寄稿・インタビュー
エル・パイス紙(ウルグアイ)への茂木外務大臣寄稿
(令和3年1月6日付)
絆、共に歩み、共に未来を築く
日本・ウルグアイ外交関係開設100周年
令和3年1月8日
本年は、日本とウルグアイが外交関係を開設して100周年に当たります。この記念すべき年の初めに、この美しい国ウルグアイを訪問することができ、大変嬉しく思っております。温かく迎えてくださったウルグアイ政府及び国民の皆様に心から感謝します。
地理的には日本から最も遠い国がウルグアイですが、両国は100年以上にわたる友好の歴史を有します。1921年9月に外交関係が開設されて以来、友好関係を育んできた日本とウルグアイは、現在、自由、人権、法の支配等の基本的価値を共有する民主主義国家として、また自由貿易の推進者として、互いにとってかけがえのないパートナーとなっています。今回の私の訪問は、ウルグアイとの新たな100年を共に築くために、一層の関係強化に向けた日本の意志の表れです。本年はここ中南米でも「包容力と力強さを兼ね備えた外交」を展開します。
日本とウルグアイとの関係は、多くの人々の善意の交流によって積み重ねられてきました。ウルグアイでは、外交関係の歴史を越える110年以上の歴史を誇る日系人の方々の存在が、日ウルグアイ両国を結ぶ友好と親善の礎となってきました。様々な艱難辛苦を乗り越え、このウルグアイの地に根付いて活躍されている日系人の方々、彼らを温かく受け入れたウルグアイ国民の皆様に深い謝意を表したいと思います。
日本は、ウルグアイの最大の資源である人材の育成に貢献すべく、国際協力機構(JICA)の研修事業を通じ、林業や農業、河川の水質管理を中心とした幅広い分野において、研修生の受入れや日本人専門家の派遣を行ってきました。教育や医療分野などについても、日本の支援がウルグアイの隅々まで行き渡るよう、これまでに無償資金協力を実施してきました。また、ウルグアイの新型コロナ対策を支援すべく、米州開発銀行(IDB)と連携し、遠隔医療システムに関する協力も実施する予定です。今後も貴国の開発課題克服に向けて、ウルグアイと共に歩んで行く考えです。
2011年、日本は東日本大震災という未曾有の災禍を経験しました。その際、ウルグアイ政府より、日本語で「日本の皆様が元気になりますように」と温かいメッセージと共に多数の食料缶詰の支援を頂いたことをよく記憶しています。また、2019年のラグビーワールドカップでは、震災復興のシンボルである釜石復興スタジアムでウルグアイがフィジーと熱戦を繰り広げたことは、被災地の方々を大いに勇気付けました。その時、日本のキッズ・サポーターがスペイン語でウルグアイ国歌をウルグアイ代表と共に大きな声で斉唱したことは、両国国民の友好の証として大きく報じられました。
このようなエピソードが示すように、日ウルグアイ両国は地理的には遠く離れておりますが、国民間の心の距離は非常に近い。日本は、このような人的交流を一層促進し、両国の絆を次世代にも引き継いでいきます。
日ウルグアイ関係は着実に発展しております。2018年12月には安倍前総理大臣が日本の総理大臣として初めてウルグアイを訪問し、両国の関係が一層強化されました。その成果の一つとして、牛肉の相互輸出解禁が実現し、世界に誇る和牛をウルグアイ人が、上質なウルグアイ牛を日本人がそれぞれ味わえることとなったことを非常に喜ばしいと思います。
また、本日署名する税関相互支援協定により、両国の貿易は更に円滑となります。2017年に発効した投資協定に続き、投資促進効果が期待できる租税条約も発効に向けた最終段階を迎えるなど、両国の貿易投資環境が着実に整備され、経済関係が更に発展していくことが期待されます。
新型コロナが世界的に拡大するや、これまで以上に国際協調が重要となりますが、このように様々な分野で強い絆で結ばれた両国は、国際場裡においても強力なパートナーです。ウルグアイは、35年前の1986年、現在の多角的貿易体制の礎たるWTOの設立につながるGATTウルグアイ・ラウンドを主催しました。常に自由で開かれた経済を信奉してきた国、ウルグアイルールに基づく自由で開かれた国際秩序の構築に向け、協力を益々強化していきたいと考えます。また、とりわけPKOへの参加に力を入れていることで知られるウルグアイは、日本が初めて参加したカンボジアPKOで国際平和の維持のため、共に汗を流しました。
この度、日ウルグアイ外交関係100周年を祝福するにあたり、イシドロ・オダラ・ウルグアイ日本商工会議所会頭を代表として、企業関係者、日系社会及び友好団体等の参画を得て、日・ウルグアイ外交関係樹立100周年実行委員会が結成され、日本、ウルグアイ両国で多くの記念事業が企画・準備されてしていると承知しており、皆様の熱意と尽力に心から敬意を表します。
中でも、桜の植樹計画が進められていると承知しており、両国の友情と絆の証としての桜の木が、発展を続ける日ウルグアイ関係と同じように、各地で花開くことを楽しみにしています。
