平成17年4月28日
議長、
事務総長報告及び開発、平和、人権に関する先週来のクラスター別審議は、今日の世界が直面している諸課題が何であるかを確認するとともに、このような重要分野において国連憲章の目的を達成するための今後の方途を明らかにしました。我々の国連がそのような課題に対処し、重要な任務に実効的に取り組むためには、国連の機構改革が不可欠であり、また大胆な決定が必要です。コフィ・アナン事務総長は就任以来、国連事務局改革に深く関与してきています。我々は、アナン事務総長の達成されたことを評価します。また、アナン事務総長が引き続き積極的に努力されることを期待する一方で、加盟国も事務総長に対して可能な限り支援すべきと考えます。
議長、
<総会>
第一に、総会に関しては、最初の重要なステップは、ある程度柔軟性のなくなっている議題を合理化することであると考えます。現下の最優先問題により焦点を当てかつ時宜を得た討議を行うことが我々の目的であるべきです。我々は、第60会期中に総会の再活性化のための具体的措置につき、合意できるよう努力すべきと考えます。
議長、
<経社理>
重要な機関である経社理がより強化され、経済社会分野において途上国をはじめとする加盟国の関心の高い問題に集中して対応しうるためには、経社理自身が変革することが必要です。経社理は、解決策、指針、更には方向性を国際社会に提示しうるような機関へと生まれ変わるべきです。従って、我々は、MDGsの進展を監視し、開発協力の傾向や履行を相互に評価するための機構を調整機関として経社理に設立するとの事務総長の具体的提案を支持します。また、飢饉、疫病や自然災害等多くの人々に影響を及ぼす脅威に対応するべく、時宜を得た会合を開催するとの提案についてもこれを支持します。
平和構築委員会の設置に当たっては、経社理は脇に外れるべきではなく、同委員会の構成及び任務において、安保理同様に、経社理の適切な関与が確保されるべきです。平和構築委員会の活動における経社理の密接な関与は有益であるのみならず、経社理自体の強化にも資することになるでしょう。それ故に我々は、平和構築委員会の具体的事項に関する事務総長の追加的ノートを、同委員会についての幅広い合意に到達するための有益なベースになるものとして歓迎します。
議長、
<人権理事会>
事務総長が提案した人権委員会に代えて人権理事会を設立することを我が国は支持します。そのマンデートの一つとしてピア・レビューを含めるとの提案も選択肢の一つとなり得ると考えます。あらゆる国の状況を平等に評価することにより、人権に関する討論の信頼性を取り戻すことに貢献し得ると考えます。ただし、ピア・レビューの実施の詳細について更なる議論が必要です。既に条約体への報告義務を負っている国連加盟国に追加的な負担をかけることは避けるべきです。また、ピア・レビューは対立ではなく協力の精神に基づいて行われるべきです。
議長、
<安保理>
安保理改革に関しては、我々の立場については、これまでも表明してきましたが、ここで安保理改革の段取り及びサブスタンスについて数点述べます。
過去のそして現在の安保理改革に関する議論は、いくつかの重要事項については幅広く共有された見解が存在することを明示しています。例えば、安保理の構成を最新のものとし、途上国も含め安保理の代表性を改善し、安保理の創設来60年を経て著しく変化した今日の世界の現実を反映させるために、安保理のメンバーが、常任・非常任双方において拡大されるべきである、との見解です。また、安保理を拡大するに当たっては、安保理の実効性の改善についても考慮が払われるべきである、との見解です。また、安保理の作業方法は、透明性と包含性において改善されるべきである、との見解です。
事務総長は、今回の事務総長報告で、「安保理改革なくして国連改革なし」と述べました。事務総長はまた、加盟国に対し、9月の首脳会合前に安保理改革に関する決定を行うことに合意するよう要請し、そのためにはコンセンサスは好ましいが、「コンセンサスが達せられないことが行動を遅らせる言い訳となってはならない」と述べました。我々は、このような事務総長の見解を、正当であり、現実的でありかつ実施可能なものとして支持しています。
いくつかの加盟国は、投票することに留保したり、あるいは決定のための「人為的期限」に警告を発しました。このような慎重さは、遅延又は何の行動もとらないための弁護ではない、すなわち現状維持を要求するという大多数の加盟国にとって受け入れ難い立場ではないことを、我々は希望します。コンセンサスは可能な限り尊重されるべきです。しかしながら、コンセンサスへの信棒があまりに強く追求されると、それは少数派による拒否権という意味合いを帯びはじめます。そのようなことはあってはなりません。安保理改革のために必要とされるような重要事項についての決定は、全会一致という意味でコンセンサスを要求するために、犠牲にされてはなりません。
