国民と共にある外交
林外務大臣の秋田県訪問
(「地方を世界へ」プロジェクト)(結果)
6月17日、林芳正外務大臣は、地方の魅力を世界に発信する「地方を世界へ」プロジェクトとして、駐日外交団と共に秋田県を訪問したところ、概要は以下のとおりです。本件訪問には、武井俊輔外務副大臣が同行しました。
特に、1(3)の秋田洋上風力発電施設の視察が、G7広島サミットの成果を踏まえた脱炭素化に向けた日本の具体的な取組を、いわゆるグローバルサウスを含む駐日外交団の国々に積極的に発信することを通じて、各国がこうした分野における取組を進める上で参考にしてもらう良い機会になるとともに、人類共通の待ったなしの課題である世界の気候変動の取組に資するものになることを期待します。
1 秋田市内視察
(1)秋田酒類製造株式会社御所野蔵
午前、林大臣は、駐日外交団と共に、秋田の代表的な日本酒の銘柄のひとつである「高清水」を製造・販売する秋田酒類製造株式会社の酒蔵である「御所野蔵」を視察し、伝統的な手造りの技術と最新の温度管理技術が融合した酒造りの工程などについて説明を受けました。
(2)秋田市民俗芸能伝承館
この後、林大臣は、駐日外交団と共に、竿燈をはじめとする郷土の民俗行事や芸能の保存伝承を担う秋田市民俗芸能伝承館(愛称:ねぶり流し館)を視察し、秋田の祭りについて説明を受け、竿燈体験を行いました。
(3)秋田洋上風力発電施設(ポートタワーセリオン)
午後、林大臣は、駐日外交団と共に、秋田港を望む展望施設であるポートタワーセリオンを訪問し、秋田洋上風力発電株式会社関係者から日本国内で初の商業ベースでの大型洋上風力発電に関する同社の取組について説明を受けるとともに、展望ホールから本年1月に秋田港にて商業運転を開始した洋上風力発電用風車を視察しました。
2 秋田県知事、秋田市副市長、地元経済関係者及び駐日外交団との昼食意見交換会
林大臣は、佐竹敬久秋田県知事、鎌田潔秋田市副市長、秋田の経済関係者及び駐日外交団と共に、地元食材を使った昼食をとりながら、秋田の魅力を地域経済の活性化に繋げていくための効果的な発信等について意見交換を行いました。また、林大臣から、昼食後に視察予定の洋上風力発電施設(1(3))について、エネルギー安全保障を確保しつつ、脱炭素を実現するため、洋上風力等の推進に期待している旨を述べました。
3 秋田を拠点に活躍する方々との車座対話
最後に、林大臣は、 秋田を拠点に特産物・起業、国際交流、文化、観光、環境、外国人を含む子育て支援の各分野で活躍されている若者を含む6名の方々との間で、「秋田を世界へ」をテーマに車座対話を実施しました。
林大臣からは、国際社会に関する現状認識を紹介し、G7広島サミットにおいて、国際社会が直面する課題に対応していくことを確認したことを述べるとともに、秋田は、豊富な天然資源に基づく再生エネルギーの利用が進んでおり、また、秋田の豊かな自然、竿燈まつりといった伝統文化などのインバウンド拡大の可能性といった大きな潜在力を有していることに触れ 、海外の方々が、風力発電など高度な技術、食・文化・観光といった秋田の魅力に触れる機会を促進していく旨述べました。
参加者からは、自らの経験に基づく様々な意見・提言が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
「地方を世界へ」プロジェクトは、外務大臣及び外務副大臣が、駐日外交団と共に我が国の地方を訪れ、駐日外交団に地方の魅力を体験してもらい、また、地域の方々との対話を通じて地方への理解を深めてもらい、外交団から自国民への発信を促すことにより、インバウンド需要を喚起し、地域の更なる活性化を目指すもの。今回は、昨年11月の長崎県、同年12月の宮城県及び山形県(ただし駐日外交団は同行せず。)、本年2月の岡山県への訪問に続く第4弾。
パラグアイ、メキシコ、南アフリカ、リベリア、ノルウェー、ブルガリア、ラオス、スリランカ、インド(9か国)
- 秋田酒類製造株式会社御所野蔵
秋田酒類製造株式会社は1944年に設立され、秋田の代表的な日本酒の銘柄のひとつである「高清水」を製造・販売する会社。今回視察した御所野蔵は、伝統的な手造りの技術を継承しながらも、最新の温度管理装置を導入し、少数精鋭の若手社員による酒造りを実践しており、製造する日本酒は全国新酒鑑評会で19年連続金賞を受賞し、単独の蔵・杜氏として連続最多受賞記録を更新している。 - 秋田市民族芸能伝承館(愛称:ねぶり流し館)
民俗芸能伝承館(愛称:ねぶり流し館)は、竿燈をはじめとする郷土の民俗行事や芸能の保存伝承のため、1992年に開館。今回視察した展示ホールでは秋田の祭りである竿燈まつりや土崎神明社祭の曳山行事のパネルなどが常設展示されているほか、竿燈体験が実施できる。 - 秋田洋上風力発電施設(ポートタワーセリオン)
秋田洋上風力発電施設を運営する秋田洋上風力発電株式会社は、2016年4月に設立され、日本国内で初の商業ベースでの大型洋上風力発電事業に取り組んでいる。同社の「秋田港及び能代港における洋上風力発電プロジェクト」では、4.2MW(メガワット)風車を能代港に20基、秋田港に13基配置し、2022年12月22日に能代港にて、また、2023年1月31日に秋田港にて大型洋上風力発電事業における商業運転を開始した。商業運転開始後は20年間に亘り、一般家庭約13万世帯の消費電力量に相当する発電容量140MW全量を東北電力ネットワーク株式会社に売電する。ポートタワーセリオンは全高143mで、展望ホール(3階)は93mの高さ。