平成17年7月11日
議長、
まず、9月の首脳会合の帰趨を占うのみならず、国連の将来にとって重要な分岐点となる今回の歴史的な総会を開催いただいたことに対し、感謝します。我々は、貴議長の力強く賢明なリーダーシップの下で、加盟国が必要な決定を行なえることに自信を有しており、貴議長に対する我が代表団の完全な協力を約束します。同時に、G4枠組み決議案の共同提案国の一カ国として、日本は共同提案国を代表して只今行われたサーデンバーグ・ブラジル常駐代表の趣旨説明を完全に支持します。
今日の世界が直面する挑戦に国際社会が対処する上で、国連が傍らに追いやられてはなりません。我々は、国連を21世紀の現状に対処する能力のある組織に改革すべきです。換言すれば、小泉総理が昨年この演壇から述べたとおり、我々は「新しい時代に向けた新しい国連」を構築しなければなりません。こうした変革の中で、核となるのは安保理改革です。国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任を有する機関として、安保理は、国際社会の最大限の協力と参加を得てその役割を果たしていくべきです。そのためには、今日の世界をよりよく反映するように安保理の代表性を向上させなければなりません。加えて、安保理は、課題に効果的に対処するため、十分な能力を有するべきです。国際の平和と安全において主要な役割を果たす意思と能力を有する国々は、常に、安保理の意思決定過程に参加しなければなりません。そのためには、途上国・先進国の双方を新たなメンバーに含め、常任・非常任の双方において安保理を拡大する必要があります。
議長、
加盟国との徹底的な協議の結果、日本は、ブラジル、ドイツ及びインドと共に、共同提案国の支持を得て、枠組み決議を先週総会に提出しました。我々はニューヨークと首都の双方において、加盟国の意見を注意深く聴取し、また、AU及びカリコム首脳会合の結果を待ちました。アフリカは国際社会の不可欠なメンバーであり、従って、その参加は安保理改革の実現にとって非常に重要です。これに関し、日本は、先日シルテに於いて開催されたAU首脳会合で宣言された、安保理を常任・非常任双方の双方において拡大するというアフリカの決意を歓迎します。同時に我々は、かなりの数のカリコム・メンバー国がこの決議を支持する傾向があることを指摘したカリコム首脳会合のコミュニケを歓迎します。
我々は、この決議は、加盟国の3分の2を上回る支持を集めることのできる唯一の実現可能性を有する提案であると信じます。日本は、既にこの決議に対する支持を表明した多くの加盟国に感謝しており、最大の支持をもってこの決議を採択するために更なる努力を行なう決意を有しています。日本は、他の共同提案国と共に、安保理の改革という共通目標を達成することを目的とした、加盟国との建設的な対話を行なってきています。AU及びカリコム首脳会合における決定を受けて、我々はAU及びカリコム諸国並びに国連加盟国全体と引き続き対話を行なう準備があります。日本は、この決議の採択を目指して、引き続き透明で民主的な方法で作業を行なう予定であり、安保理の改革の実現に向けての全ての加盟国の参加を強く期待します。
議長、
安保理改革の課題についての決定のタイミングに関し、事務総長は、事務総長報告で、「加盟国は、本年9月のミレニアム宣言に関する首脳会合の前にこの重要な問題に関する決定を行うことに同意すべきである」と明白に述べています。いかなる重要な決定のためのタイミングも、慎重に検討されなければなりません。我々は、いかなる不適切な性急さを論じているものでもありません。しかしながら、次のことにつき留意することは重要です。
議長、
常任理事国とは、特権を意味するものではありません。むしろ、国際の平和と安全に効果的に貢献する意思と能力を持った国々の、義務であり責任であります。国連の理想と目的に完全にコミットし、平和を愛する国として、日本は、安保理の新常任理事国となることで、国際の平和と安全の維持及び平和と開発の課題を推進することにおいて、重要な役割を果たせることを確信します。それに基づいて、我々は、我々の熱意を一般加盟国の判断を仰ぐために提起する準備ができています。
議長、
国連改革のアジェンダは安保理改革よりも更に幅広いものです。日本は、開発、平和構築委員会及び人権理事会の設立並びに事務局とマネージメント制度の改革のような課題に多大な重要性を見出しています。我々は、これらの国連改革の分野において、具体的な成果を達成するという我々の希望を既に表明済みであり、それに向けて関心を有する代表団と緊密に作業を行なっています。同時に、我々が改革のモメンタムを捉えることは不可欠です。我々は、安保理改革の課題に関する大胆な決定は、改革プロセスを遅延させるのではなく、9月の首脳会合における他の重要な改革課題に対処するために必要とされる更なるモメンタムを創り出すことになると強く信じます。
今会期の総会で我々全てが目撃したように、圧倒的大多数の加盟国は、安保理改革が喫緊の課題であるという認識を共有しています。安保理改革に関する決定を行なう時期が到来したことは明白です。我々は、「新しい時代に向けた新しい国連」を構築するために我々が行なう重要な決定が、未来の世代から、よくやったと評価されることを、心から希望します。この目的を達成するために、日本は他の加盟国と協働する努力を惜しみません。
どうもありがとうございました。