演説

国連の場における演説

アフガニスタン情勢に関する安保理公開討論における大島国連大使演説(仮訳)

平成17年8月23日

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 はじめに、ジャン・アルノー国連事務総長特別代表のブリーフィングに謝意を申し上げるとともに、同代表及びUNAMAの同代表のスタッフに対し、アフガニスタンにおける平和の促進及び定着のため多大の献身及び貢献を行ってきたことに敬意を表します。

 ボン・プロセスは最後の最も微妙な段階に差しかかっており、9月18日に予定されている議会選挙の準備が予定通り進んでいることは勇気づけられます。日本は、最近行った800万ドルの緊急支援を含め、これまで、選挙に対し多大な貢献を行ってきています。しかし、事務総長特別代表が指摘されたとおり、選挙のため依然として資金が大きく不足しており、国際社会に対し、早急にこの不足を満たすよう要請します。

 アフガニスタンにおける政治プロセスは全体としては進展していますが、治安情勢は依然として極めて不安定であり、一部地域においては悪化しています。事務総長報告は、反乱側の攻撃が増加し、より洗練され、破壊的となり、より組織され、かつ、資金基盤が強化されているとの懸念される動向を指摘しています。この展開は、アフガニスタン及び国際社会の双方にとって深刻な懸念材料です。国際治安支援部隊(ISAF)はNATO諸国その他の要員派遣国により強化され、展開地域を拡大しています。我が国は、これらの諸国の取り組みに敬意を表します。国際社会のプレゼンスは、選挙移行も同水準で維持されるべきであり、安全保障理事会は、ISAFのマンデート更新について早急に議論を開始すべきです。

 アフガニスタンにおけるDDRの主導国として、日本は、DDRプログラムの武装解除フェーズが完了し、7月にこれを記念する式典が開催されたことをお伝えする光栄を有します。我が国は、残された目的、すなわち、明年6月までのアフガン軍事部隊の社会復帰の完了、非合法武装集団の解体を達成するためのアフガニスタンの取り組みの支援に強くコミットし続けます。

 治安部門における深刻な課題に加え、アフガニスタンは、薬物生産・取引、機関の能力向上、経済社会開発等膨大かつ多面的な課題、換言すれば、紛争後の平和構築において一国が直面し得るあらゆる課題を抱えています。

 アフガニスタン国民自身により、また、国際社会により、平和を達成するため多大の投資が行われ、また多くの犠牲を出してきており、ここで失敗する訳にはいきません。アフガニスタンにおける平和の定着のための国連の継続的役割は、選挙後の課題においても不可欠であることは明白であり、我が国はその役割を全面的に支持します。9月の選挙をもってボン・プロセスが終了した後、種々の協力を維持するための枠組みに関する議論を加速化する必要があります。我が国は、選挙後の課題を決定し、UNAMAのマンデート満了に先立ち安保理に対し具体的提言を行うため、事務総長がアフガニスタン政府及びすべての国際的関係者とのとの対話プロセスを開始したいとしていることを歓迎します。この関連で、6月のG8外相会合宣言において、G8外相が「議会選挙後の期間におけるアフガニスタンと国際社会との間のパートナーシップを更新するために、アフガニスタン政府及び国連とともに取り組むことを期待」していることを想起したいと思います。

 日本としても、過去3年半の間示してきた高い水準のコミットメントを維持すべく取り組むであろう国際社会とともに、アフガニスタンにおいて平和を定着させ、経済社会開発を達成することを支援するための努力を惜しまない所存です。

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