北朝鮮
国連安全保障理事会決議第2270号の我が国における実施に関する同理事会への報告(概要)
平成28年6月1日
1 我が国の基本的立場
- (1)本年1月の北朝鮮による核実験及びそれに続く弾道ミサイル能力の発射は,日本の安全に対する直接的かつ重大な脅威であるとともに,北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものであり,断じて容認できない。また,北朝鮮による核実験及び弾道ミサイル発射は関連安保理決議に明白に違反するものであり,安保理の権威及び核兵器不拡散条約(NPT)を中心とする国際的な軍縮不拡散体制に対する重大な挑戦となっている。
- (2)国連安保理決議第2270号は,北朝鮮による核実験に対する国際社会の断固たる姿勢及び核・弾道ミサイル開発に対する深刻な懸念を示し,強力な措置を含む非常に重要な決議。日本は,決議の実効性を確保するため,各国が緊密に連携して,同決議を迅速かつ完全に実施する必要性を強調。
- (3)日本は,これまで決議第1718号,第1874号,第2087号,第2094号及び第2270号を実施するために必要な措置を着実に実施してきた。
- (4)日本は,引き続き北朝鮮制裁委員会(1718委員会)と緊密に協力し,作業に貢献する。
2 決議第2270号に基づく主な措置
(1)金融面の措置
- (ア)決議第2270号で指定された16個人・12団体を外為法に基づく資産凍結対象として追加指定。
- (イ)北朝鮮の銀行による国内での支店、子会社等の開設禁止及び自国の金融機関による北朝鮮での支店、子会社等の開設禁止を担保すべく,銀行法の運用でこれらの申請については免許等を与えないとの方針を対外発表。また,北朝鮮の金融機関とのコルレス関係の確立・維持等を差し控えるよう,金融機関等に要請。
- (ウ)日本は,決議第2270号採択以前から,外為法に基づき核・ミサイル計画及び安保理決議が禁止する他の活動等に寄与し得る金融サービスの提供を禁止している。
- (エ)外為法に基づき核・ミサイル計画及び安保理決議が禁止する他の活動等に寄与し得る「金」を含む貴金属の移転を禁止。また,使途に関わりなく,北朝鮮との「金」の輸出入を禁止。
(2)人の移動に関する措置
- 決議第2270号で指定された16個人について,入国管理法に基づき入国及び通過防止措置を実施済み。
(3)物品・技術訓練等に関する措置
- (ア)日本は,外為法に基づき,目的又は性質にかかわらず,北朝鮮との間の全ての品目の輸出入全面禁止措置をとっている。
- (イ)日本は,外為法に基づき核・ミサイル関連等の技術訓練、技術協力を含む特定技術の北朝鮮への役務提供について、既に規制対象としている。
- (ウ)北朝鮮籍者に対する核及び運搬手段の開発に関する専門教育・訓練を実施しないよう,国内の大学及び研究機関に要請。
(4)海上・航空輸送等の制限
- (ア)関連安保理決議により禁止された貨物の移転を防止するため,貨物検査法等の国内関連法令に基づき,検査を引き続き厳格に実施。
- (イ)関連団体に対し,北朝鮮に対する船舶又は航空機のリース、チャーター、北朝鮮において船舶を登録すること等を控えるよう要請。
- (ウ)航空法に基づき,関連安保理決議によって移転等が禁止されている品目を積載している疑いのある航空機の離着陸・上空通過を許可しない。
- (エ)特定船舶入港禁止法に基づき決議第2270号で指定されたOMM関連船舶及び他の北朝鮮関連船舶の入港を禁止。
3 我が国独自の対北朝鮮措置
- 2016年2月10日,日本政府は,過去の報告書により既に報告済みの独自措置に加え,以下の独自措置の実施を決定(2014年7月に解除された措置の再導入を含む。)。
(1)人の移動
- (ア)北朝鮮籍者の入国の禁止
- (イ)在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者の北朝鮮を渡航先とした再入国の禁止(対象者を従来より拡大)
- (ウ)我が国から北朝鮮への渡航自粛要請
- (エ)我が国国家公務員の北朝鮮渡航の見合わせ
- (オ)北朝鮮籍船舶の乗員等の上陸の禁止
- (カ)「対北朝鮮の貿易・金融措置に違反し刑の確定した外国人船員の上陸」及び「そのような刑の確定した在日外国人の北朝鮮を渡航先とした再入国」の禁止
- (キ)在日外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国の禁止
(2)金融面の措置
- (ア)北朝鮮を仕向地とする支払手段等の携帯輸出届出の下限金額を100万円超から10万円超に引き下げ,人道目的かつ10万円以下の場合を除き,北朝鮮向けの支払を原則禁止。
- (イ)資産凍結の対象となる関連団体・個人を拡大。
(3)海上輸送の制限
- 人道目的の船舶を含む全ての北朝鮮籍船舶の入港を禁止するとともに,北朝鮮に寄港した第三国籍船舶の入港を禁止。