません。しかしながら、安保理の構成の改革を実現しなくてはならないと同時に、今や、作業方法の改善について現時点で刈り取ることができるものを刈り取るために、我々の共通の合意の追求するにあたって集団的な現実主義と柔軟性を示しつつ、真に努力すべき時期が到来しました。
安保理の作業方法改善を達成する上で鍵となるもう一つの要素は、安保理自身の直接的な責任です。国連憲章が規定しているとおり、安保理は、手続規則を自ら定める存在として、手続規則に関する如何なる決定にも責任を有しています。このことを念頭におきつつ、多くの総会メンバーが抱いている懸念に応えて、安保理が行動しかつより多くのことを為すことが期待されていると思います。この観点から、安保理報告に言及されている安保理文書・手続問題作業部会の再活性化は、とりわけ、安保理の作業方法改善達成のための一歩として、検討されるべきです。全ての安保理理事国が、安保理の作業方法改善に関与しなければなりませんが、常任理事国が、その常任性及び常任性と関連した特権と影響力ゆえに課せられた特別な役割と責任に基づき、より大きく反応し積極的に行動することを期待します。
第三に、安保理メンバーの拡大、特に常任議席の拡大もまた、間接的にせよ、安保理作業方法を変更し改善をもたらす適当かつ重要な要素であることを指摘したいと思います。なぜなら、安保理拡大の影響は、安保理作業方法に新風を吹き込むことを含め、必ずや認識されるであろうと考えるからです。
議長、
安保理の構造と構成の変革に関しては、2005年国連首脳会合の成果文書に反映されているように、第59回総会中に、非常に重要な進歩を達成しました。特に、国連の歴史において初めて、安保理の構成について大きな変更を求める複数の決議案が提出されたことは注目すべきことです。
ブラジル、ドイツ、インド及び日本で構成するG4は、多くの共同提案国の支援を受けて、常任・非常任理事国双方の拡大を含む安保理改革に関する決議案を提出しました。このような努力、及び、これに続く、特にアフリカ諸国によるものを含む行動は、ニューヨークの国連総会及び世界各国の首都において、国連の最近の歴史において前例を見ない規模で、安保理の根本的な構造の改革のための機運を生み出しました。
G4とその共同提案国によってなされた努力は、加盟国の幅広い支持を得ました。我々は、この機会に、我々の努力を支援してくれた方々に対し、改めて、我が国の心からの感謝の意を述べたいと思います。私は、我が国政府を代表して、とりわけ、日本の常任理事国入りへの支持を表明してきている全ての国々に対し、心からの感謝を表明したいと思います。
議長、
生み出された機運は、消えることなく、引き続き存在しており、今や具体的な成果が求められています。そして、具体的な成果をあげることこそ、首脳会合後、現在我々が置かれている改革プロセスの新たな段階において、我々の次なる任務となることでしょう。この第2ステージにおいては、第59回国連総会中に生み出された機運を活かし、同会期中に提出されたいかなる決議案も投票に付されなかったという事実を越え、これまでより一層幅広い支持を獲得することができる解決策を追求する必要があります。
安保理改革は終わったと結論づけたがる人々もいます。彼らは間違っています。改革とは、継続性の中で一歩一歩進むプロセスなのです。このことは、その構成に根本的な変更を行おうとする安保理改革のように、最も機微で困難な試みについて、まさに当てはまるのであり、この困難なプロセスの中を進んでいく上で如何なる努力をも惜しむべきではありません。
我が国は、敷設された基礎を踏まえ、また全ての関心国と協力しつつ引き続き作業を進め、改革プロセスを進めて、加盟国に幅広く受け容れられる解決策に到達する覚悟です。国連の歴史において初めて、他のより幅広い国連改革に関する合意と共に、大胆な行動が、今次総会会期中に具体的な解決に至り得るとの現実的な見通しがあります。 このことは、個々の加盟国全て、また関心国のグループに対し、より大きな行動主義、現実主義、革新、そして想像力を間違いなく要求するでしょう。我々は、全ての加盟国に対し、今次総会会期中の安保理改革に関する早期の決定を呼びかけます。
小泉総理大臣が2005年国連首脳会合において述べたように、「今次総会会期を行動の会期 ― 国連の包括的な刷新を達成するための行動の会期 ― にすることを目指して、一致団結して努力していこうではありませんか」。
最後に、議長、我が国は、全般的な国連改革という目標を達成するためにいかなる努力も厭わないことを改めて表明したいと思います。この目的に向かって、貴議長の力強いリーダーシップの下、国連総会のこの歴史的会期において、尽力していきます。
ありがとうございました。