日ウルグアイ両国の関係が、一層の成長と発展を経て両国国民に幸福と信頼の果実をもたらすことを祈念し、私の祝賀のメッセージとさせていただきます。
日本国外務大臣 茂木 敏充
地理的には日本から最も遠い国がウルグアイですが、両国は100年以上にわたる友好の歴史を有します。1921年9月に外交関係が開設されて以来、友好関係を育んできた日本とウルグアイは、現在、自由、人権、法の支配等の基本的価値を共有する民主主義国家として、また自由貿易の推進者として、互いにとってかけがえのないパートナーとなっています。今回の私の訪問は、ウルグアイとの新たな100年を共に築くために、一層の関係強化に向けた日本の意志の表れです。本年はここ中南米でも「包容力と力強さを兼ね備えた外交」を展開します。
日本とウルグアイとの関係は、多くの人々の善意の交流によって積み重ねられてきました。ウルグアイでは、外交関係の歴史を越える110年以上の歴史を誇る日系人の方々の存在が、日ウルグアイ両国を結ぶ友好と親善の礎となってきました。様々な艱難辛苦を乗り越え、このウルグアイの地に根付いて活躍されている日系人の方々、彼らを温かく受け入れたウルグアイ国民の皆様に深い謝意を表したいと思います。
日本は、ウルグアイの最大の資源である人材の育成に貢献すべく、国際協力機構(JICA)の研修事業を通じ、林業や農業、河川の水質管理を中心とした幅広い分野において、研修生の受入れや日本人専門家の派遣を行ってきました。教育や医療分野などについても、日本の支援がウルグアイの隅々まで行き渡るよう、これまでに無償資金協力を実施してきました。また、ウルグアイの新型コロナ対策を支援すべく、米州開発銀行(IDB)と連携し、遠隔医療システムに関する協力も実施する予定です。今後も貴国の開発課題克服に向けて、ウルグアイと共に歩んで行く考えです。
2011年、日本は東日本大震災という未曾有の災禍を経験しました。その際、ウルグアイ政府より、日本語で「日本の皆様が元気になりますように」と温かいメッセージと共に多数の食料缶詰の支援を頂いたことをよく記憶しています。また、2019年のラグビーワールドカップでは、震災復興のシンボルである釜石復興スタジアムでウルグアイがフィジーと熱戦を繰り広げたことは、被災地の方々を大いに勇気付けました。その時、日本のキッズ・サポーターがスペイン語でウルグアイ国歌をウルグアイ代表と共に大きな声で斉唱したことは、両国国民の友好の証として大きく報じられました。
このようなエピソードが示すように、日ウルグアイ両国は地理的には遠く離れておりますが、国民間の心の距離は非常に近い。日本は、このような人的交流を一層促進し、両国の絆を次世代にも引き継いでいきます。
日ウルグアイ関係は着実に発展しております。2018年12月には安倍前総理大臣が日本の総理大臣として初めてウルグアイを訪問し、両国の関係が一層強化されました。その成果の一つとして、牛肉の相互輸出解禁が実現し、世界に誇る和牛をウルグアイ人が、上質なウルグアイ牛を日本人がそれぞれ味わえることとなったことを非常に喜ばしいと思います。
また、本日署名する税関相互支援協定により、両国の貿易は更に円滑となります。2017年に発効した投資協定に続き、投資促進効果が期待できる租税条約も発効に向けた最終段階を迎えるなど、両国の貿易投資環境が着実に整備され、経済関係が更に発展していくことが期待されます。
新型コロナが世界的に拡大するや、これまで以上に国際協調が重要となりますが、このように様々な分野で強い絆で結ばれた両国は、国際場裡においても強力なパートナーです。ウルグアイは、35年前の1986年、現在の多角的貿易体制の礎たるWTOの設立につながるGATTウルグアイ・ラウンドを主催しました。常に自由で開かれた経済を信奉してきた国、ウルグアイルールに基づく自由で開かれた国際秩序の構築に向け、協力を益々強化していきたいと考えます。また、とりわけPKOへの参加に力を入れていることで知られるウルグアイは、日本が初めて参加したカンボジアPKOで国際平和の維持のため、共に汗を流しました。
この度、日ウルグアイ外交関係100周年を祝福するにあたり、イシドロ・オダラ・ウルグアイ日本商工会議所会頭を代表として、企業関係者、日系社会及び友好団体等の参画を得て、日・ウルグアイ外交関係樹立100周年実行委員会が結成され、日本、ウルグアイ両国で多くの記念事業が企画・準備されてしていると承知しており、皆様の熱意と尽力に心から敬意を表します。
中でも、桜の植樹計画が進められていると承知しており、両国の友情と絆の証としての桜の木が、発展を続ける日ウルグアイ関係と同じように、各地で花開くことを楽しみにしています。
日ウルグアイ両国の関係が、一層の成長と発展を経て両国国民に幸福と信頼の果実をもたらすことを祈念し、私の祝賀のメッセージとさせていただきます。
日本国外務大臣 茂木 敏充