寄稿・インタビュー
LRT(リトアニア公共放送局)による岸田総理書面インタビュー(令和5年7月11日)
「日本の総理のヴィリニュス訪問:防衛力の強化が不可欠」
ヴィリニュスで開催されるNATO首脳会合には、NATO加盟国の首脳だけでなく、今回初めてリトアニアを訪問した岸田文雄総理を含むパートナー国の首脳も出席する。岸田総理はリトアニアを初めて訪問し、「第二次世界大戦後、最も厳しい安全保障環境に直面する中、NATOと日本の協力を新たな高みへと引き上げる」ことを期待している。
近年、NATOは日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを含む太平洋地域のパートナーとの協力を強化している。NATOによれば、これらの地域で発生する出来事が欧州・大西洋の安全保障に直接的な影響を与える可能性があるため、これらの地域は重要であるという。
昨年、岸田総理は日本の総理として初めて、マドリードで開催されたNATO首脳会合に出席した。岸田総理は、ヴィリニュスでNATOと日本の協力をさらに強化したいと語る。岸田総理は、LRTに対して以下のとおりコメントした。
「ロシアによるウクライナ侵略が続くなど、国際社会は引き続き厳しい安全保障環境に直面している、NATOと日本は基本的価値観と戦略的利益を共有するパートナーであり、ヴィリニュスでのNATO首脳会合への参加は、NATOと日本の協力を新たな高みへと引き上げる重要な機会である」。
これに先立ち、NATOは太平洋パートナーとの協力を調整するために東京に連絡事務所を開設する予定であることが発表された。このような事務所の設置はこの地域では初めてとなる。
この点に関し、岸田総理は「現在、NATOにおいて、様々な角度から、日本におけるNATO連絡事務所の設立の可能性を検討している」とコメントしている。
しかし先週、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長に対し、日本に連絡事務所を設置する計画を支持しない旨を通告した。マクロン大統領は、東京にそのような事務所を設置することは、NATOの核心的利益である北大西洋地域の安全保障からは、あまりにも遠ざかることになると述べた。
新たな連絡事務所の開設には、NATOの主な政治的意思決定機関である北大西洋理事会の全会一致の承認が必要であり、フランスの反対は、このような動きを妨げる可能性がある。
東京にNATO連絡事務所を設置することには中国も反対している。中国にとって、日本の近隣での行動は「懸念事項」なのだ。
中国外務省の王文斌報道官は、「我々は日本に対し、信頼を破壊し、地域の平和と安定に影響を与えるような行動を避けるよう求める」と述べた。
日本の岸田総理は、北京の反応にもかかわらず、「日本は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、NATO及びその加盟国・パートナー国をはじめとする同志国との関係を維持・強化していく」と強調した。
また、岸田総理は、「このような連携は、地域の緊張を高めるものではなく、国際社会全体の平和と安定に貢献するものである」と、中国の警告に関し、コメントした。
東京にNATO連絡事務所を設置することについても、ヴィリニュスで開催されるNATO首脳会合で議論される見通しだ。岸田総理は、リトアニアで、太平洋地域の情勢やその他の問題に関して、同志国との連携を確認するため、リトアニアをはじめとする各国首脳との二国間会談も実施する予定である。
日本が地域の脅威に対応するため、安全保障戦略を変更し、安全保障に関するパートナーとの関係を強化する中で、岸田総理のNATO首脳会議への2度目の訪問が到来した。
日本の総理は、「中国は、東シナ海・南シナ海では力による一方的な現状変更の試みを継続しており、また、中国とロシアは日本周辺で軍事的なプレゼンスを高め、両国間の連携を強めている、さらに、北朝鮮は前例にない頻度と新たな方法で弾道ミサイルを発射している」と述べた。
昨年、日本は新たな国家安全保障戦略を採択し、防衛費の倍増を約束した。
岸田総理は、「第二次世界大戦後、最も厳しい安全保障環境に直面している日本が、十分な守りを再構築するためには、防衛力の抜本的な強化が必要だ」と強調している。