平成17年6月21日
議長、
この重要な課題について、本日の公開討論を開催したことに感謝します。また、エグランド人道支援調整担当事務次長による、これまでの努力と今後の課題に関する有益なブリーフィングを多とします。武力紛争下の文民保護の促進に取り組んできた前緊急救済官として、エグランド事務次長を始め、人道支援調整事務所(OCHA)職員や他の関係国連人道機関がこの難しい課題に献身的で決然とした努力をもって取り組んできたことに敬意を表します。
議長、
時間制限を遵守するため、日本政府が国際社会で促進することに努めてきた人間の安全保障の概念の視点に立って、特に重要と考える3点に触れたいと思います。
第一に、国内避難民の問題です。武装勢力が文民を利用する手段として、意図的に居住地からの退去させている最近の事例を深く懸念します。そのような行為は受け入れられるものではなく、厳しく非難されなければなりません。このことは、国際社会や関係国が文民保護における基本的な規範として国内避難民に関する規準原則を支持するため、さらに努力すべきことを想起させます。難民とは異なり、国内避難民の保護及び支援に責任を有する特定の国連機関は存在しません。国家主権と、国際社会の支援と保護活動を調和するための規範や実際的な指針が必要であり、国内避難民に関する規準原則はこのようなことを目指しています。国内避難民の保護に当たって、この規準原則が適切な指針を提供するものとして、国連加盟国が認知すべき時が来ています。9月の首脳会合の宣言がこのことを反映するよう強く望みます。この原則は、全ての人間は居住地を恣意的に退去させられることから守られる権利を有していると明確に述べています。武力紛争下で国内避難民が発生し、国家が当該避難民を保護したり支援したりする能力や意図がないときには、国連や他の人道機関が保護や支援を行うべきであり、適当な場合にはPKO要員もそのような活動に参画すべきです。また、地域機関の協力も探求されるべきです。
このような国際的支援努力において、文民を保護するための断固としたマンデートを有するPKO要員と、中立性を維持する人道支援要員の関係が問題となり得ます。統合ミッションで頻繁に見られるように、各々の役割を定義することは容易ではありません。この問題は現実的な観点から検討されるべきで、現場で国内避難民を保護し、支援するために何が最も良いかとの視点が重要です。形式は機能に従うべきであり、期待される機能によって組織を決定すべきです。このことは人道問題執行委員会によって任命された独立研究チームが先月発表した統合ミッションに関する報告書にも触れられています。
第二に、文民によるか軍人によるかを問わず、武力紛争下において広く見られる性的搾取や侵害を強く非難します。弱者を搾取から守るために特別の注意を払うべきです。犠牲者は特別の手当と支援を受けるべきであり、犯罪者は処罰されなければなりません。特に遺憾なのは、弱者の保護者として最高の基準を遵守しなければならない国連職員が、このような基準を遵守できなかったことです。
この問題について、ザイド・ヨルダン常駐代表が安保理に提出した報告書と、PKO特別委員会で合意された毅然とした措置を歓迎します。こららの措置を迅速に実施し、具体的行動に結びつける必要があります。今月初めに、私が議長を務める安保理PKO作業部会は、要員派遣国、主要関係者、PKO特別委員会事務局の参加を得て、コンゴ民主共和国における国連ミッションのケースに集中してこの問題を取り上げ、勧告の実施状況をレビューしました。事務局や要員派遣国によって積極的な措置が取られていることに留意しましたが、更なる進展が求められており、措置の実施状況をレビューし続ける予定です。
第三に、小型武器の問題は引き続き深刻です。小型武器の広範な使用は、多くの犠牲者を出すばかりではなく、児童兵の徴用や紛争後における復旧・開発活動の阻害といった問題も引き起こします。日本は、国連総会で小型武器の問題に関する決議を採択することを通じて、関心を高めるとともに、基準を打ち立てるための議論を行うことに貢献してきました。さらに、余剰小型武器を回収し破壊する現地の活動の実施にも積極的に貢献してきました。来年には行動計画の運用検討会議が予定されており、この分野での私たちの努力を一層強めるべきです。
議長、
エグランド事務次長が指摘したように、武力紛争下の文民保護というテーマで私たちが行っている議論によって、弱い文民が保護と支援を必要としている現場で実際の成果が上がることを安保理は確保しなければなりません。エグランド事務次長は、安保理の審議を促進し、文民保護の側面が安保理審議に反映されるよう、安保理に対する系統だった報告メカニズムを開発する意図を表明しました。このアイディアを歓迎します。このようなメカニズムによって、安保理が国別決議を考慮する際に、文民保護に関する主要な要素が組み込まれることになるでしょう。議長声明を支持するとともに、可能な最も早い時期にこれまでの成果を反映した決議を採択することを期待しています。
ありがとうございました。