
町村外務大臣演説
「国連改革会合」
町村大臣 冒頭発言(仮訳)
平成17年4月29日
於:ニューヨーク
(冒頭)
- 御列席の皆様、御出席に感謝致します。昨今皆様が多くの時間と労力を費やしている話題、国連改革に関し、お話致したいと思います。
- 国連が、平和と安全、経済社会面での前進を確保するための、最も重要且つかけがえのない多国間組織であり続けることは、何人も疑わないところです。国連の正統性、普遍性に匹敵する国際機関は他にありません。従って、国連を強化することは大小問わず全ての加盟国の利益であり、現代の世界の課題に取組むための我々の集団的努力の重要な部分であります。
- だからこそ、事務総長の献身的且つ的を得た国連改革のための努力を、加盟国が可能な限り、激励のみならず、支持するべきであります。現在の改革の努力が成功し、国際社会全体に利益がもたらされるよう、日本は事務総長を支持します。
- 問題は、如何にして、如何なる優先順位をもってか、であります。
- 我が国政府が重視するいくつかの課題、即ちミレニアム開発目標(MDGs)と開発、核軍縮と不拡散、平和構築、組織改革について述べたいと思います。これらは、国連の将来に大きく関係する課題であります。
(開発)
- 先ず、開発について。MDGsの主要目的は、経済成長を通じた貧困除去と人間中心の開発によって達成されるべきと考えます。日本自身、被援助国から世界有数の援助国へと比較的短期間に至った経験を有します。この経験により、日本は、途上国に対し、二つの優先的考慮を念頭におきつつ援助してゆける、独特の立場にあります。一つは、途上国のオーナーシップを尊重すること、即ち途上国自身が運転席に座るようにすることです。そしてもう一つはパートナーシップの考え方です。これら二つの概念は、NEPADのような重要な開発戦略の中に掲げられているのと同様のものです。
- 開発資金については、小泉総理が先週のアジア・アフリカ首脳会議の機会に述べた通り、MDGsに寄与するためODAの対GNI比0.7%目標の達成に向け引き続き努力します。我が国政府は、我が国にふさわしい十分なODAの水準を確保します。
- 特にアフリカについては、今後3年間でODAを倍増し、その中心を贈与とする方針です。また、2008年にTICADIVを開催します。
- MDGsと人間の安全保障、人間中心の開発の諸点に焦点を当てたセミナーを、5月末または6月にも開催する予定です。このセミナーが、アジア・アフリカ協力を進める有用な機会となると期待致します。
(軍縮・不拡散、平和構築)
- 日本は、軍縮・不拡散分野において積極的な役割を果たしてきました。この目的に向けて力強い努力を継続します。NPT運用検討会議には自分が出席して、NPT体制の信頼性の強化に貢献したいと考えます。
- 日本は、自らの戦後復興の経験を活かし、カンボジア、東チモール等、紛争の影響を受けた国々での平和構築において、大きな役割を果たしています。日本は現在、スーダン、中東、アフガニスタン、イラクで、人道その他平和構築関連の活動を実施しています。なぜなら、これらの地域の安定は、我々自身の地球規模の安全保証にとり重要だからです。
(機構改革)
- 最後に、機構改革について。国連をその三つの主要機関、総会、経済社会理事会、安保理につき強化することは、現下の国連改革の努力の重要な部分でなければなりません。特に、安保理は近代化し、その構成は拡大され、作業方法は改善される必要があり、21世紀の現実を反映するように改革される必要があります。開発途上国は、より多く代表されなければなりません。
- ニューヨーク及び世界中の首都において、十年以上に亘り、特にハイレベル委員会が2003年に設置されて以降、多くの議論が行われてきました。今や、安保理を改革して、これに正統性を与え、より効果的な組織とするための本当のモメンタムが存在します。
- 日本は、他の候補国であるブラジル、ドイツ、インドとともに、3月31日の関心国会合の開催を含め、安保理改革の課題を積極的に促進してきました。安保理を常任・非常任議席の双方で拡大することを含むプロセスへの我々の取り組みを描き出しました。アフリカの候補国の関与も始めました。今後早急に、より広範な協議を、個々の国や様々なグループと、開かれて双方向なプロセスで行なっていくつもりです。こうした協議に続き、意味のある、そしてとうに行うべき期日が切れている安保理改革への道を開く決議案を提出したいと考えています。
- 我が国が安保理常任理事国として役割を果たすべきかどうか、国際社会のご判断を仰ぎたいと考えます。常任理事国とは、特権を意味するものではありません。むしろ、国際の平和と安全に効果的に貢献する意思と能力を持った国々の、義務であり責任であります。日本は、平和を愛する国として、そのような取り組みを数十年にわたり行ってきました。アジアの指導的な工業国・民主主義国家として、我々はこれらの責任を果たせると確信します。
- 私は、私たちが今年行う重要な決定が、未来の世代から、よくやったと評価されることを、心から希望致します。どうもありがとうございました。