平成17年7月20日
議長、
対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会、テロ対策委員会(CTC)及び安保理決議1540委員会の各議長を歓迎し、それぞれのブリーフィングに謝意を述べたいと思います。
まず初めに、今月7日に発生したロンドン連続爆弾テロ事件において、犠牲となられた方々のご冥福と負傷された方々の速やかな回復を心からお祈り申し上げます。テロは断じて許されるものではありませんが、マドリード列車爆破テロや東京の地下鉄サリン事件と同じように、通勤手段を狙い無辜の人々の命を奪うテロは最も非難されるべき行為であります。
ロンドン連続爆弾テロ事件でも証明されましたように、テロリズムは差し迫った脅威であり、また、大量破壊兵器とその運搬手段がテロリストの手中に落ちる危険性も差し迫った脅威として存在します。安保理はまさにそのような脅威に対応すべく努力を継続しています。4月の会合に続き、本日テロ関連諸委員会の議長がそれぞれの委員会及びその専門家による活動を明らかにし、テロとの闘いという共通の課題に向け安保理全体としての取組みを示したことは極めて意義深いことと考えます。そして、これら諸委員会が協力を深めることは、効果的なテロ対策の構築を確保することになります。
議長、
これら諸委員会の活動を更に進めていく上で、我が国として強調すべきと考える4つの点を述べたいと思います。
第一に、ロンドン連続爆破テロ事件は、テロ発生の未然防止対策を緊急に整えることが何よりも重要であることが再び明らかになりました。各国間の情報交換と協力の徹底がその一つであります。二国間の取り組みに加え、安保理は、国際刑事警察機構(INTERPOL)、国際民間航空機関(ICAO)及び金融活動作業部会(FATF)といった機関に蓄積された情報や経験の活用を加盟国に奨励することが重要であります。これより、例えば、各国の紛失盗難旅券情報を共有しテロリストの入国を阻止したり、テロ資金を封じることが可能となります。
第二に、各国のテロ対処能力の向上も勿論重要であります。CTCは本年3月以来の外国訪問の第1ラウンドを完了しましたが、これらの訪問は各国のテロ対処能力向上にとって有用であると受け止めています。もちろん、これら外国訪問は不断の改善が必要であり、訪問後のフォローアップも必要であります。CTCが、訪問国の更なる努力を促し、国際社会からの支援を要する分野等を特定し、実際の支援を円滑化するといった所期の役割を効果的に果たすことを期待しており、年末までの進展を注視していきたいと思います。今後対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会及び安保理決議1540委員会が有する各国の支援ニーズに関する情報もCTCと一層共有されるべきであります。我が国も引き続き各国のテロ対処能力向上のための二国間支援を提供していく所存です。
第三に、テロリスト及びテロ行為の拡散を防ぐために制裁措置の改善と強化が必要であります。その観点から、我が国としては、現在協議が進められている対タリバーン、アル・カーイダ制裁委員会に関する新たな安保理決議によって、より明確な手続が示され、加盟国が制裁対象者リストをより活用しやすくなり、同制裁委員会と国際刑事警察機構との協力が強化され、より実効的に資産凍結措置を取る体制が整えられる等、制裁措置に関する改善・強化策が近くまとまることを期待しています。この関連で、我が国としてはモニタリング・チームがこれまで提出してきた3つの報告書を評価しており、本日の議論と相まって、これら報告書が制裁措置の改善・強化に大いなる貢献を行うものと確信しています。
第四に、テロとの闘いは何と言っても国連の努力に対する加盟国の完全な協力が不可欠であります。これまで累次機会に強調してきましたように、テロ防止関連12条約の早期締結と核テロ防止条約の早期署名を各国に奨励したいと思います。同時に、国際社会が、文民や非戦闘員を標的とし意図的に殺傷することは、いかなる理由によっても正当化されない旨明確にしつつ、包括テロ防止条約交渉を来年6月までに妥結できるよう協力することが重要であります。
また安保理決議1267、1373、1540他の関連安保理決議を履行するため、国内法及び諸措置を整備することは時間のかかる困難な作業ではありますが、これらを着実に進めることがテロに対抗する確実な道であります。安保理は、効果的なテロ対策の枠組みを提供し、支援を必要とし要請している加盟国に必要な支援が届くよう引き続き努力していきます。それを可能ならしめるためには、各国が遅滞なく報告書を提出したり、各委員会へ情報提供を行う等の協力が必要であります。
議長、
如何なる国、発展した国も発展途上の国も、テロの脅威から免除されているわけではありません。各加盟国は自国民が安全な世の中で暮らせるよう常に対応策を検討しており、国連は各国の知恵と経験を集結させ共有する最前線に置かれています。
我が国は、対テロ包括戦略を実践に移すべきとするアナン事務総長の提言を支持しており、9月の首脳会合で各国首脳がかかる提言を受け入れることを期待しています。その上で、我が国としても安保理としての取組みを更に強化できるよう、これら諸委員会の活動に引き続き最大限の協力をしていく所存です。
どうも有り難うございます。