談話・コメント

高村外務大臣談話

世界貿易機関(WTO)上級委員への大島正太郎大使の任命

平成19年11月28日
  1. 11月27日(火曜日)(ジュネーブ時間)、世界貿易機関(WTO)紛争解決機関(DSB)は、我が国の推薦により立候補していた大島正太郎(おおしま・しょうたろう)大使をWTO上級委員に任命することを決定した(明年6月に就任する予定で、任期は4年間。)。我が国は、今回の決定を歓迎する。
  2. 上級委員会は、WTO紛争解決制度におけるいわば「最終審」として国際貿易紛争の裁定を行う機関であり、WTOの要となる機関である。このような上級委員会において、1995年のWTO発足以来日本人の上級委員が、WTO体制に安定性と予見可能性をもたらしている最大の特徴である紛争解決手続の効果的な機能に貢献していることは、極めて意義深いものと認識している。
  3. 大島大使が、経済外交分野をはじめとする豊かな知見と経験を活かしつつ、WTO紛争解決制度において積極的な貢献を果たすことを期待するとともに、本年12月で上級委員としての職務を終える谷口安平(たにぐち・やすへい)委員(専修大学法科大学院専任教授)が、これまで果たされた貢献に対して敬意を表したい。

(参考)

1.WTO上級委員会

(1)「二審制」となっている WTOの紛争解決手続において、パネル(第一審)が取り扱った問題についての申立てを審理する「第二審」にあたる機関であり、最終的な裁定を行う。

(2)上級委員会は7名の委員で構成され、現在、我が国の谷口安平委員の他、エジプト、印、ブラジル、EC(イタリア)、米国、南アフリカからの委員が現職。委員の任期は4年(一回に限り再任可能。)。

(3)我が国からは、1995年のWTO発足以降、委員を輩出しており、大島大使は、松下満雄・成蹊大学法科大学院教授、谷口委員に続く3人目の日本人委員となる。

2.上級委員の選出までのプロセス

(1)上級委員の選出は、WTO事務局長及び5議長(DSB、一般理、物品理、サービス理、TRIPS理の各議長)から成る選考委員会による選考結果の提案を踏まえて、DSBのコンセンサスでの決定により行われている(加盟国による投票は行われない。)。

(2)本年12月及び来年5月に任期満了を迎える4名の委員の後任として、大島大使以外に、米国(2名)、中国(2名)、韓国、比、パキスタン、ベナンからの候補者が立候補した。本年9月後半から10月前半にかけて行われた選考委員会や加盟国との個別の面談の結果を踏まえて検討の結果、選考委員会は、大島大使、バウティスタ(Lilia R. Bautista)候補(フィリピン)、ヒルマン(Jennifer Hillman)候補(米国)、張(Zhang Yuejiao)候補(中国)をDSBに推薦していた。

(3)4名の新委員のうち、バウティスタ、ヒルマン両氏は本年12月に、大島大使と張氏は来年6月に、上級委員としての任に就くこととされた。

3.大島正太郎大使

 昭和18年生まれ 昭和43年東京大学法学部卒業、外務省入省
 経済局長(平成9年~12年)、在サウジアラビア特命全権大使(平成12年~13年)、経済担当外務審議官(平成13年~平成14年)、在ジュネーブ代表部特命全権大使(平成14年~平成17年)等を歴任。ジュネーブ在勤中には、WTO一般理議長、DSB議長に就任。平成17年7月から本年8月まで韓国駐箚特命全権大使。現在、国際貿易・経済担当兼査察担当大使。

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