
小泉総理大臣演説
シン首相主催晩餐会における小泉総理大臣返礼挨拶
平成17年4月29日
ナマスカール
(ヒンディー語で「こんばんは」の意味)
シン首相閣下、並びに御列席の皆様、
- 今般、日本国総理としてインドを訪問できましたことは、私の喜びであり光栄に存じます。
シン首相を始めインド政府の方々、またインド国民の方々の皆様から頂いた温かいおもてなしに心から感謝申し上げます。
- 本日、シン首相、カラーム大統領と極めて有意義な意見交換を行い、日本とインドは、深い友情と共通の価値観、更には寛容の精神で強く結ばれた同志であることを改めて確認することができました。
- 我が国を訪れた最初のインド人は仏教の僧侶でした。8世紀のことです。以来日本とインドは、永きにわたる交流の歴史を築いてきました。
我が国が戦後の荒廃の中から経済的な復興と国際社会への復帰を遂げる過程で、インドから頂いた御厚情を忘れることはできません。
第二次大戦後、ネルー首相は日本の子供達の要望に応えて子象「インディラ」を上野動物園に贈ってくださり、敗戦の精神的な傷が癒えぬ当時の日本人に大きな希望と勇気を与えてくれました。また経済面では、インドの綿花は近代化しつつある日本の産業振興を支え、インドの鉄鉱石は第二次世界大戦後の日本の復興を支えました。
- 今日、日本において、インドに対する関心は急速に高まっています。私自身も今回この魅力に満ちた国を訪問し、「新しい活力溢れるインド」を強く感じました。これは、まさにシン首相が大蔵大臣であられた15年前に、経済自由化政策への転換を御英断され、その後改革に取り組んでこられた成果であると考えます。
- 私は、先般のアジア・アフリカ首脳会議にシン首相とともに出席し、インドが第二次大戦後、アジア・アフリカ諸国のために果たしてきた貢献を改めて思い返しました。インドは今日、世界に対し経済的発展の一つの手本を示すようになりつつあり、今後益々世界の主要国として、その役割と責任を果たしていくようになっていくことを確信しております。
- 「アジアの新時代」、日本はアジアにおいてインドという友人がいることをより一層強く意識していくこととなるに違いありません。日本とインドは、責任と能力を有するアジアの主要国として、「日印グローバルパートナーシップ」に戦略的方向性を与えていきたいと思います。
- シン首相には、できる限り早く日本を訪問されるよう御招待しました。アジア新時代の日印友好関係のため、シン首相とともに今後とも一層努力してまいりたいと考えております。それでは、両国の輝かしい未来に向けて、皆様と一緒に杯を挙げたいと思います。
乾杯