談話
ウクライナ情勢について(外務大臣談話)
1 我が国は,ウクライナにおける事態の推移を注視しています。
2 我が国は,事態の収拾が平和裡に行われ,一日も早くウクライナの安定が取り戻されることを強く望んでいます。
3 我が国としては,ウクライナの安定と繁栄のためには,民主化,市場経済化,法の支配の遵守,領土の一体性を重視しており,このような観点から,民主的な選挙を通じて早期に民意を反映した政権が成立することを期待します。
(参考1)ウクライナ情勢について
(1)昨年11月21日以降,ウクライナ政府がEUとの連合協定への署名を延期したことに反発し,首都キエフにおいて独立広場を中心に大規模反対集会が継続していた。
(2)本年2月18日及び20日に,反政府側と警察が大規模衝突。20日には,警察部隊は,退却の際に狙撃銃で応戦し死傷者多数。保健省は,22日午後6時現在,18日からの死者数は累計82名と発表。
(3)21日,ヤヌコーヴィチ大統領は,EU3カ国代表(独・ポーランド外相及び仏担当局長他)同席の下,野党3党指導者(クリチコ・ウダール党党首,ヤツェニューク・バチキフシチナ党会派長及びチャフニボク・スヴォボーダ党党首)と政治危機解決に向けた合意文書に署名。その内容は,(ア)挙国一致内閣の樹立,(イ)本年12月までに繰り上げ大統領選挙実施,(ウ)大統領の権限を制限する2004年憲法への回帰等。
(4)22日,ヤヌコーヴィチ大統領の所在が不明に。大統領府及び同大統領の私邸は反政府側が確保。野党側が過半数を確保した最高会議(国会)では,22日~23日にかけて(ア)2004年憲法への回帰,(イ)ティモシェンコ元首相の解放,(ウ)ヤヌコーヴィチ大統領等の事実上の解任,(エ)大統領権限をトゥルチーノフ(バチキフシチナ党)最高会議新議長に移管すること,(オ)大統領選挙を5月25日に実施する等の決定を採択。ヤヌコーヴィチ大統領は,22日,国家転覆を試みる兆候が見られるとし,辞表を提出する意向はないとするビデオ・メッセージを発表。
(5)23日,トゥルチーノフ最高会議議長(大統領代行)は,2月25日までに新内閣組閣に向けた協議を終わらせるよう各会派代表に要請。
(参考2)邦人への影響等
(1)現地時間23日現在,邦人被害の情報には接していない。
(2)2月19日,坂田駐ウクライナ大使から,ウクライナ外務省に対し,邦人の安全確保及び事態の早期沈静化について申し入れを行った。また,21日,丸山外務省欧州局長代行から在京ウクライナ大使に対しても申し入れを実施。
(3)2月19日,首都キエフに対し,「十分注意してください」の危険情報を発出。
(4)2月21日,スポット情報を発出し,注意喚起を行った。
(5)2月22日,事態の進展を受け,大使館から在留邦人に対し,再度,メール・電話等により情報提供・注意喚起を行った。