演説

国連の場における演説

第60回国連総会第3委員会
議題64「女性の地位向上」及び
議題65「北京フォローアップ」
大谷美紀子政府代表代理によるステートメント
(仮訳)

2005年10月12日

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議長、
 本年3月、北京宣言及び行動綱領の採択10周年を記念して、我々はこれらの文書を再確認するとともに、その実施にあたり挑戦と課題が残っていることを強調しつつ、これまでに成し遂げた進展を歓迎しました。
 本年9月には我々の首脳が、ミレニアム開発目標の達成、ジェンダー平等の促進、女性に対する差別の撤廃を実現する上で、これらの文書の重要性を再び確認しました。各国首脳が一致団結して強調したように、我々が現在直面している挑戦は新たな挑戦です。女性は社会において今よりももっと広範な役割を担うことができ、もし我々がそれを可能にすれば、間違いなく21世紀の新しい課題に対してより効果的に取り組むことができるようになるでしょう。

議長、
 まずこのステートメントでは、女性の役割がさらに探求され、ジェンダーに関する感度が強化されるべき新しい分野としての自然災害と平和構築プロセスについて触れたいと思います。
 本年初頭以来、特にインド洋における津波災害及び米国におけるハリケーン・カトリーナによる大惨事など、自然の威力を目撃してきました。インド洋津波被害に対する国際社会による前例のない対応の一環として、被災地の復興プロセスにおける女性の役割を強化するためにUNIFEMがとったイニチアチブ―国内及び国際アクターとの協力の下での地元女性のリーダーシップの支援、女性ネットワークの動員、女性の生計手段獲得支援、女性の保護を行うこと―は、全て賞賛に価します。我が国は「女性は復興プロセスの中心に置かれるべきである」との考えをUNIFEMと共有し、また、防災協力の全ての側面においてジェンダーの視点を取り入れることの重要性を強調しつつ、津波被害に対する国連フラッシュ・アピールに応える形でUNIFEMに100万ドルを提供しました。
 さらに、我が国は、本年1月に神戸で開催された国連防災世界会議において「ODAを活用した防災協力イニチアチブ」を発表しました。右イニシアチブ、及び、同様に防災世界会議において採択された2005-2015年兵庫行動枠組みでは、ジェンダーの視点が全ての防災プロセスに取り入れられなければならないという点が再確認されました。

 近年、紛争予防と解決、平和構築及び紛争後の復興プロセスにおける女性の役割の重要性についても益々認識が高まっています。この考えは、2005年首脳会合で採択された成果文書のなかでも強調されています。女性はしばしば前線に立って紛争の終結を求めているにも拘わらず、彼女たちは殆どの場合、正式な和平プロセスや復興プロセスの周縁に追いやられています。この分野の政策やプログラムを立案するにあたっては、女性のニーズを考慮し、ジェンダーの視点から問題を見ることが不可欠です。なぜならば、女性は平和と安全の維持・促進において中心的な役割を果たすことができるからです。
 この観点から、我が国が一般の人々の保護をエンパワメントがその本質であると信じる人間の安全保障概念に基づき、女性のエンパワメントの重要性をここで再度強調したいと思います。我が国が人間の安全保障基金を通じて実施している支援の一例として、紛争後のアフガニスタンにおけるUNIFEMプロジェクトがあります。このプロジェクトは、難民女性と国内避難民女性が紛争後の社会に復帰できるようにするために、職業訓練、セミナーの実施及び所得生成プログラムを通じて彼女たちをエンパワーし、成功を収めています。

議長、
 今年は、北京宣言と行動綱領のレビューを行っただけでなく、ミレニアム宣言の実施状況についても検討がなされました。同時に、ジェンダー平等といった複数の問題に跨るイシューを通じて開発を達成する上で、未だに挑戦と課題が残っていることについても認めました。また、その結果、ジェンダー平等の達成という目標も未だ達成されずに残っています。
 この点に取り組むために、我が国は、女性と同様に男性も裨益者となっている政策や措置の立案も含め、日本のODAプログラム実施の全段階においてジェンダーの視点を取り入れ、主流化する目的で、「ジェンダーと開発イニシアチブ(GAD)」という政策ペーパーを策定しました。右イニシアチブの下、我が国は、ジェンダー平等と女性のエンパワメントを促進するための開発途上国による取組に対する支援を一層強化していく所存です。

 我が国は、国レベルにおいても、女性の人権保護とジェンダー平等の促進において効果的であるとされる北京行動綱領及び女子差別撤廃条約に従って、女性の地位向上のために具体的な取組を行っています。特に政策・意思決定プロセスにおける女性の参加を促進する上で、2020年までに社会の全部門におけるリーダーシップの地位の30%を女性が占めるという具体的な数値目標を2003年に設定しました。
 男性と女性に平等な雇用機会を保障し、職場における平等な扱いとキャリアと家族生活のバランスを支援するためにも、我が国は様々な施策をとっています。この目標を達成するには、男性と男児が積極的な役割を担うことが特に必要となってきます。このため我が国は、育児における男性の参加を熱心に促進し、「育児支援プラン」の下で育児支援サービスの増進をはかっています。

議長、
 昨年、この委員会において、我が国は、男性と女性が手をとりあってジェンダー平等への道のりを歩むことについて希望を述べました。今年は、北京宣言と行動綱領及びミレニアム宣言に対する決意を改めて確認しましたが、これまでに達成された成果を評価する一方で、昨年表明した希望が実現するにはまだ長い道のりがあると考えます。我が国は、目の前の新しい挑戦に取り組んでいくことができるように、決意を実際の行動に移すための努力を継続・強化していく所存であります。

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