実際、憲章及び総会決議において明確なルールが規定されています。これらのルールは、総会が異なったルールを採択しない限り、守られなければなりません。
この関連で、1963年に、非常任理事国メンバーを6から10に拡大するための総会の決定は、実際投票により行われ、コンセンサスによって行われたのではないとの事実を想起したいと思います。もし当時、コンセンサスに関する議論が主流となっていたとしたら、安保理は今日も15ヶ国ではなく11ヶ国で活動していたかもしれません。
安保理改革に関する決定のために、「人為的な期限」が設定されるべきではないと言われています。これはおそらく、9月の首脳会合前に安保理改革に関する決定を行うとの事務総長による提案に反対する議論であると思います。
いかなる重要な決定のためのタイミングも、慎重に検討されなければなりません。そして我々は、いかなる不適切な性急さを論じているものでもありません。しかしながら、次のことにつき留意することは重要です。
こうした長いプロセスから、国連の機構改革の一部である安保理改革について何らかの決定を行う時間が近づいていることは明らかです。そのためのモメンタムが組み込まれており、そのモメンタムを捉えなくてはなりません。今後数週間の間に詳細に関する更なる突っ込んだ議論と協議が必要となるでしょう。しかしながら、夏前の適当な時期には、憲章及び関連総会決議に規定された手続に従って決定が行われるべきです。このことは、9月の首脳会合のために他の重要事項に対処するために必要とされるさらなるモメンタムを創り出すことになるでしょう。
このプロセスを進めていく中で、我が国は、常任理事国入りを希望する他の諸国とともに、すなわちブラジル、ドイツ、インドそしてアフリカからの希望国とともに、また関心国とともに、安保理メンバーの拡大についてはモデルAの概念をベースに協働してきております。現在の地域グループはそのまま維持されるべきです。そして適切に対処されなければならないその他の重要な諸点もあります。間もなく、常任理事国入りを希望する諸国は、決定のための幅広い合意に達するための努力においてオープンかつ相互対話形式のプロセスを通じて、加盟国及び様々なグループとのより幅広い協議を開始するつもりです。このプロセスにおいては、ピン総会議長及びファシリテーターとも緊密な協議を続けていくつもりです。
約50年前の国連加盟以来、我が国は、平和愛好国として国連の目的を果たすことを全面的に約してきました。我が国は、拡大され改革された安保理の新常任理事国として、国際の平和と安全の維持及び平和と開発の課題を推進することおいて何らかの重要な役割を果たすべきであり、またそれらの分野において大きな貢献をなすことができると確信しております。
議長、
<事務局改革>
最後に事務局に関しては、我が国としては、事務総長が「最高執行役員」的な行政職員の長として、この組織とその人員をより良く管理し、この機構の不可欠な部門で必要とされる改革を実施できるよう、事務総長の管理権限を強化する提案を支持します。我が国は、既存の資源をより柔軟に再配分し、古いマンデートを再検討することを可能とするものを含む様々な提案を歓迎します。我が代表団としては、他の関係国と協議しつつ、後日こうした事項について具体的な提案を行う考えです。
議長、
<人道対応システム>
「国内避難民に関する規準原則」を国際的な規範とし、可能な限り国内法制に取り入れることをはじめとして、国連の人道対応システム強化に向けた措置を支持することについては、既にクラスター3の審議で表明しました。OCHAが管理する中央緊急回転基金を改善強化するための提案について更に議論することを期待しています。
議長、
<憲章改正>
我々は、軍事参謀委員会に関する条項及び信託統治理事会に関する章を削除するとの事務総長の提案を支持します。我々はまた、総会決議50/52で決定されたとおり、憲章第53条、第77条及び第107条からいわゆる「旧敵国条項」を削除することを支持します。
最後に、本ステートメントで既に述べたことを改めて述べますが、我が代表団は、今後数週間、我々が直面している非常に重要な問題について、総会議長、クラスター4のファシリテーター、そしてその他のファシリテーターと緊密に協力していくゆらぎない決意を有しています。
ありがとうございました。