演説

国連の場における演説

テロ関連三委員会議長によるブリーフィングに関する国連安保理公開会合における北岡国連大使ステートメント(仮訳)

平成17年10月26日

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議長、

 まず、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会、テロ対策委員会(CTC)及び安保理決議1540委員会の各議長それぞれのブリーフィングに謝意を述べたいと思います。

 7月20日に行われた前回のブリーフィング以降もエジプト、イラク、トルコ、スリランカ、インドネシアのバリ島をはじめとしてテロは絶えなく、犠牲となられた方々のご冥福と負傷された方々の速やかな回復を心からお祈り申し上げます。テロは如何なる目的があろうとも断じて許されるものではなく、我が国政府はあらゆるテロを強く非難します。

 9月の首脳会合で採択された成果文書をめぐっては、長い時間各国の間で国連として進めていくべきテロ対策に関する議論が重ねられました。難しい交渉でありましたが、その後、総会第6委員会において包括テロ防止条約の交渉も妥結に向けて進められており、我が国は各国の努力を重視しています。各議長のブリーフィングにもありましたように安保理としても関係諸委員会の協力を深めることで引き続き効果的なテロ対策の構築を進めていくことが重要です。

議長、

 諸委員会の活動が一層効果的なものとなるよう、次の3点に絞って述べたいと思います。

 第一に、前回のブリーフィングにおいても強調しましたように、各国において、テロ発生の未然防止対策を確立させることが何よりも重要であることは論をまちません。その観点から、7月29日に採択された安保理決議1617において、加盟国に対して金融活動作業部会(FATF)のマネーロンダリングに関する40の勧告およびテロ資金対策に関する9つの特別勧告の履行が強く要請されたことは特筆に値します。また、同決議を踏まえ、国際刑事警察機構(インターポール)と対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会との協力関係の強化をインターポール総会が最近承認するといった進展があり、今後インターポールに蓄積された情報をテロリストの活動を未然に阻止するために一層活用できるようになることを期待します。さらに、同決議では、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会の制裁対象者リストとの一層の充実が促されているところ、加盟国内でリストが有効に利用されていることを確保することが肝要です。これまでカバーされていなかったテロの扇動を防止することを対象とした安保理決議1624を9月14日に安保理メンバー国首脳が採択しましたことは意義が大きいと考えます。

 第二に、各国のテロ対処能力の向上を図るために、CTCの役割を更に高めていくことが必須であります。各国がテロ対処能力の向上のためにCTCに要請している技術支援が実現するよう一層の工夫を行う必要があります。現在CTCはCTC事務局(CTED)の分析を得て、各国の技術支援ニーズを特定する作業を行っており、この情報がドナー社会に有機的につながれていき実際の支援提供として実を結ぶことを期待しています。特にドナー国や機関が個別の努力で発掘している協力案件に、CTCの情報集積力と分析力をもってどこに焦点を当てたらよいのかの情報が追加すればより効率よく支援を行うことが可能となるものと考えます。CTCが効果的な活動を行うことにより、支援を要請している加盟国がより効率的かつ効果的な支援を享受できることも肝心です。我が国としてはCTCが行う分析がドナー社会に対してより明確なものなり、ドナーと被支援国との一層の緊密な連携を可能とすることによって、加盟国による安保理決議1373の履行の強化が図られるよう工夫に意を用いていきたいと考えます。この関連で、テロ対策行動グループ(CTAG)や国際、地域、準地域機関との緊密な連絡体制の確立は有効であるとともに、現在第2ラウンドに入った外国訪問において、各国政府に加え、地域機関等とのコンタクトが充実したものとなることを期待しています。

 第三に、大量破壊兵器の不拡散に関する安保理決議1540委員会においては、提出された報告書の精査が最終段階に入っており、一部の国からは2回目の報告書が提出されていることを歓迎します。同委員会は今後技術支援分野により重点を置いていくべきと考えています。同委員会のマンデートは来年4月末に終了する予定ですが、同時に同委員会が果たすことを期待される任務は多く残されており、残された期間を踏まえ効率的な作業計画を立てることが重要です。

議長、

 これら諸委員会の活動はますます充実させなければならず、その観点から、安保理決議1540委員会の専門家に加えて、対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会のモニタリング・チームの専門家及びCTEDの専門家をはじめとする新たな構成員が勢揃いしたことを歓迎しますとともに、それぞれの活躍に期待します。

 我が国としても安保理としてテロとの闘いへの取組を更に強化できるよう、引き続きこれら諸委員会の活動に最大限の協力をしていく所存です。

 どうも有り難うございます。

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