寄稿・インタビュー

更なる関係強化のため、初の2国間訪問先として日本の外務大臣がブルネイを訪問

令和5年10月24日

 ブルネイの皆様、こんにちは。今回、外務大臣に就任後、初めてとなる二国間訪問を10月8日から9日までの日程でブルネイを訪問できたことを非常に光栄に思います。
 私はブルネイ滞在中の歓待に対し、ハサナル・ボルキア国王とエルワン第二外務大臣に心から感謝申し上げます。
 日本とブルネイは、長年にわたり良好な関係を築いてきました。
 まず、日本の皇室とブルネイ王室の間には活発な交流の歴史があり、両国の友好親善関係の中核となってきました。1984年のボルキア国王の我が国の国賓訪問に始まり、最近では、2019年の天皇陛下の即位の礼に、ボルキア国王に御参列いただきました。
 また、エルワン第二外務大臣は、私の地元である静岡県でホームステイをされた経験を有しているほか、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、静岡県の自治体がブルネイ選手団のホストタウンを務めるなど、両国の関係は、幅広い人的交流に支えられています。
 両国間の経済関係に目を転じますと、ブルネイから日本へのLNGの安定的供給等を通じて、関係を着実に深めてきました。ロシアによるウクライナ侵略と世界的なエネルギー価格の高騰という昨今の情勢の中で、エネルギー資源の安定供給の面からも、ブルネイは日本にとってますます重要な国となっています。
 両国の経済関係は、エネルギー分野に留まりません。日本は、ここブルネイに駐在する日本企業の活動を通じて、経済及び産業の多角化に向けた取組も後押ししています。
 さらに、日本はブルネイと共に、自由貿易の旗手として、貿易・投資の促進、そして自由で公正な経済秩序の維持・強化のため、経済連携を積極的に推進していく考えです。 こうしたことから、7月にブルネイについてCPTPPが発効に至ったことを歓迎しております。
 南シナ海に面し、地政学的な要衝に位置しているブルネイと、東アジアの島国である日本は、ともに海上輸送に大きく依存しています。また、日本とブルネイの両国は、法の支配の重要性について認識を共有しています。このような観点から、これまでも日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と、ASEANの推進する「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の間の協力を進めてきました。
 こうした緊密な関係を踏まえ、コロナ禍で停滞していた両国の人的交流も再活性化させていきたいと思います。ブルネイは、熱帯雨林や美しい海などの豊かな自然、文化に恵まれ、多くの日本人観光客を引き寄せる魅力に溢れています。一方、ブルネイでは、日本の漫画・アニメ・日本食なども人気があると伺っています。青少年交流・留学生交流・スポーツ交流なども盛んに行われています。
 つい最近も、日・ブルネイ間を結ぶロイヤルブルネイ航空の直行便が、コロナ禍における休止を経て、運行を再開しています。両国のビジネス・観光を含む人的交流がコロナ禍前よりも一層活発となることを心から願っています。
 来年、日本とブルネイは、外交関係開設40周年を迎えます。今回の訪問が、日・ブルネイ関係の更なる強化につながることを期待しています。
 最後に、本年は日本ASEAN友好協力50周年になります。1973年以来、我が国とASEANは、「心と心のパートナー」と呼ばれる強固なパートナーシップの下、アジア太平洋地域の平和と繁栄のために、緊密に協力してきました。12月に東京で開催する日ASEAN特別首脳会議では、新たな関係のビジョンを打ち出す考えです。この歴史的な節目に、ブルネイとの間でも一層関係を強化していく考えです。

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